平成26年の熊本地震から2年が経ちました。
テレビやラジオで被災後の生活やご遺族の紹介もあり、災害はいつも辛さや怒り、やりきれなさが積もります。
福岡、佐賀方面でも強くゆれを感じることのできた身近な災害であったために関心も高まりました。
そのため臨時にでも何かお手伝いをしようと、熊本県で被災した犬猫のためのボランティア活動を
ほんの少しですがさせていただき、機会を通してたくさんの学びを得ることができました。
この学びの中で、ご縁をいただいたのが熊本県の保護施設から福岡での犬の譲渡会に参加し、
福岡で家庭犬として迎えられたアルクちゃんでした。
熊本県の県営の保護施設には、サイズの大きなミックス犬がたくさん収容されていました。
福岡の生活事情からすると少しサイズが大きく、都心部では引き取りが難しいと思われるような犬たちです。
アルクちゃんも福岡市のご家庭に迎えられたのですが、以前からグッドボーイハートとご縁のあった飼い主さんで、
都心といっても自然環境がまだ十分に残る庭もしっかりとある環境で適切に飼育され暮らしています。
普段の生活も落ち着き始め、いくつかの学習のテストをしてみようとアルクちゃんに与えたのが知的玩具です。
以下の動画に出てくる知的玩具はヨーロッパで作られたもので、つくりはとても単純です。
木製のフタようなものを開けると中にオヤツが入っているという仕組みになっています。
事前に特別な練習はなく与えて、アルクちゃんの反応を見ました。
短い動画ですがご覧ください。
最初に臭いを嗅いで、オヤツのある場所を特定させています。
探索行動といわれるもので、食べ物の在りかを認識している様子です。
木のカップのようなものを口で移動させています。
カップを移動させるには、口でくわえて上に持ち上げるという動作が必要です。
一定の認知力があれば犬でも簡単にできる行動です。
カップを取り去るとその下にはオヤツが乗っています。
ところが、カップを取り去ってもオヤツを食べずに次の動作に移っていきます。
オヤツを食べるためにやっていた行動のように思えるのですが、ここで覆されます。
オヤツを食べることよりも、探索して見つけるという行動に集中しているのです。
犬は食べることだけにしか関心がないと思われてしまうことがあります。
しかしそれは違うのです。
犬は食欲の塊ではありません。
犬の欲求はもっと違う構造になっており、犬の脳がどこに満足感を得られるのかも犬によって違います。
もし、アルクちゃんが食欲しかないような犬だったら、木のカップを持ち上げるような行動はすぐにはできません。
犬の認知力の発達は、ただ寝て食べるという単純な生活の中では培われてこないのです。
アルクちゃんの知的玩具遊びを見ながら、その成長と今後の可能性についても飼い主さんとお話しする機会が得られました。
犬に過剰な期待をするのは人側のエゴですが、犬が本来持っている可能性や能力を発揮する場を与えることは別のことです。
アルクちゃんの飼い主さんからいただいたコメントは過去のブログ記事にも掲載していますので、以下からご覧ください。
<受講生>怖がりの保護犬から信頼できる家族に出会ったアルクの九ヶ月