グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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動物園の取り組みから学ぶ「“さわる”ふれあいを“学ぶ”ふれあいに変える」こと

ライオンを飼育しない動物園

先日動画配信サイトで南海チャンネルの制作した動物に関する番組を見て感じたことがあります。

番組名は「#7どうぶつたちの“幸せ”の先に」というものでした。

動物福祉をテーマにして動物園や畜産業の現場を取材したもので普段から動物福祉を考える立場の自分にとってはとても興味深い内容でした。

動物福祉とはなんぞやを簡単に述べるなら「動物の立場に立って考える」ということになります。

番組の取材先は愛媛のとべ動物園と京都市動物園でした。

どちらの動物園でも「動物が本来の性質を発揮できるように」という取り組みをしているということでした。具体的な取り組みとしては、京都動物園ではライオンを飼育しないという方向に転換したそうです。

なぜライオンを飼育しないのかというと、ライオンは群れで暮らす習性を持つため動物園ではそれに必要な環境を整備できないということでした。

この話を聴き、オオカミも群れで暮らす習性を持つ動物なのだから、それについてはどうしているのだろうという疑問が生じました。

調べてみると次のようなコメントが出ていました。

御意見箱に寄せられた御質問への回答 H30.9.24~H30.10.26
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Q.オオカミはなぜいないの?
A.現在,動物園では約120種の動物を飼育しています。過去には 200種を越える動物を飼育していましたが,「動物福祉」の観点から飼育環境の改善,「種の保全に力を入れるための 選択と 集 中の考え方から,一部の種について飼育展示を止めるという判断をしています。オオカミもその一種で,“見たい”との御要望に添えないことがございますが,御理解下さい。

【飼育を止めた動物種の例】
アシカ コンドル オオカミ ビルマニシキヘビ ホッキョクグマ

たくさんの人が訪れる、特に子供たちが教育の場として利用する動物園でこのような取り組みが行われていることに感動しました。

動物た見たいという子供の気持ちに対して見たい動物がなぜそこにいないのかという理由を伝えることで、子供たちが動物の立場に立って考えるという視点を学ぶことができ、さらに「オオカミやライオンは群れで暮らす動物なのだ。」ということも学ぶことができるのです。

 

ふれあい教室をふれる場から学ぶ場へ

さらに京都動物園ではふれあいのルールを見直す取り組みがなされているそうです。

子供たちの“ふれあい”に使われていた動物はテンジクネズミです。これまでは子供たちが抱っこしたりなでたりするいわゆる“ふれあい”をしていたものを、動物福祉の考えから大きく転換させていました。

それは、従来の「さわる」ふれあいを止めて、ふれあうということを学ぶ空間に変えるという素晴らしいものでした。このふれあい教室では、子供たちがものを使ってテンジクネズミの飼育環境を考えながら空間を作っていくという取り組みをされているのです。

「さわる」ふれあいを「環境を考える」ふれあいに変える。

さわれないではふれあいにならないではないかと考えるのは大人の発想です。

映像に映る子供たちはテンジクネズミを観察しながらどのような空間をテンジクネズミが受け入れるのかを楽しむようにトンネルをつくったり隠れ場所を作ったりしています。

本来のふれあいとは触ることではなく、相手の立場に立って考えること、まさに動物福祉の視点に立つことこそふれあうことの原点だということを証明してくれるものでした。

 

犬の飼い主は誰よりも強く犬の幸せ(福祉)を望んでいるはずです。

ところが飼い主の多くは犬の幸せは飼い主や他人に撫でられたり触られたりすることだと勘違いしています。

犬の立場に立って考えて下さいといったとしても、犬がなでられることが一番大切だと信じて疑わない人がたくさんいますが、質問を変えてみましょう。

犬の福祉(幸せ)を考えるなら、犬が本来の性質を発揮できるようにするために何が必要かを考えて下さい。

先程のふれあい教室のテンジクネズミたちですが、「さわる」ふれあいを止めたことでテンジクネズミの診療が減少したそうです。

触られることがテンジクネズミたちのストレスや病気に繋がっていたことがわかります。

本来は人に触られるとストレスを感じる動物を、さわる「ペット」という道具にしたものが一部の愛玩犬です。

ですが犬を愛する皆さんなら、犬を触る道具として必要としたとは思えません。

犬が本来の性質を発揮できるために何ができるかを考える、これが犬の福祉(幸せ)を考えることです。