グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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犬に噛まれる事故は他人ではなくて飼い主や家族に起きる

いつもお話しているのですが、犬はかみつく可能性があるという動物であるということを決して忘れずにいて欲しいのです。

それは、犬が危険な動物であると言っているのではなく、犬の能力として持ち合わせているということです。

人が他の動物や他の人を殺傷する可能性があるのと同じことです。

犬が人にかみつく可能性がある」という一般論を特に私が言わなければいけなようなことでもないと思うのですが「あなたの犬もかみつく可能性がある」というと否定される方がほとんどです。

ところが「うちの犬がかみつくわけがない」とほとんどの飼い主が思っています。

室内飼育犬の飼い主には特にこの傾向があります。

こんなに小さくてかわいい犬が、こんなに可愛らしい犬が人にかみつくはずない、と思っているからこそ一緒に部屋の中で暮らしているのでしょう。

しかしその愛する犬が「いついかなるときにも絶対にかみつかない」という保証はどこにもありません。

そんなことを言われたら、犬とでは室内では一緒に暮らせないと訴えられることでしょう。

だからこそ、絶対とはいかなくてもかみつきの確立を限りなく99.999%に近付けるために犬のしつけという犬との関係作りが必要です。

犬が噛みつく理由にはいろいろとありますが、特にひどい傷をおうようなかみつき事故に関しては、「噛まれた人の方が境界線を越えたから」という理由がほとんどです。

夫婦や家族の喧嘩も同じことではないでしょうか。

境界線を越える=一線を越えて踏み込まれた、と感じたときに対立が生まれます。

この境界線ですが、日ごろからはっきりしていないと犬は常に飼い主とは対立の状態なので不安定な行動を繰り返します。

お互いが安心して暮らしていくための「人と犬の関係づくり」が必要なのです。

関係づくりには時間がかるため、犬を飼うための一定の規則と管理は犬を飼育する上では絶対に必要なことです。

犬に噛まれたのが家族であったら他人であるよりもまだましですが、家族であっても噛まれた人の心には傷が残ります。

同じように噛んだ方の犬にもトラウマが残ってしまいます。

曖昧な関係を犬は好みません。

境界線を作りそれをお互いに守ること、犬のトレーニングの基本です。

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雨の日に外を眺める犬の姿がいとおしい

やっぱり雨になりました。

まだ梅雨入り宣言されていないようですが、雨降りのときの風の感じからすると梅雨のようです。

福岡では窓を開けたり庭に出たときにだけ感じる風の感じ、七山ではいつも外気との接触があるのでずっと外にいるような感覚で風を感じます。

福岡では得られなかった季節の肌触りが七山では感じられるのです。

お預かりクラスのときに雨がふると私も犬もガッカリではあります。

ただ雨だからこそ見られる犬の様子や表情というのもあります。

犬によってはクレートに戻りたがる、雨でも外に出たがる、降り続く雨をじーっと見ている犬もいます。

子犬や若い犬で社会的に安定している犬ほど、降り続く雨の風景をじっと見ているようです。

ひとつひとつの雨であっても、風の流れでにおいも音も変化していきます。

雲も流れているので強く降ったり弱く降ったりする雨を眺める犬の姿を、かわいいなと思いながら観察しています。

かわいいと思うのは犬の姿形やカットのスタイルのことではなく、表情もありません。

どこがかわいいのかうまく表現はできませんが、かわいいというよりはいとおしいと感じてるのかもしれません。

自分ではどうしようもない今起きている状況に対して、一秒一秒受け入れつつそして結果として変化を待っている犬の姿。

動物としては当たり前の姿なはずなのに、こうすればこうなる的結果を求める考え方しかできなくなった人間にとっては、純粋で貴重な姿です。

小鳥が鳴き始めました。

もうすぐ雨が弱まります。

動物が教えてくれる風景が自然の中にはあります。


 

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絶対にやってはいけない子犬のしつけ「子犬の抱っこ散歩」※子犬を飼う方必読

