長らく続いたお預かりのクラスを終えて福岡の自宅に戻ると、長いマテをしていたダンナくんからある要求がありました。
こんな年齢でお恥ずかしい話ではありますが、ふたりして小さな子供たちが喜ぶアニメ、そうあのキメツのアニメを見ることになりました。
そのアニメをみながら犬のある習性について考えていました。
このアニメに出てくる剣術のつわもの達は「柱」と呼ばれ、その「柱」と呼ばれる剣士たちが仕えている主人が「親方さま」です。
剣士たちの主人に対する態度や姿勢、話す言葉など、すべてが服従行動。
小さな子供たちは剣士たちのこの服従行動を見て、格好悪いとは思わないはずです。
むしろ、強い親方様に自ら使える服従的な姿勢は、カッコいい、こんな風に誰かのために礼儀正しく使える強い自分になりたいと思うのではないでしょうか。
この服従行動ですが、犬を考えるときに絶対に必要な行動なのです。
犬と人との関係を表現するいろんな言葉があります。
ペット、いや犬は家族の一員という言い方がありますが、もっと具体的に飼い主としての自分と犬はどのような関係なのでしょうか。
犬は力のあるものに服従する習性を持っています。
その犬という動物の習性をうまく活用(利用かな)できたことで、人は犬を他の動物とは全く違う方法で飼うことができるようになりました。
飼い主と群れというタッグを組んだ犬は、紐につながれていなくても逃げることもないし、飼い主のテリトリーを守る番犬となることもあります。
群れの中で力のあるものに従う犬の習性を「服従」といいますが、この言葉は犬と暮らす日本人にはあまり好まれていないように感じることがあります。
服従行動という言葉を聞くと、可哀そうと感じられることもあるようです。
犬にフセをさせることについて「悪いことをしていないのになぜさせるのか?」と尋ねられたこともあります。
犬にフセを要求するのは、犬に罰を与えることではありません。
犬にフセを要求するのは、犬に対して落ち着きなさいと服従性行動を引き出させるためであって、深読みすれば「私はあなたを必要としていますよ。」という意味なのです。
逆に犬の頭を撫でまわすことに関しては、犬が喜ぶと思われているようですが、先のアニメの中に出てくる親方さまは、命をかけて戦う剣士に対して「おりこうさんだね」といって撫でまわしたりするでしょうか。
相手を認めて手を出すときにも親方様だったら、部下の頭に手を置く程度です。
服従的な行動はわたしたち人の社会でもほとんど見られなくなってしまったため、時代に合わない嫌悪的なものとして遠ざけられているようです。
その服従行動は本来ならとても礼儀正しくカッコいい行動であるはずなのですから、犬には自信を持ってやってほしいものです。
あとは、服従したいと犬が思える主人=飼い主という存在が必要です。