グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

トップページ
お電話でのお問い合わせ
お問い合わせフォーム

室内で生活する犬のための犬用ベッド

室内で暮らしている犬たちには必要な道具がいくつかあります。
クレートの大切さについてはブログでもなんどかお伝えしました。
(※ブログ検索“クレート”で検索してみてください。)

クレートと同じくらい大切なため、ぜひ準備してほしい道具が「室内の犬用ベッド」です。なぜ大切なのかというと、犬用ベッドはクレートと同じように犬専用のテリトリーだからです。
クレートを室内に設置されているご家庭では「クレートがあるのにベッドも別に必要なんですか?」と尋ねられるのですが、クレートとベッドは別の役割を果たすために必要です。

犬を室内で飼われるような環境では、室内もあまり広くないことがありますので、犬のためにクレート、そしてベッドまでとなると場所をとるからと抵抗を示されることもあります。特に大型犬の場合にはクレートもベッドも大変場所をとるため、飼い主さんの気持ちもわかります。でも、このふたつはどうしても準備してほしいものです。

犬用のベッドはいろいろな形状があります。ラウンドタイプ、スクエアタイプなどですが、できればカウチのついているものを準備してあげてください。カウチがなくても素材によって周りに上手く囲いができるようなものであれば大丈夫です。

素材も大切です。犬用ベッドを何ども買い与えたのに全部かじってダメにしてしまったという犬もいました。それで犬用ベッドを準備しても意味がないといわれたのです。少し高価だけどお勧めブランドのものを買っていただいたところ、新しいベッドは破壊することなく、愛用してくれるようになりました。

みなさんがご自宅にソファを購入するときは、あちこちのインテリアショップですわり心地を試してみて、悩みに悩んだ上に生活スタイルにあったものを選びませんか?犬が一時的に休む場所は、人が使っているソファと同じものです。居心地が悪ければ遊びものになってしまいます。最初から少しいいものを準備した方が、結局はお得だということです。

形、生地の質、クッションの硬さ、犬にあったサイズをよく吟味してワンちゃんにあう一品を見つけてください。大型犬やすぐに大きくなりますので、子犬のころから成長したときのサイズのものを購入することをおすすめします。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと

わんげる・ミーティング<植物の先生たち>

グッドボーイハートでは、毎月1回わんげる・ミーティングという半日のクラスを開催しています。
参加者は安定した行動をある程度持続させられる上級者です。頭数も少なくしてクラスの目的がきちんと達成できるように、生徒のみなさんには終始協力をお願いするため、規律、秩序が守られるクラス開催を目指しています。

梅雨の間の曇りの日にはなったのですが、七山の高いところは雲の中で、涼しくも湿度が高く動物にはこたえます。いつもとは違う場所を選択し、休憩もたくさんとってゆるりと過ごすことにしました。老犬もいたので、高い段差はサポートを行いながら、協調性、社会性を大切にしてお互いを敬いながら過ごすのがルールです。

下山途中に上がってくる数名の登山者と遭遇しました。道の端によけて通行されるのを待っているのですが、その歩みが非常にゆっくりであと数メートルなのになかなか近づいて来ません。向こうも相当のお年の方がいるのかなと思ったのですが、よくみると片手にメモ帳で何かを書き込みながら歩いて来られます。

近くまで来られたので「こんにちわ」と挨拶を交わすと、近くにある植物をひとつずつ手にとりながら「これは●●だね、ココにもあるんだね。」と聞こえて思わず耳を傾けました。「これはクロモジだね。」といわれたところで、「どれですか?」というと「臭いを嗅ぐといいですよ。」といわれ葉を渡されました。ハーブのような臭いがしました。
いつも「クロモジってどれだろうね。」といいながら歩いていたので、本当に出会えた気持ちがして感動でした。クロモジはつまようじに使われていた草木でお茶席などではなじみのあるものです。しばらくお話したあとで、正式には「ケクロモジ」という種類であることを教えていただきました。

この植物に詳しい方々は佐賀県の山々の植物の研究をしている会の一員だということでした。来月この山の植物観察会があるので、どのような植物があるのかを下見に来られたそうです。