最近、非常に多く子犬のしつけ相談に伺うようになって「絶対にやってはいけない子犬のしつけ」を飼い主さんの口から聞く機会が頻発しています。

グッドボーイハートの生徒さんには「それをやってはいけない、なぜやってはいけないのか」と説明することももはや仕事のひとつになっています。

犬のしつけというと「これをやってください」と指導することが本来のクラスの目的なのに、「やっていはいけない」こととその説明にものすごくたくさんの時間と労力を費しているのが本当に悔しくてなりません。

しかし子犬の時代の接し方やしつけは、犬の生涯を通して非常に大切なことなので、時間がかかってもやるしかありません。

子犬の散歩のさせ方でやってはいけないこととは

間違ったこともあまりにも多くの情報が流れることで「それが定説」となってしまうこともあるのですが、そうなってしまった「子犬の散歩のさせ方」で絶対にダメという方法があります。

それは「抱っこ散歩」です。

子犬を抱っこして散歩させるお散歩のさせ方、これは絶対にダメです。

なぜなら子犬の社会化を逆に難しくしてしまうからです。

この抱っこ散歩ですが、ここ15年前くらいから流行り出したものです。

私も何かのセミナーで聞いたことがありますし、実際にやってみたこともあります。それが何のセミナーだったのか、どんな講師だったのかも覚えていません。

当時、子犬を早く散歩という場所に出して社会化を進めたいけれど、ワクチン接種が終わっていない子犬を外に出すことができない、それなら抱っこして出そうという人側の考えの中で生まれた方法が「子犬の社会化のための抱っこ散歩」なのです。

どうしてこのような発想になったかというと、子犬のワクチン接種が始まったのが、同時期の15年くらい前からだったからです。

ワクチンは最初は1種であったものが、今は9種とすごい数になっており、ワクチン接種をすること事態が子犬の免疫力形成にすごいリスクを負わせていることは討論されないまま、ワクチンしても社会化できるといわれた子犬の抱っこ散歩は当時は画期的な方法として拡散しました。

なぜ子犬の抱っこ散歩が絶対にダメなのか?

しかし、犬の仕組みをよく考えてみると、この抱っこ散歩は明らかに子犬の発達を阻害してしまいます。

子犬は視覚の発達に時間がかかるうえに、人のように視覚が発達しません。

犬の知覚の多くは嗅覚=匂いの世界で構成されています。

「匂いの正解」これが犬という動物の仕組みです。

匂いをとりつづけて空間を把握するために、子犬の鼻はすぐに地面を匂います。

地面から離された抱っこの状態で、視覚にばかり刺激を与え続けると子犬の脳は混乱してしまいます。

結果として子犬の脳は、自分の周囲にある刺激に馴化するという脳の発達を促せません。

子犬の目で見たものは「わからないもの」もしくは「危険なもの」としてインプットされてしまいます。

走っている人やバイクなどの過剰に反応する犬はこの抱っこ散歩の影響で、混乱した情報をもってしまったということです。

動きが早すぎてそれが何者であるかを確認できない作業の繰り返しで「わからない=危険」が入力されたのです。

わからないものに対して恐怖を抱く習性は人も持ち合わせています。

わからないウイルスに怯える今の人間の様子もこの子犬と同じ状態を作り上げているということです。

同時に抱っこ=拘束が子犬の精神的な状態を不安定にさせます。

拘束は動物にとって最も危険な状態です。

だから子犬はサークルやリードという自分を拘束してしまう道具に対して反発します。

サークルは絶対に使用してはいけない道具です。

またリードは子犬の受け入れを確認しながら馴化させていく必要のある道具なのです。

 

犬の習性から学ぶ子犬の本当の社会化とは

抱っこ散歩の発想は、子供の抱っこやおんぶ散歩から来ています。

赤ちゃんを抱っこして移動する方法は数少ない動物の習性ですが、人間はそのひとつです。

特に親が赤ちゃんを抱えて、赤ちゃん側も親にしがみつく行動で移動するのは霊長類でも数種しかありません。

人間の赤ちゃんでやるこの抱っこして移動する方法を犬に置き換えたのが子犬の抱っこ散歩になりますが、この方法そもそも犬の習性にはありません。

犬は子犬を抱っこして移動することはありません。

子犬の首元を加えてクロネコヤマトさんのマークみたいに移動させることはありますが、日常的にはテリトリーから出ようとする子犬を引き戻す行動としてさせるものです。

子犬は自分の足で匂いを嗅ぎながら歩き社会の中にあるものに反応をしつつ学びます。

また子犬は自分のグループの親犬の反応を確認しながら学びます。

子犬は安全なテリトリーの中で探索するという社会化の形が本来の社会化のスタートです。

抱っこ散歩は絶対にしてはいけない間違ったしつけです。

犬の習性という仕組みをよく理解して、犬の立場にたったしつけを飼い主が身に着けて子犬の成長を促してください。

お庭で草と遊ぶ生後3ケ月の子犬



 

