先月の犬語セミナーで取り上げた「犬の服従性行動について」をテーマに、本日は補講と称して2回目を開催しました。
セミナーを受講された方の復習用にまとめとして記載しておきます。
主に5つのテーマに分けて説明を進めました。
- 犬の服従性行動とはどのような目的を持った行動か?
- 犬の服従性行動とはどのような行動のことを言うのか?
- 犬の服従性行動は大きく二つに分けることができる。
- 犬の服従性行動と見間違いやすい行動とは?
- 犬の服従性行動を引き出すために飼い主としてできること。
答えの欄を見る前に、この項目について自分なりに答えてみてください。
犬の服従性行動とはどのような目的を持った行動か?
質問の意味は、犬の服従性行動は犬の社会的行動の中でどのような目的を果たしているのかというものです。
名前のとおりですが、服従性行動はある犬が特定の犬に対して「服従していることを表現する」行動です。
その目的は、個体間で序列を決めるために表現するものです。
簡単に言えば立ち位置としてどちらが上でどちらが下かということをはっきりとさせておくための行動です。
この服従性行動が表現されることで個体間の位置がはっきりとし、群れの中の序列を整えることができます。
犬の社会的行動は群れ行動で成り立っているという基盤の部分を作るコミュニケーションであるため大変重要なシグナルです。
自分の入るべき列がはっきりとしていることで自分の役割が決まってくる序列の社会は人社会と同じです。
みんな仲良しでみんな一緒の友愛を唱えたい人からすると縦社会という言葉自体が敬遠されるものかもしれません。
しかし実際には社会は縦社会で成り立っており、捕食活動を続けてきたイヌという動物にとって長い間必要とされてきたこの縦社会の部分はまだまだ消えることがありません。
縦社会には、親分~子分的な社会もあれば、親~子の家族的な社会もあり印象も様々です。
どちらにしてもイヌは「あなたが私よりも優位です。」と表現することで社会=群れを成り立たせているのです。
犬の服従性行動とはどのような行動のことを言うのか?
ここでは服従性行動として具体的な行動を上げてもらいました。
例として
耳を下げる
尾を下げる
体を低くする
お腹を見せる
目線を避ける
伏せる
後ずさる
舌をぺろぺろ
等があります。
犬の服従性行動は大きく二つに分けることができる。
上記の服従性行動は二つに分けることが出来ます。二つとは
1 能動的服従性行動
2 受動的服従性行動
犬の服従性行動と見間違いやすい行動とは?
ここでは動画を見ていただき説明を加えました。
子犬が3歳の犬に対して示す行動の動画を見ました。
動画の中で子犬が服従性行動を示しているかどうかを確認しました。
また服従性行動に大変似ているがまったく違う行動が出ていることを確認していただきました。
似ている行動とは「甘え行動」と言われるものですが、子犬を表現する行動です。
はっきりとみられた甘え行動は、まとわりつく動作でした。
これは子犬が人に対して大変多く行われる行動で、多くの飼い主が「犬が自分に服従している」「犬が自分のことを好きだと言っている」と勘違いする行動です。
子犬期のまとわりつき行動には拒絶のシグナルを出す必要があります。もしくは受け取らないように注意する必要があります。とても重要なシグナルです。
犬の服従性行動を引き出すために飼い主としてできること。
犬の服従性行動は自分よりも優位なものに日常的に出されている行動です。
犬は優位な犬に対して大変丁寧に服従性行動を示しますが、優位な立場にある人に対しても服従性行動を示します。
ですが、前述したとおり服従性行動ではない行動を誤ってみていることも多いのです。
例えば、「お腹を見せる」という行動をすべて服従性行動であると判断することはできません。
単発の行動は前後の行動を重なり合って文章になっています。
単発の行動を拾い上げるのは重要な作業ですが、その前後の行動と結びつけて判断することがより重要になります。
こうした複雑さから多くの人が犬のコミュニケーションを読み取りし間違えてしまいます。
いい例は「犬が尾を振っているから喜んでいる」です。
犬は攻撃するときも尾を振ることはありますので、これだけの情報では読み間違いしてしまいます。
犬の服従性行動を増やすためにできることは、以下の2点です。
1 犬のシグナルをできるだけ正確に読み取れるようになること。
2 犬が優位だと認められるような飼い主であること。
犬のよき理解者になり犬の良き友達となれるよう、これからも定期的にセミナーを開催する予定です。