年末が近付くこの月は、ご縁のあった犬たちの旅立ちの報告を受ける時期でもあります。
ご家族とって大切でかけがえのない犬という家族を失われた悲しみは計り知れず、またしばらく会う機会のなかった犬たちにも、もうこの世で会うことはないのだという自分のさびしさは仕方のないこととまずは受け取ります。
同時に、可愛がられて育った犬たちが無事に生を終えたことに対する安堵と看取られた飼い主さんに対する感謝の気持ちもわいてきて感無量になります。
つい先日も、16年前にお世話をさせていただいた盲導犬の育成施設でお預けしたパピーウォーカーさんの育てた犬が家庭犬として引き取られたあと、そのご家庭で生涯を追えた旨のお知らせをいただきました。
パピーウォーカーから飼い主となった家族の変化はあれど、家族として長いあいだ大切に、また楽しく過ごしていただいたことを聞いて本当にうれしくまたありがたく思うのです。
犬は四つ脚の動物ですから10年も生きれば長生きといえるでしょう。
十三年とか、十五歳ともなると、ずい分長生きをしたものだなと関心するところです。
人と比べるとあまりにも短い一生ではありますが、犬にとっては十分な月日であることを認めていかなければなりません。
十年というと、季節が10回しかめぐってこないということです。
一歳の冬、二歳の冬、そして三歳の冬。。。
あっという間の10回の季節です。
その1回1回の季節を犬たちはどのように感じ、どのように成長していくのか、それを実現できるのは飼い主でしかありません。
長生きすればそれはそれでいいですし、長らえることがなくても毎年毎年の季節を思いっきり過ごすことができれば、動物としてはそれで十分ではないでしょうか。
犬自身は自分があと何年生きるとか、何日生きるなどと計算して喜びを分散させることもないし、求めすぎることもないのです。
この冬、みなさんと犬たちがどのような季節を越えていかれるのか、ぜひ楽しんでいただきたいと思います。
お金をかける必要はありませんが、時間と空間という余裕が必要です。
その余裕がなかなかなく、そのうちにと思っているうちに犬は短い生涯を終えてしまうのかもしれません。
目の前に元気な犬がいるのなら、まだまだ犬と共にこの季節を楽しみつつ成長の機会を得てください。
この冬の楽しい思い出を聞かせていただくこと、私も楽しみにしています。