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冒険家の本を読んで「犬の育て方は愛情だけではうまくいかない」こと

本を読む一年の今年の一冊「極夜行前・角幡唯介著書・文芸春秋出版」を読み終えました。

著書の角幡唯介氏は探検家として大変有名な方です。

この本はカナダの北極圏の果ての果て、私には到底想像もできないような過酷な土地を探検する「極夜行」の前についてつづった本です。

冒険家に対するあこがれとこの本の一部が「犬を育てる」という内容であったことから読んでみました。

極地に向かうための準備、できるだけ機会を使わずに人としての能力に挑戦するアナログは手法には驚きと感嘆しかなく、わからない内容も多くて想像もできないほどでした。

読書の目的となった「犬育て」ですが、極地を移動するための手段として現地のイヌイットからそり犬から繁殖された若い犬を一頭買い求め、自分との関係を作りながらそりを引くことを教えてつつ極地を移動する予行練習に挑むという内容でした。

予行練習といっても命かけの極地の移動です。

犬はまだ未熟で人に服従もしない、食べ物を見つけるために手伝うわけでもない…。

そりを引くことすら拒否をする、自分の思い通りにならない犬に対してどのようにしたら犬が自分のいうことを聞くようにできるのか混乱する著者の姿がそこにありました。

自分がよくできたと思うときにはほめるのだけど、できていないというときには叱る。

このままでは死ぬのではないかと思うときには、自分の感情を思いっきり込めて叱って犬の方に理解を求める方法。

犬がいなければここでは生きていけない、移動は続けられない。

でも犬がどのようにすれば自分のいうことを聞くかどうかわからない。

犬に対する愛情だけは伝わってくるのですが、残念ながら愛情だけでは犬は役立つ犬にはならないのです。

ただかわいがり餌をあげて、あとは自由に過ごしていいよという昭和以前の放浪犬と同じように接しても、使役犬としては十分ではないということです。

その後、この犬はイヌイットの元に戻りそり犬のグループに入れられて、そり犬としての成長を果たしたことも書かれていました。

愛情では育たなかった犬、素地はあったようでそり犬というグループの中で犬から学んで身に着けた使役の性質、間に合ってよかったです。

大切にしたこの犬を連れて実際の極夜にのぞまれるこの本の続きもまたいつか読みたいと思いました。

犬育てはあくまで「愛情ベース」犬に対する思いや愛の強さが伝わってくるものです。

ほめたり叱ったりと、感動する方は感動するかもしれません。

またほめたり叱ったりして犬に対する愛情を表現できることは人としての喜びであると思います。

現実的に今の日本で犬を育てるためには、このスタイルは通用しないのです。

犬は一定の管理の元で飼うことが義務付けられているこの日本での犬育て。

犬に人を理解するように求めることの前に、まずはこちら人の方が犬に対する理解を学ぶことの方が先です。

それが効率が良くお互いにストレスの少ない「犬の育て方」です。

角幡氏の犬に対する接し方を否定するつもりはありません。

何かを極められる方は、他の分野でも気づきが早いからです。

犬は人の間違いをいつか許してくれる可能性が十分にあります。

そうでないとたくさんの間違いをおかす人との暮らしは苦しいばかりです。

一緒に生きるか死ぬかなどと、そんなパートナーはなかなかいないのです。

それこそが人と犬。

犬はファンタジーではないと教えてくれる本でした。


 

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最初の「お預かりクラス」で犬の行動観察を通して知る犬のこと

