コラム.12
コンクリートジャングルに暮らす私と愛犬のオポは、
山暮らしをする友人宅をたびたび訪れます。
オポは野山を駆けるのが大好きで、私が登れない高さの段差を軽々と跳び、
木々の間を黒ヒョウのように駆け回ります。
友人宅の8ヶ月になるシェパードのウル吉君が
「オポ兄ちゃんまって~」と追いかけますが、
成犬の速さと体力についていけず、いつもおいてけぼり、もちろん、私も。
犬はあらゆる面において人よりも高い能力を持っています。
鼻!いわずもがな。耳は前後左右に動いていち早く情報をキャッチ。
遠くに動くものを発見する視力、走る速さは小型犬にすらかなわない。
あごの力は私の腕でも軽くごちそうさまでしょう。
観察力…いるも見られている気がする。
読心術…怖いくらいに人の気持ちに敏感じゃないですか。
集中力は抜群に高く、瞬発力は恐ろしいほど。
人が犬よりも勝っているのは知能…?
これも時として逆転していることがありそうですが…。
こんなにすごい能力をもっているにもかかわらず、
オポはわたしのいうことをよくきいてくれます。どうしてでしょうか?
それはオポに、私に対する信頼感があるからだと思います。
人社会では私の方が経験豊富です。
身体が大きいくせに見なれぬものに驚いたり、
彼から見るとあやし気な人におびえて吠えることがあっても、
私がいるから大丈夫だよ、と堂々と構えていると
「お母さんってスゴイ!」と一目置いてくれます。
反対に、状況を把握できずにオロオロすれば「頼りになんないなぁ」
と犬はもっと不安になり、信頼関係なんて夢のまた夢。
犬という、強くて賢い生き物といい関係をつくるには、
お互いへの信頼関係がなければだめです。
「なんで吠えてるの?」「どうして言うことを聞かないのかしら」という場合は、
犬のことをもっと勉強しましょう。
犬の言いたいこと、やろうとしていうことを理解したり予測できる人が、
犬の信頼を勝ち取れるのですから。
生態学的な機能、行動学、社会性、犬のといった本来の犬がもつ能力や習性を知ることは、飼い犬である身近な犬を理解することにつながります。「深い学び」は「深い犬と人の関係性」につながります。