奈良公園の鹿の扱いが問題になっているというニュースを見ました。
天然記念物として観光の目玉になっている奈良公園のたくさんの鹿。
しかし、中には農作物を荒らしたり人に攻撃する鹿も出てくるためそれらの「問題のある鹿」は、保護施設となる「鹿苑」という特別柵の中で管理されているという映像と説明をニュース番組で見ました。
その鹿苑の鹿たちの扱いについて内部告発的に訴えが上がり、奈良市が調査に入ることになったそうです。
奈良県のホームページには「奈良公園の鹿は野生動物です。飼育されている鹿ではありません。」とはっきりと野生動物宣言がされています。
ですが、これはあまりにもわかりにくいことです。鹿せんべいを食べる「餌付け」された鹿で、人に対して害を及ぼすものを保護するというのです。
保護された鹿苑の鹿たちは完全な飼育下にある鹿ですから、鹿苑の鹿は野生動物ではありません。
「奈良公園の鹿は餌付けされているのになぜ野生動物なの?」と意見する私に対して、奈良県出身のダンナくんは「歴史があるからしかたないやん」と身内発言でガードしグッドボーイハート内討論は発展しませんでした。
奈良公園の鹿は公園内の草木を食べているという説明となっていますが、鹿せんべいを人からもらって餌付けもされており、せんべいを見せるとお辞儀をするという条件付けから発生した行動のパターンまで身に着けています。
野生動物は餌付けによって人に近づくようになることは、動物と人との長い関わりの中で明らかです。
野生動物をもっと近くで見たい、触りたい、餌を与えたい、仲良くなりたい、といった人間の好奇心や愛情欲求を満たしてくれる最も簡単で時間のかからない方法が、動物に対する餌付け行動、です。
鹿せんべいを与えないと公園の草木では鹿の食べものが賄えないということと、観光地として訪れる人が喜ぶというふたつの理由によって鹿せんべいによる餌やりが始まったでないかと想像しています。
餌付けによって動物は人に慣れていきますが、同時に執着もはじめます。
餌付けによる執着行動は攻撃行動にも発展していきます。
奈良公園の鹿の中に人を攻撃する鹿が一定数出てくることは当たり前のことなのです。
私の身近にいる仔山羊のアールとゼットは、全く餌付けをしていません。
人から食べ物をもらうことはありません。
一日中山の中を歩きながら、庭を歩きながら、ずっと草を食べ続けています。
冬になったら枯草を買ってきておいておく必要があるかもしれません。
しかしそれすら、手で与える必要はありません。
食べ物で慣れさせてはいませんが、仔山羊たちは人に慣れています。
人という動物を良く知っています。
ですが山羊は「家畜化」という歴史を通して大昔から人が飼って利用してきた家畜動物です。
野生化した山羊(ノヤギ)は世界的にあちこちにいるようですが、野生として生存し続けている山羊が今なおいるのか、少し調べてみましたがわかりませんでした。
話が山羊にそれてしまいましたが、動物を人に慣らす方法は餌付けだけではないという風に話を続けます。
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