七山では若いウグイスが鳴き始めました。

お預かりクラスでお世話をしながら、草刈りして休憩して、新鮮な空気を吸い込むと体がリフレッシュする感じです。

今回は、初めてお預かりクラスを利用してくれた犬ちゃんがいて、その行動の変化に対する予測と結果の分析で大変頭を使いました。

犬の方は、別の場所に連れてこられて、数日したらまた元の家に戻るということをわかってはいません。

私と面識はあるものの、家を奪われるというのは犬にとって大変なことです。

預かりクラスを繰り返すと、これは一時的な場所でまた元のテリトリーに戻るということを学習していくのでしょうが、最初はそうはいかないのです。

そのため、最初の預かりに限る犬の行動を観察することはとても重要です。

なぜなら初めての経験を与えた時の犬の行動を通して犬の気質を知るヒントを得られるからです。

 

これは人の場合にも通じることだと思います。

テレビのバラエティ番組などで「ドッキリ」といった仕掛けをするのも、思わぬ出来事に人がどのように対応することでその人の性格や考えや器量を知ることができるということです。

犬の場合にもこれと同じことが起きます。

新しい環境に連れてこられた犬、飼い主はいない、犬の居場所を指定するのはたまに見かけた、時々家にやってくる人(私のこと)。

犬の警戒心、順応性、人との関係性、服従性など、ほとんどの飼い主さんが見抜けていない犬の心底の部分を見る機会になるのですから、ワクワクせずにはいられません。

とはいっても、犬を放置するわけではありません。

あくまでも、私という人の管理者がいる上での一定の管理の中での犬の行動です。

しかし七山です。

山の中の戸建ての家なのです。

ある程度の感覚の優れた犬であれば、この家の周囲にどの程度の面積があり、人や犬以外にもたくさんの動物が生息している気配を感じることでしょう。

それは移動してすぐにではなくても、次第にじわーっと自分の中に入ってくるものです。

犬の中には、元のテリトリーに戻ろうとする帰巣行動も見られます。

車で移動してきたのですから、簡単に帰巣することはできませんが、とりあえずここから出る「逃走」を行動に移そうとすることは珍しくありません。

すべての犬がというわけではないのですが、野犬の子犬や保護犬の多くは「逃走」こそ最初に選択すべき道とインプットされているようです。

いついかなるときに、どの経路で逃走を図ろうとしているのか、彼らに気づかれないように隠れて観察するのもまた楽しいことです。

かといって管理を緩めるわけではありません。

決して逃走できないということを気づいてもらうことに価値があるのです。

そして同時に犬を管理する側の人間は、やさしくても一定の規律を持っているということを理解させることが何よりも大切です。

慎重な犬ほど行動の変化に時間がかかり、3日間ほどの預かり期間はあっという間に終わってしまいます。

だいたい3日たつとさあこれから~という感じで変化していくときに帰宅ということになるのです。

今回の犬ちゃんも、成犬時に保護された大型犬でした。

あまり人に興奮しない、行動も少な目、食欲もさほどない、ただ逃走傾向が高いというタイプの犬ちゃんでした。

どこを触られても拒否はなく、わんわんと吠えることもなく、キャンキャンとも言わない、だからといって人との暮らしに積極的で満足しているわけではないのです。

それが「逃走」という行動を引き起こしています。

ごはんも食べられ、居場所も与えられ、散歩にも連れて行ってもらえて、何が不足しているのか。

それを見極めるのが私の宿題でした。

変化してくる3日目くらいに、もっと時間があったら…と欲が出てしまいます。

犬のことを知るのは本当にワクワクします。

犬たちのストレスを感じたりすることはつらく苦しいものですが、犬が求めているものを知ったときには、やっぱり犬だな~と思うからです。

お預かりクラスが終了しその犬が飼い主さんの元に戻るときに、犬に伝えたいことがあります。

あなたの飼い主と出あったことには犬としてあなたの生涯に何か意味のあるもの、そこで喜びを勝ち取るのだよ。


 

 