以前は植物の種類には全く関心がないほうでした。ところが、七山校の裏手の敷地が杉林だったものを広葉樹に植え替えていただいたことから、手入れを行うことでよく触れるようになり、木々の成長に応じて植物も変化していく風景を10年近く見てきたため、自然と植物の種類について関心を持つようになりました。

そこで思わず「いろんな植物のことがわかって素敵ですね。うちの山も見てもらいたいな~」とつぶやくと「いいですよ、どこですか?」と聞いていただき「七山の池原です。」とこたえると「湿原のところですね。」と。七山で一番有名なのは樫原湿原(かしばるしつげん)です。北海道にいる知人も知っていたほどで、一般の方が湿原などの環境に興味をもたれていることがわかる瞬間です。

会のホームページから連絡させていただくことにしました。いつもと異なる環境に待つ犬たちもそれぞれの表情でしたが、ひとりの男性が一頭の犬の顔を見られていたので、犬が少し後ろに下がる行動をしました。「すみません、少し怖がりなので。」と飼い主さんがいうと「人間の心がよくわかるんですのね。」と言って通り過ぎていかれました。

動物であれ、植物であれ、鳥であれ、自然に近い存在について関心を示し、自然の姿について理解を深めようとする姿勢をもつ方は、いつか自然の全体のひとつとしてすべてのものを見るようになるため、犬の心にも触れることができるのかもしれません。偶然の出会いでしたが、学びの多い一日でした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in クラスのこと, 犬のこと

ラジオ番組に出演します。7月編

先月出演したLoveFM(76.1)月下虫音(げっかちゅうね)へ、また今月もうかがう事が決まりました。

月下虫音に呼んでいただくことになったきっかけについては、過去ブログ記事「ラジオ番組に出演します。」に掲載していますので、ご覧になってください。

今回はどんな話をするんですか?と聞かれますが、言ってしまったらおもしろくないので、それは言えませんがヒントは「動物」です。あまりヒントになっていないかもしれませんね。大田こぞうさんと話していると、予定とは違う方向へ向かってしまうこともあり(それはそれで楽しいので寄り道してしまうわけですが)、取り上げるはずのテーマがそうならないこともあります。ですが今回は外しません。というのは先月取り上げるはずだった大切なテーマだったからです。

犬の先生の話しというと、犬のしつけについての話だと思われるかもしれませんが、犬についての話はそれだけではありません。社会的な現象や問題も犬についての学びのひとつです。犬という動物を理解していないと見えない現象というのを、むしろ犬を飼っていない方に知っていただく機会になればと思います。

ラジオ番組放送予定は2016年7月20日水曜日22時~1時間程度です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Posted in お知らせ

トレッキングクラス<完全管理からの一歩>

今週はプライベートトレッキングクラスの参加者が多く、とてもうれしく思います。
犬の問題や成長に応じて、プライベートトレッキングクラスを導入していきますが、生後6ヶ月以上の犬は原則としてどの犬もクラスの対象です。プライベートトレッキングクラスの最初の目的は生活環境により影響を受けた日常行動のパターンを外していくことです。

動物園の動物と犬を単純に比較することはできませんが、犬は室内飼育でリードで強く拘束されなければ安定した歩行が得られないような社会化の状況下では、檻の中にいられた動物に近い管理状態におかれています。

動物の行動を比較しても、同じようなストレス行動がみられます。動物園の檻の中にいる動物は管理下に置かれてかわいそうに思われるかもしれませんが、実際には、その管理下である檻の外に出すほうが難しいのです。外の社会に適応する力のない動物=社会化が未発達の動物の「安全な場所に閉じこもっておきたいという」執着にも近い欲求は、管理される動物のもつ特徴的な欲求です。

ところがこの欲求は、単に安全を確保するために働いているわけではなく、動物としての行動を制限することにもなるため、動物園では動物としての自然行動を見ることはできません。犬も同じです。ブログ記事「発見する楽しみ」に書いたような探索欲求を、室内だけで満足させることはできないのです。

プライベートトレッキングクラスに参加する犬の中には、不安や緊張をかかえている犬もいます。それを穏やかに解消するために最初にできることは、拘束された安全な管理下から一歩を出ることです。でも、最初はこのことがストレスになります。動物は環境が変化に敏感です。それが良い方向に変化したときでさえ、その違和感は動物にとってはストレスになります。そのストレスは行動で表現されますがその行動も実にさまざまです。個々の犬の性質や飼い主との関係、生活環境が犬に与えたことなどをみることができます。

