コラム.10
アレックスは10ヶ月のオスのミニチュアダックスです。
「お母さん命!」の典型的な甘えっコ。
このアレックスに試練のときがやってきました。
お母さんに赤ちゃん誕生です。
お母さんが退院して数日後のレッスンのときに、
まず気付いたのはアレックスの表情の変化でした。
眉間に深いしわ…。これは彼がイライラしているサインです。
お母さんの入院中には、こんな出来事もあったそうです。
「アレックスが、お見舞いに来たんですけど、
私のことを忘れちゃったみたいで、何度名前を呼んでも反応がないんです。」
おやおや。
アレックスはお母さんが自分を置いていなくなったことにいら立っていて、
過度にお母さんの関心を引こうとしたんでしょうね。
どうすればそれが達成できるか、それまでの経験をもとに
集積された完全データから引き出された行動です。
「そういえば、横目でチラっとこっちを見てました」。
アレックスはお母さんの様子を見て「やっぱり僕に夢中だ」と
ご満悦だったに違いありませんよ。
でもお母さんは宝物を抱いて帰ってきました。
アレックスは「僕だけのお母さんだったのに」とすぐには受け入れられません。
お母さんが赤ちゃんを抱いていると、吠えたて、飛びついてきます。
こういうときは彼をしかったりせずに、立ったまま赤ちゃんの方だけを見ます。
今はアレックスには構えない時間なんだよ、ということを教えるのです。
赤ちゃんを抱いて彼と同じ部屋にいる時間を毎日作ってください。
急がずに、アレックスが赤ちゃんを認められるように慣らしていきましょう。
アドバイスして数日で、彼がほえかかることもなくなり、
眉間のしわも消えていきました。犬の柔軟性は飼い主の予想以上です。
アレックスとだけのコミュニケーションの時間も欠かさないように。
でも、赤ちゃんが彼よりも優先されることを教えるのも必要なことです。
アレックスが家族の一員であればこその試練だから、乗り越えさせてあげましょう。
飼い主への依存的行動(飼い主について歩く、飼い主をいつも探す、飼い主がみえなくなると鼻をならす、飼い主が他の人や犬をさわると嫉妬するなど)は社会化トレーニングにより飼い主との関係改善を目指します。