Posted in クラスのこと, 犬のこと

飼い主の心の弱さを見切る犬の凄さ、飼い主の成長ももちろん見切っている。

家庭訪問形式のトレーニングクラスは、初期のころは犬の状態に応じて一週間に一回程度の家庭訪問を行っています。

毎回、トレーニングのステップが上がっていくのですが、その中で見られる犬の行動の変化について飼い主さんから報告を受ける時間は、楽しくもありドキドキでもあります。

しかし、変化するのは犬の行動だけではありません。

トレーニングクラスの回数が積み重なってくると、ある時点で飼い主さんの行動にも自ずからの変化が訪れてくる時期があります。

トレーニングを開始したばかりのころは、インストラクターの指導に従って飼い主さんの行動を変化させています。

こういうときはこうして、こういうときはこうして。

規則はわかりやすくするために多少厳格でもあるのです。

ところが、どうしても犬の鳴き声や要求や落ち着かない行動に右往左往してしまう飼い主さん。

「すごく鳴いているのでかわいそうになって…」

「いやがっているのでおやつを使いました…」

「ストレスになるんじゃないかと思ってさせられなかった…」

など、そもそもの犬の落ち着かない行動やストレス性行動に応じるように反応してしまうようです。

ところが、ある時点にくると何か大きく変化することがあります。

「数日前にクレートに入っているときに少し騒いだのですが、今日は見に行かないと決めていかなかったんです。そしたら何かが大きく変わった気がしました。」

ここで変わったのは犬ではなく飼い主の行動ですが、本当に変わったのは飼い主さんの気持ちです。

おそらく「腹をくくった」ということだと思います。

もうこんな関係は終わりにしよう、犬との新しい関係を作っていこうと飼い主が決めた瞬間、犬はそのことをよくわかります。

落ち着かない犬の多くは、落ち着けない人の空間で過ごしています。

決して人の性格が落ち着かないというのではなりません。

飼い主が犬のことがわからないとか、犬のことを誤解してしまっているために、犬が落ち着けない接し方をするために犬は落ち着きをなくしていくのです。

落ち着きをなくして問題行動を起こす犬を、飼い主はどのように関わっていいのかわからなくなります。

自信がなくなってしまってごまかしたり、腫物に触るようになるなど弱い心で接するようになります。

ある程度適当に相手をする、でも犬は簡単に言うことを聞きません。

何かをさせようとすると嫌がる犬を見て「かわいそう」だと言われることがあります。

それは自分の心が揺らいて落ち着かなくなるということで、結局は心が弱いということになるのです。

この人の心の弱さを犬はすごい動物力で察知しています。

犬は「飼い主さん、かわいそう」などと思ったりはしません。

むりそ「こいつ、弱いな!」ただそれだけです。

こんな弱い動物に自分を託すことなどできないと、私が犬ならきっと思うことでしょう。

「あなたの弱い心、見切った」と犬が感じた時に、犬は興奮し始めます。

犬は飼い主の鏡だとよく言われますが、それは本当なのです。

人の弱い心を映し出す犬、変えるためには強くなるしかありません。

でも、強さとは暴力ではありません。

強靭な精神、揺るがない信頼、絶対的な愛、そんな強さを身に着けていく飼い主の成長を感じることがこの仕事を続けている喜びでもあります。

犬はなんでも見切ってくれます。

安心して飼い主として成長してください。


 

Posted in クラスのこと, 犬のこと

子犬の正しい社会化の方法を見極めるために犬の習性を学ぶこと

この時代ならではのいろんな動きがでていますが間違いなく「ペットバブル」になっています。

ペットショップでは流行りの子犬が高値で販売されているようで、たくさんの人が犬を求めているということでしょう。

子犬のしつけ、子犬のトレーニングの依頼も多くなり、子犬の社会化について声を大にする必要性があり改めて書くことにしました。

犬のしつけについて飼い主が学ぶ情報源は、テレビやYouTubeやインターネットなど気軽に拡散されるSNSによって、大量にスピード感をもって広がっていきます。

ところがその情報の多くは科学的な根拠のないもので、どこかに書いてあったものの上っ面をさらったような内容ばかり、明らかに間違っているものが多く、かすかにかすっているけれど大きく違うものもたくさんあります。

ところが「犬が尾を振っているときには喜んでいる」という長い歴史の中で培った思い込みに沿うようにうまい具合にできているので、普通の人は納得してしまいます。

 