飼い主は犬を「楽しませたい」と思うようです。大好きな犬がどんな気持ちでいるのか、楽しい気持ちでいて欲しいと思うことは大切な気持ちです。そういう気持ちを持つ飼い主と暮らせることは犬はラッキーですね。ただ、勘違いが多いのは、犬が走り回ったり飛び跳ねたりしている行動を、犬が楽しんでいると思われてしまうことです。

トレッキングクラスでも、犬が走り回ったり早足で歩いたり飛び跳ねたりすることがありますが、これは犬の興奮行動であり楽しんでいるわけではありません。この行動を楽しいと思ってしまうのは、自分自身が(人が)興奮を求めているからかもしれません。でも、本当にそうでしょうか。みなさんの本当に大切な時間は、興奮しているときなのでしょうか。

犬の安定した行動や状態を引き出していくと、犬が歩く姿が変化してきます。トレッキングクラスはそれ自体が学びのクラスでもあるし、日頃の状態を知るてがかりにもなるのです。どうぞ、これからもこのクラスを楽しんでください!

ルーク5
 

Posted in クラスのこと, 犬のこと, 自然のこと

本当に怖い動物とは「後編」

本当に怖い動物とは「前編」では、山の動物のイノシシ、キツネ、タヌキ、イタチ、テン、アナグマ、トンビ、カラスについてお話しました。

サルはいませんか?と生徒さんに尋ねられます。
サルはいます。七山校の敷地内にある電信柱に登っているのをみかけたり、裏の栗の木に登って栗を食べているのを部屋の中からみたこともあります。一番敷地で危険だったのは、テラスの屋根にいたサルが下りてきて庭の裏側を走って柵を飛び越えるのを見たときです。このときはオポが室内から吠えて追い立ててました。山の中で遭遇することはありません。サルも警戒心が高く、犬猿の仲とは本当のことでイヌを嫌いますので、犬と歩いているときには姿を現さないようです。七山地区ではときどき放送で「サルに遭遇しても手出しをしないでください」という内容の指導があります。サルによる農作物の被害は大変なものですが、サルは駆除の対象にはなっていないようです。

爬虫類で最も恐るべきはやはりマムシでしょうか。マムシの毒性が高いこととマムシの反射的にかみつく習性により、イヌがマムシに咬まれる事故は珍しいことではありません。これについては過去ブログ記事「もしもマムシに咬まれたら」をご覧ください。
他のヘビもその動きや風貌から「気持ち悪い」と恐れられていますが、私はあまり怖くありません。幼少期に母から教えられたことが記憶に残っているからです。ヘビをみて泣いていた幼い私に「へびは怖くないよ。ヘビは話しがわかるからはなしかけてみてごらん。」というような母でした。近くで顔を見るとゴジラのような感じですが、威嚇のシグナルがはっきりとしているので、オポが立ち止まるところにヘビありという程度でした。そういえば、昨日も一昨日もヘビをみかけましたが大丈夫です。ヘビは山神様といわれるくらいなので大切にしてほしい存在です。

昆虫の中で出会いたくないものがあります。ススメバチです。
キイロスズメバチも恐ろしいですが、なんといってもオオスズメバチが目の前を通過する際には、ヘリコプターのような音がして微動だにできなくなります。オオスズメバチの観察経路の高さは、ちょうど人の目線の高さくらいで、犬たちの目線には入りませんが、ホバリング音への反応は高いです。オオスズメバチは数があれば大きな動物への攻撃もするため、音への反応を身に付けているのかもしれません。

先生が一番怖いものは何ですか?と尋ねられ即刻応えたのがムカデです。私のムカデ嫌いは有名です。
屋外ではあまり怖くない気もするのですが、一度草刈のあとに首元がむずむずするので洗面所で首にまいていたタオルをとったらそのタオルにすっごく大きなムカデがついていて言葉を失いました。室内に入ってきたムカデはオポがいた当時はムカデセンサーだったオポがすばやく見つけたのですが、一度なかなか見つけられずについに…という事件がおきてしまい、それで夏場の睡眠の深さはかなり浅くなりました。オポ亡き後はホモサピエンスの私はムカデを見つけることができなくなり、ますますムカデにおびえる日々ですが、医療機関にお勤めの生徒さんからは「ムカデなんか昔はムヒつけてたんだからそれで十分。」とさらりと言われてしまいました。

