今日はやはり10年前の今日を思い出す日となりました。
たくさんの不幸が生まれたあの震災で、わが身にもしこのことが起きたらと考えるきっかけをいただきました。
そのとき私はまだ生前のオポと七山にいました。
お昼ころからお客様をお迎えしていっしょに山を歩き、午後になってパソコンを立ち上げたときに起きていることを知ったのです。
まだガラ携でしたし、情報も断片的でしたが、家や自動車が津波に触られる風景を見てこの中にいくつの犬の命が人と共に流されただろうかと思いました。
大型犬のオポを連れて逃げる場所など山の上以外にはないと思いました。
私とオポにとっては歩く体力と結束力だけが一緒に逃げ去る道具だと考えました。
しかし、普通に犬を飼っている方には、これをきっかけにクレートトレーニングは必須とますます思うようになりました。
小さな犬を抱きかかえて避難している方もいましたが、やはりバッグよりもクレートをもって避難する方が何よりも安全ですし、犬の安心度も違います。
クレートトレーニングを始めるときは「小さな入れ物にいれてかわいそう」と思ったという飼い主も、その意味や役割を知るとこの道具の必要性をきちんと理解してくださいます。
クレートは犬を閉じ込めるものではありません。
むしろ犬の世界を広がるためのものです。
そして何よりも、災害時の避難には必ず日常的に利用しているクレートを持ち出して下さい。
小さな犬はクレートの中に待機させて移動
大きな犬はクレートを折りたたんで移動させ適切な場所で組み立てます。
そして何よりも大切なことは、有事が起きてもパニックを起こさず飼い主と共に行動できるような犬として成長をさせるために「犬のしつけ」をすることです。
犬のしつけの究極の目指すところとは、芸をさせたり、ドッグランで遊ばせたり、お留守番させることではありません。
災害という場面においてでさえも人との信頼関係の中で最後までともに頑張ることのできずつながりを作ることだと思っています。
そこに至る方はほんの一握りだとは思いますが、ぜひここまでやってきてください。
10年前のあの災害時には国内はもとより海外からもレスキューとしてトレーニングを受けた犬たちが現場にやってきました。
災害という危険な場におかれてもなお平常を保ちつつ任務にあたるのは、厳しく叱られたからはなく、人と大切なつながりを作るための規律をお互いに守り続けたからです。
人と人の間にですらこの規律やもはやなくなりつつあります。
私にできること、また今年の今日も深く考え生きている限りお返ししていきます。