子犬の場合には、家庭内の飼育環境整備、子犬に対する接し方、トイレトレーニングといろいろと子犬のしつけで学ばなければいけないことがあります。

中でも「子犬の社会化学習」は、犬の性格形成に影響を及ぼす学習項目で絶対に大切なのです。

子犬の社会化学習とは「子犬が生涯を通して接することのできる刺激に対して適切に反応することができるように学習すること」です。

「刺激に対して適切に反応する」などとややこしい言い方ですね。

要するに子犬が社会のあらゆるものに馴化(適応)し、過度なストレスを抱えずに生きていくための力を身に着けることです。

子犬の社会化=馴化を適切に進めるために注意しなければいけないのは、子犬が状況を受け入れているかどうかを確認することです。

子犬は自分のテリトリーの中では興奮したり騒いだりする半面、表向きには警戒心が高く反応が少ない場合もあります。

子犬が目の前に起きていることを「大丈夫」と確認できるようになると、その対象に関心を示さなくなる、これが本当の馴化です。

逆に、間違った子犬の社会化にはこのようなものがあります。

人を見ると近づいていく

他の犬を見ると近づいていく

これらの行動は、子犬が人や犬が好きだからではなく、むしろ理解できないものであるから近づいていくという行為になるのです。

狼や野犬は子犬の社会化期にグループ外の動物に子犬が近づくことを許しません。

犬には犬の習性としての社会化という学習が備わっています。

人目線にならず、犬目線で子犬の社会化の仕組みについてぜひ学んでください。


 

Posted in クラスのこと, 犬のこと

ブームによって増える犬種の子犬は慎重に見極めて迎えることをお勧めします。

先日、ペットショップの中を横切ったときに、たくさんの子犬のはいったアクリルケースの中を覗き込む多くの人を見かけました。

子犬は疲れ切ったように寝ていましたが「かわいいー」と微笑んでみている方ばかりでした。

自粛生活で家にいる時間が長くなったことで、子犬を迎えた方が確実に増えています。

子犬のほとんどはショップやブリーダーが販売しています。

しかしその子犬たちは決して自然に生まれてくるわけではありません。

ペットの販売はペットビジネスの中で成り立っているので、売れやすい犬種、人気のある犬種、色、サイズ、などを吟味して繁殖しています。

犬たちは自然に生まれたのではなく、人工的な交配により繁殖させられているといるといってもいいでしょう。

買う側が欲しがる犬種は計画的な繁殖以上の数を求められて、無計画な繁殖で数を増やしてしまう結果にもなります。

繁殖が不安定になると、子犬の身体的精神的機能性にもいろいろと問題が生じます。

それだけでなく親犬の子犬に対するケアにも支障が出てきます。

法律では子犬を早期に販売することは禁じられていますが、その間親犬とどのようなコミュニケーションをとったのか、親犬がどのような繁殖をしたのか、親犬は繁殖犬として適切であったのかという法律はありません。

一方で犬を飼う方は犬に対する知識もなく、ぐったりと眠る子犬を見て性質を判断できるわけでもありません。

犬種によって必要な飼育環境が異なることや、同胎犬(一腹の中にいる兄弟犬)でもそれぞれに性質が異なることも知られていません。

ただ「かわいい」という理由で子犬を迎えてしまうこともあるし、自分のライフスタイルや生活環境と子犬が合わないということもでてきてもおかしくはありません。

ここであまりにも当たり前ですがもう一度自分に問うてほしいことがあります。

「なんのために犬を飼うのだろうか?」

もしその答えが「犬がかわいいから」というのならおすすめしません。

犬はかわいいだけでなく、難しい動物でもあるからです。

「なんのために犬を飼うのだろうか?」

その答えが「犬を飼うことで自分の人生がより豊かに楽しくなるため」

であるとしたらぜひ子犬を迎えて下さい。

犬と暮らす自分の人生が幸せになるためには、犬もまた少しは幸せでなければなりません。

でも、犬はごはんと愛情さえあれば幸せになれる、と思ったら大間違いです。

犬には自分を愛し理解し群れとして生きてくれる家族同様の動物が必要です。

犬はすばらしい動物ですが、そうだとわかるまでにはたくさんの大変なこともあります。

とても手のかかる動物ですし、水槽の中にいれておくようにサークルの中にいれておく動物ではないのです。

それでも犬はやはりすばらしい動物です。

だからこそ流行りに振り回されずに自分のライフスタイルの中にはまることできる犬種を選びましょう。

子犬を迎えるまえのカウンセリングも開催しています。


 