犬の多くはムカデにそれぞれの反応を示します。鼻を近づけていく犬もいますが、ムカデに咬まれた犬を見たことがありません。少なくとも咬まれる現場を見たことはありません。咬まれたとしても対して腫れはないと予測します。そう説明すると、
山歩き中はあくまで移動中のテリトリーなので危険を回避すれば済むことですが、本拠地を侵害して攻撃を仕掛けてくる生き物となるとさすがに寛大ではいられません。今までに侵害してきてトラブルになったムカデ、アリ、アブ、ブユなどの昆虫たちと武勇伝はいつか少しずつ紹介していきます。

このブログを書いている現在も、一番小さなアリ、おそらくヒメアリと戦っています。なぜかこの時期、甘いものがあるわけではないのに温度の高いパソコンに住み着き、手から足からあがってきてかみます。チクリとして大変痛いのですが、オポがヒメアリを避けている様子を見たことがありませんでした。イヌはアリなど食べてしまいますから、イヌには近づかないのかもしれません。イヌがアリを怖がるなら靴もはかずに土の上は歩けません。

それにしてもやっぱりイヌはすごい、動物力は私たちより数段上です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Posted in 犬のこと, 自然のこと, オポのこと

本当に怖い動物とは「前編」

先日トレッキングクラスに参加した飼い主さんと、山の中で出会ったら怖い動物話で盛り上がりました。

山の中で出会ったら怖い動物といえば、みなさんにとっては何でしょうか。
怖い動物というと体のサイズの大きな動物を思い浮かべるため、福岡佐賀近郊ではイノシシが比較的大きな動物になります。イノシシにあったら怖いと思うのは当然のことでしょう。
私はオポと散歩中になんどもイノシシに遭遇したことがあります。オポが山で落ち着いた行動をするようになり安定していたため、最初のころに緊張していたのは私の方でした。悲鳴や奇声をあげたりするタイプではないのですが、行動力と思考力が確実に低下していました。それでも私にはオポという先生がいましたので、オポの行動をよくみて同じように安定を取り戻すことが可能でした。練習の甲斐あってイノシシを発見してもうまく対応できるように成長していきました。

イノシシ以外のこの近辺の山で遭遇する可能性のある動物には、次のようなものがいます。
四つ脚の動物はタヌキ、イタチ、テン、アナグマ、キツネです。
このうち、イタチ、テン、アナグマはイタチ科ですが、イタチ、テンがすばやく逃げるのに対し、アナグマは反応が鈍く出会う可能性も高いです。七山校の裏庭ではよく穴をほって昆虫を食べているのを1メートルくらいの近距離で見ることができますが、相手は気づいていないようでした。気づけば急いで逃げますので犬が追いさえしなければ怖くはありません。

キツネとタヌキは昔話にもよく出てくる、人と交流の深い動物です。
キツネはイヌ科キツネ属です。九州にキツネがいると聞いて驚かれることもありますが、キツネは昔話のとおり非常に警戒心が強く、簡単に人の前に姿を現しません。犬を連れていればなおさらのことです。車にひかれることもないので遺体を見る機会も少ないでしょう。

この中で犬にとって一番やっかいなのはタヌキかもしれません。タヌキもイヌ科です。
タヌキはよく車にひかれます。山に見るときには動きが遅い感じはしないのですが、キツネと比較すると警戒心が低いのかもしれません。そのため人との遭遇も多く、餌付けされてしまうことも多いため注意が必要です。
餌付けされた野生動物は人への執着が高く、必要以上に人に接近するためイヌとのトラブルmも多くなります。タヌキはこの良い例かもしれません。まず餌付けを行わないこと、イヌのタヌキに対する反応は、他の動物とは少し異なるのではないかというのが、私の現在の見方です。イヌと歩いているときにタヌキに遭遇した経験のある方は、そのときのイヌの反応をぜひ教えてください。

