知人から懐かしいCDを貸りました。。クジラの鳴き声を収録した自然音です。
CDを聴いたとき「これ昔もっていたけどなあ」と懐かしく思い、またその声が私の元にもどってきてくれたような気がして、偶然の再会にうれしくなりました。
なくしてしまったそのCDを購入したのはもう30年も前の話です。
福岡市の中心街「天神」のオープン当時は珍しかった多目的商業ビルの中に、お気に入りのショップがありました。「Nature Company(ネイチャーカンパニー)」というショップで、名前のとおり自然にまつわるいろんなグッズを集めた夢のような店でした。本社はアメリカであったと思います。
商品には、自然の素材で作られたアクセサリー、動物や植物を描いたTシャツ、当時は珍しかった原石をもちいたいろんなもの、自然素材のものをベースにしたウインドチャイム、自然素材の楽器、自然素材でつくった雑貨、そして自然音を録音したCD、写真集、書籍など、どれも自然を連想させる、自然とのつながりを思い出させてくれる素敵なものばかりでした。
ネイチャーカンパニーにいると時間の過ぎるのを忘れてしまい、その空間に没頭したものです。当時の私はまだ20代、自由になるお金もわずかしかありません。あれもこれもは買えないため、触ったり見たりして時間がたつのも忘れ、自然を自分の近くに感じようとしていたのでしょう。それにしても、あのお店にいたときのワクワクした感じはなんだったのかと、今でも不思議です。
最近ある本を読んでいて、これかな?と感じたことがありました。
その本の著者によると「人間の発達は、人間の機能性の発達ではなく道具の発達である」ということ。そして、その道具が自然の素材で作られたものから、自然を分解して作られたものに変化したことから、人間そのものが変わったのだということです。大変興味深い内容で、今でもその本をくり返し読んでいます。
自然ものを丸ごと、自然の力を感じる道具として利用してきた人間ということろに関心を持ちます。ネイチャーカンパニーはそのような「自然そのもの」を選択して販売していた店だったのではないかと、記憶をたどりながら思いました。
店で購入したもので今手元に残っているのは、オオカミの遠吠えのCD、イルカのTシャツ、地球のシンギングボールのアクセサリーの3点です。わずかに手にいれたものが、惚れこんだオオカミとイルカのものであったのには動物への恋の歴史を感じます。
ネイチャーカンパニーは国内のすべての店舗が撤退をし、アメリカでも店舗が残っているのかどうかわかりません。アメリカにはこうしたネイチャーズショップが多くあるようですが、自然を失ってこそその重要さが身にしみてくるともいえます。
私たちの身近には、自然をまるごと使った道具もまだ残っています。日本の古き道具は、自然の力を感じられるものがたくさんあります。そんな道具を使うことも、自然とのつながりをつなぐきっかけにはなるのかもしれません。そして、そんな些細なことが、犬という動物を犬として見ることのできる力につながっているのではないかと思います。
ネイチャーカンパニー。
今はショップではなく、リアルな空間として日々ありがたく感じています。
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