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「感染症と文明ー共生への道」を読んでヒトという生き物を考える。

新型コロナウイルスが変異して広がっていくこの世界で、私たち人の生活様式にも変化が求められている気がします。

ウイルスなど日常的にどこででも接触するものなので、ウイルスを全く排除してしまいという発想が自分の中にはありません。

ウイルスと私たちヒト科ヒト属の歴史を知りたくていくつかの本を読みました。

その中のひとつが「感染症と文明ー共生への道」著者は山本太郎氏です。

2011年6月の初版された本ですが、2020年4月には増刷されています。

新型コロナウイルスの広がりを見せた昨年に相当の方がお読みになったのだろうと推測します。

 

私が山本先生のこの書籍を読み最も強く思ったは、ウイルスによる感染症をひろめっていった動物を最初に挙げるとしたら、それはやはり人であるということです。

ヒトという動物ほど地球の中を移動する動物はいません。

未開の土地に住む原住民が、次々とヨーロッパからやってくる人による感染で倒れていく姿がありありと想像されました。

文明の進化によって感染は一気に広がったのです。

今ではその文明の進化が足かせとなり、今度はウイルスの蔓延を抑えるために、文明の道具である「移動」に制限をかけられることとなっています。

私たち人の招いた結果、おそらく多くの科学者がこうなることを予測していたとは思いますが、だからといって進化を止めることができないのもまた人です。

 

犬に思いをはせると、こうした進化しつづけることに執着しなければいけない人という動物と共に生きることになったために、彼らもまた多くの感染にさらされてきたといことです。

そのため今は犬のワクチン接種は9種という膨大な数に上っています。

この数がもっと増えてしまうのではないだろうかと思います。

ウイルスや細菌が全くなくなってしまうことはない「共生」するしかないのだと誰でもがわかることなのにその「共生への道」がわからずに現在右往左往しているのが今の私なのです。

本書には山本太郎氏がこのように記されていました。

「共生とは、理想的な適応ではなく、決して心地よいとはいえない妥協の産物なのかもしれない」

同じ言葉をあとがきでも記されています。

「決して心地よくない妥協の産物…」

これこそ犬が現在、私たちの足元で人との暮らしの中で抱えている共生への道にも通じるのではないでしょうか。

ウイルスとの共生

犬との共生

犬にとっては人との共生

山本先生は「共生なしくて、私たち人類の未来はないと信じている。地球環境に対しても、ヒト以外の生物の所作である感染症に対しても。」と言われます。

「決して心地よくない妥協の産物」は人と暮らす犬だけに課されるのではなく、

犬と暮らす人にも課されるのだと思います。

お互い様とはいきませんが、相手を理解する努力だけは忘れずにいたいとこれからも勉強します。

とりあえず免疫力をアップさせるには太陽に当たることというのは動物の基本です。

気持ちの良い季節です。

密にならぬよう太陽の下で遊びましょう。

Posted in 本の紹介

グループトレッキングクラスを開催しました。

どこにも出かけられない飼い主さんと犬たち数頭といっしょに、山歩きのクラスを開催しました。

広い広い山の空間を使ったクラスですから余計な心配もいりません。

今回また初めてグループトレッキングにデビューする犬ちゃんとご家族もドキドキして参加されました。

管理しやすい頭数だったためか、最初は「なじみのない犬がいる」という反応をみせていた常連の犬たちも次第に落ち着きを取り戻してくれました。

「馴れる」という仮定はただ「なんども会わせる」ことではありません。

たくさんの犬に繰り返し会わせても犬に社会化するわけではありません。

社会化の段階で最も大切なのは基盤です。

基盤とは、社会的なルール=規律なのです。

まずは犬と飼い主が規律のある関係作りを築くこと。

そして他の犬とも規律のある関係を作っていくこと。

これが社会化という過程なのです。

トレッキングクラスは規律がしっかりとしています。

みんあルールを守って安全に歩いています。

子供たちもいっしょに歩きました。

春の一日が学びの一日となり、健やかに過ごしました。

ご参加ありがとうございました。

また来月も開催します!

Posted in クラスのこと