次に鳥がいます。大きなサイズの雑食の鳥といえば、トンビとカラスです。
オポと山歩き中にトンビに狙われた経験がありました。私が白い帽子をかぶっていたので、獲物とまちがえられたようで、私の膝元でV字を描きまっすぐに空へと帰っていきました。
このときもオポと私がほぼ横列だったはずですが、オポは全く歩速をおとすことなくゆっくりと前進をつづけました。立ち止まって停止した思考の快復をまったのは私の方です。以後白い帽子をかぶるのを止めました。

後編へ続く

IMG_1278

Posted in 犬のこと, 自然のこと, オポのこと

パピートレーニング<子犬と子犬の遊び>

子犬を迎えるのは生後7週齢から8週齢くらいです。少し早いと思われるかもしれませんが、この時期に迎えることで子犬に成長過程で必要なことを経験させることができます。

子犬を迎えた家庭で飼い主がやらなければいけないことは山のようにありますが、この中には難しいこともあります。そのひとつは子犬と子犬を適切に遊ばせる機会をつくるということです。

難しい理由はいくつかあります。たとえば、その子犬にあった性質の犬がみつかるかどうかわからないということです。子犬の性質もさまざまです。同じ犬種では似たような遊び行動が見られるため比較的安定した遊びを見られることがありますが、犬種よりも個性の方が強いため同種でも相性があわないこともあります。

問題をもっと難しくしているのは、子犬が人に飼われる環境に暮らし始めることで子犬の成長がストップしてしまったり、子犬が人に対して優位性を高めてしまうということです。子犬が母犬や他の兄弟犬たちといっしょに過ごしている姿をイメージしてください。子犬は特別な存在ではなく、他の兄弟たちと同等に扱われ、生後7週齢になると飛んだり跳ねたりする行動が増える子犬については、母犬を含め成犬は厳しく接します。

これに対して家庭に迎えられた子犬は、飼い主にダッコされ飛びついたり飛び跳ねたることも許されています。ワンワン吠えれば吠えるのを止めさせようとする飼い主から食べ物をもらえるし、怖がる反応を示せば「かわいそうに」と抱き上げられることもあるでしょう。

こうした家庭内での接し方が、子犬と子犬がうまくいかない理由にもつながるのです。
遊びは対等なものです。どちらかが自分の優位を占めそうとすると、相手は遊びを止めてしまいます。イライラして吠えると相手のテンションが上がりすぎて興奮が激しくなります。子犬の遊び方をみていると、ご家庭でどのように接しているのかが見えるのです。

人の接し方だけでなく、子犬の日常のストレスも子犬のコミュニケーション力に影響します。
生後8週齢を過ぎると、感覚が増し外界の音を含む刺激に反応が高くなります。順応性が育たないと子犬のストレスは強くなり、それが激しいコミュニケーションとして表現されてしまい、遊びも興奮遊びになります。

パピーウォーカーの指導員を勤めていたことがあります。盲導犬育成施設による計画繁殖された子犬たちなので、親犬のストレス管理から行われ交配、繁殖についても十分な準備の上行われます。生まれた子犬たちの社会性にも常に配慮が払われ、その子犬に適したパピーウォーカーさんを選びます。それでも子犬の気質が安定しないことがあります。団体として決められた接し方のルールがある上に同じ母犬から生まれた子犬でも、日常的な接し方の少しの違いが子犬に影響を与えていることがわかります。

また、子犬の興奮遊びを放置することは危険です。子犬のころは仲良く遊んでいたんですという犬が、成長して他の犬が苦手になるような状態は子犬の興奮を放置した結果起きることがあります。子犬の興奮を、子犬を管理する親犬や成犬は見逃しません。厳しく止めに入ると子犬は悲鳴を上げて逃げることもあります。でもこうした適切な制御は子犬にとって必要なことなのです。

子犬遊びの質を見極められない方は、専門家の立会いの下で子犬を遊ばせることで子犬について学んでください。多頭の犬があつまるパピーパーティは違う性質の異なる環境で生活している犬たちがの集まりです。パピーパーティに参加して社会性を落としてしまう犬がいることも事実です。子犬が隠れたり、走り回ったり、吠えたり、膝にのってきたりする行動をしたときは、異なる状況での遊び学習をおすすめします。

