コラム.06
額にしわをよせる表情で人の心をなごませてくれるお笑い系の犬といえばパグ。
そんなパブのトムは、ちょっと困った問題を抱えていました。
人が食事を始めるとソファにあがって「おれにもえさをよこせ」とほえたてるのです。
家族は、せっせとトムにキャベツをあげていました。
「キャベツをあげると鳴き止むんです。でも吠えるのをなんとかなりませんか?」
ではトムの立場になって考えてみましょう。
お食事タイムにトムは「ちょうだい」と吠えます。
すると家族がキャベツをくれました。「なかなか分かっているじゃん」。
次の食事のときも吠えてみます。でも今度は家族の反応が悪い。
続けて吠えてみるとまた家族がキャベツをくれます。
「そうか、たくさん吠えるといいことがあるんだ」。
学習したトムは確信をもって吠える。
それを止めようと飼い主はキャベツを与え続ける…と、こういうことですよ。
犬はある行動に対してご褒美をもらうとその行動をくり返すようになります。
私たちがご褒美だと思っていなくても、犬はご褒美だと受け取ることもあります。
例えば犬に声をかけたり、見たりすることなどもです。
ですから、ある行動をやめさせたいと思えば、
まず間違ったご褒美を取り去らなければいけません。
トムにはルールを導入しました。
「食事中はハウスへ。吠えても家族は無視すること」。
さて、結果は。
次の訪問のとき、お兄ちゃんのひろ君が「トムねえ、いいコになったんだよ」と得意げです。
トムは人の食事中も関心を示さず、眠っていました。
「吠えてもごはんがもらえない。いいことないし、寝てる方がらくちんさ」。
そうだよね、トム。
ひろ君に「先生はどうしてそんなに犬のことを知っているの?」と聞かれました。
う~ん。
「大好きな犬のことをもっと知りたいと思うからよ」。
言うことを聞く犬になってほしいと思うなら、
まずこちらから「犬の見方、感じ方」を理解しようと努めること。
ひろ君にもわかるよね。
犬は学習能力が高く飼い主の接し方や環境の中で学習を重ねながら行動をつくっていきます。ごほうびに関連する学習は速度が早く習慣化するため無駄吠えなどの悪癖となります。犬を理解し正しい学習へ導き問題行動を解決するクラスはこちら。