パピーパーティは海外から入ってきたものですが、成長後の影響について追跡は難しいです。子犬同士が集まっているのをみたいという飼い主の欲求を満足させるものになっていることもあります。また、子犬期には成犬のような吠える咬みつくという行動が出にくいため、多頭があつまってもその危険性についてわかりにくいという面があります。子犬のことを理解するためには、パピーパーティよりも子犬の行動としつけについて学ばれることをおすすめします。

子犬期の経験は子犬にとってとても大切です。それは誰もがわかっていることでしょうが、かわいい子犬をきちんと理解するためには、飼い主の知識だけでなく飼い主の自制を必要としていることを胸に、成長を見守ってあげてください。子犬にはストレスがないという思い込みをすてて子犬をよく観察してください。子犬は不安定な環境で常にストレスと戦っています。たとえば、子犬が自宅で家具をかじるような行動を見せ始めたら要注意です。子犬は吠えたり咬みついたりはしませんが、行動しやすく子犬のシグナルはわかりやすいものです。子犬のサインを早く受け取ってあげましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと, コラム

発見する楽しみ「探索行動」はオヤツ探しでは満たされない。

先日博多駅の商業施設の中を歩いているときに思ったことがあります。いろんな店が入っているのだけど、それぞれの店においてあるものが幅広いなということです。たとえば、洋服の店にアクセサリー、マグカップ、文房具やシールがあるとか、家具屋さんに洋服、財布があるという感じでどの店も雑貨店のようです。ものにあふれる時代なので、どうしたら売れるのかを考えた上での作戦なのでしょう。

洋服の並べ方にも工夫があるなと思います。パンツやシャツを別々に置くのではなく、あらゆる商品が混ざったように置いてあったり飾ってあります。大量に同じ商品を販売する店ではできない販売方法かもしれませんが、同じものが数点という店になると、同じ場所においてあるよりも1点1点がことなるものとしてディスプレイされている方がお店に滞在する時間が長くなりそうです。

買い物をすることの楽しみは「買う」という行為よりも「探す」という行為にあります。これらの陳列方法だと「探す」行為が複雑ではあるけれど、さらにそのことが「探す」欲求を高めてくれるためその欲求が満たされます。「探す」欲求、つまり探索欲求はどのような動物にとっても高い欲求です。

犬が探索をしている行動を見たことがあるでしょうか。限られた空間でも犬は探索をします。たとえば、部屋の中においてあるクッキーのいれものを探し当てられたことはないでしょうか。犬の探索行動は臭いを追う行動です。鼻をつかって臭いを追跡するような行動をとります。地面に鼻をつけたまま歩くこともあるし、地面から顔を上げて定期的に臭いを確認しながらその場所に近づいていくこともあります。野いちごをとるときにも、臭いを確認しながら鼻で探しあてます。

どんな動物も食べるためには探し当てることが大切であったわけで、犬が探索欲求をもとに行動を起こして満足を得られることは、犬の動物としての自由度を感じられる行動でもあります。これは「ただ与えられる」という事では満たされない欲求です。

犬と同じように人にも探索欲求があります。犬の気持ちを知りたければ、自分が探索しているときの集中力の高さに注目してください。人は目で探索しますが、探しあてたときの喜びは同じものです。ですがそれを手にしてしまうと、すぐに次のものを探しはじめるときは、探索欲求はあまり満たされていません。冒頭の買い物をイメージするとわかりやすいですね。

探索欲求はただものを探すという行動ではなく、「発見」をくり返していく原始的な行動です。「発見」は物質化したものを探す行為だけをさすのではなく、目にみえない感覚や知識を探す行為でもあります。

犬にも物質的なもの、たとえば食べ物ばかりを探す行動が増えてしまうことがあります。食べ物を使ったトレーニングは必要なこともありますが、偏りすぎると別の発見をする機会を失ってしまいます。

犬のことを理解するために学ぶことの楽しさは、この「発見」です。
真に満たされる探索を、犬も人も楽しみたいものです。

Sniff Out!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Posted in 犬のこと, コラム

犬の車酔い

今日七山校にはじめてきた犬が車酔いをしてしまい、テンションの低い状態で到着しました。山道での蛇行が車酔いを強めてしまうようです。

車酔いについては私も関心があります。物心ついたころから高校生くらいまでは乗り物酔いがひどかったからです。結局自分のときには、バスのときは一番前の席に座るという対応程度となり、つらい思いをしました。

犬の車酔い対応は犬によって多少違いがありますが、基本的に小型から中型の犬についてはクレートやケージに入れた状態で車に乗せることをお願いしています。ただクレートトレーニングが車以外の場所でうまくいっていないときは、いきなり車でクレートにいれることは負担がかかります。

小型の犬の中には飼い主がダッコしていると酔わずに寝てしまうということもあるようです。室内でのクレートが活用されておらず、飼い主さんにダッコされていることが多い犬の場合には、ストレスの回避も飼い主依存型になってしまいます。

まずはクレートで安心できるスペースが確保されているかどうかをチェックしてみてください。
クレートについてもう1点は、クレートが大きすぎると中で犬が揺れてしまいます。移動用のクレートはひとつサイズの小さなものを選ぶか、移動中はクレートの中にクッションなどをいれて、サイズが小さくなるように調整してあげる方法もあります。

他に車酔いを回避できたおもしろい事例があります。オポを連れてプライベートクラスを行っていたときに、非常に臆病だったけど成犬のオポに対して服従する行動を示した青年期の犬がいました。車酔いは永久歯に生え変わったころから1歳半くらいまでにかけて多いため、ちょうどその年齢にあたっていたということもあります。その車酔いをする犬が乗っている車に、私とオポもいっしょに乗車しました。犬の社会的な安定度を利用して車酔いに対応できるかどうかのテストでした。結果は見事に、安定度大です。その犬は車酔いをせずに車に乗ることができました。
社会的な安定が見られるようになれば、克服できるというよい例です。ただ犬の社会から遠ざけられている現代の環境では、安定を築き上げていくのに少しの努力が必要です。七山校に来てからは、オポの力を別の練習方法で築いていくことができるようになったため、犬たちの車酔いも少しずつ減ってきました。

冒頭のワンちゃんですが、帰りは車酔いなしで帰宅したとのことでした。
いろんな不思議がつながっていきます。だから犬はおもしろいなと思います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと, オポのこと

犬のストレスを回避する力

ストレスをいうと、うちの犬にストレスなんかあるはずがないとか、ゴハンを食べて寝ているだけなのに、犬になんのストレスがあるっていうんですか?といわれることもあります。

ストレスはどのような動物にもあります。ただ、どのような状況がストレスになるのかとか、どのようにストレスを表現するのかということが、人と犬の動物としての違いや、犬でも個体によって異なるということです。

ストレスは受け続けるだけでなく、動物はさまざまな方法でストレスを回避しようとする行動をしています。このストレスを回避する力も、犬の個体によって違いがあることがわかります。

どんな犬もストレスを感じる状況といえば、「暑さ」と「寒さ」。
犬が暑さを感じたときに、日陰に移動したり、冷たい床の上に移動するのは、暑さというストレスから回避してよりよい環境を選択する力です。同じように、寒ければストーブの前へいたり、コタツに入ってしまうということもあります。
この温度によるストレスから回避するための行動を全ての犬が行えるように思うのですが、まれにこの回避行動ができない犬がいます。たとえば暑い場所から動けずに熱射病になってしまうこともあるのです。

人の場合にも似たような事故があります。暑さを感じることができず、室内で熱射病にかかってしまったという老齢者に関するニュースを耳にされたことはないでしょうか。

犬の場合には年齢には限らず、暑さを回避できないどいう行動が実際に起きていることは事実です。老齢犬や子犬にも見られるし、精神的に未熟で鼻を鳴らす行動が残っている成犬にも同じような現象が起きています。

どうしてこのようなことが起きるのかについては慎重にとらえたいと思いますが、日常的に不安定な行動が出ている犬に、ストレスを回避できない行動が見られることがあります。
老犬や子犬は、いろいろな場面でサポートが必要な年齢です。そのため、温度によるストレスを回避できない状態であれば、それについてもサポートを行う必要があると思います。
成犬で自主的に行動できる環境を与えられているにもかかわらず、暑さや寒さを回避できない犬については、なにか行動制限が強くかかっている状態を知り、飼い主として改善できることについて考えてみてください。

ストレスを回避する力は、動物にとって必要な力です。
どの犬も適切に持つ事のできる力を発揮できる環境を整えていく、これも飼い主の役割だと思います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

Posted in 犬のこと