映画の台詞にある「フリーズ!」。訳すと「動くな!」ですね。
この後に来る台詞イメージできますか。
「動くな!…動くと撃つぞ。」という感じでしょうか。
実は犬にもこの場面が結構多いのです。
「動くな!動くと攻撃するぞ。」という感じになります。
犬と犬が近づいたときに、片方が臭いをとろうとして
片方が動いてしまったときに「ガウガウ!」となったことありませんか?
これがまさにこの場面の犬語版です。
たいていは威嚇した犬の方が失礼な犬として叱られているようです。
叱られる犬の方は不本意でしょう。理由はこうです。
犬と犬の関係性においては、テリトリーの主張権や
社会的に地位が高いと思われる犬は、それよりも下の犬
もしくはテリトリーに入ってきた犬を調べる権利を持ちます。
権利というと一方的な受け取られ方をされるかもしれませんが
この権利はお互いの関係を明らかにして安定させるために必要なものです。
そのため、調べられている犬の方は「じっとしておく」必要があります。
相手が十分に自分の匂いを嗅いで調べ終わるまで動くことを許されません。
ところがこの「フリーズ」ができない犬が多くなってしまいました。
人に可愛がられることはあっても、礼儀というものを身に付ける機会がなく
社会的な緊張に耐えかねて動いてしまうのです。
その時相手の犬は予告通り攻撃、つまり威嚇に転じます。
脅しではないのです。本当に威嚇してきます。
威嚇した犬の方には悪気や相手を傷つける意図はありませんが、
逃げる速度が速く相手を再度「動くな」の状態にするために
強く引き止めることで相手側が多少の怪我をすることはあります。
それでも2度目の「動くな」で制止が聞けば、まだ良い方です。
これでも止まれず走り出そうようでは重症です。
動いてしまい威嚇された犬の方の成長に及ぼす影響について考えます。
「攻撃されてかわいそう」ではなくて、「このままで大丈夫か」という状態なのです。
これは犬と犬の社会的関係だけでなく、自分の身を守る術として応用されるからです。
なぜかというと、動物は万が一のときには一旦止まることで身を守ることができるからです。
自分の意志でじっとしているということと、動けなくなるというのは違いがあります。
驚いて走り出す前に、一旦止まれということです。
これができないということは、衝動的に走り出したり逃走したり
パニック行動をしたり、攻撃行動が出やすくなってしまいます。
これらの行動は自分を窮地に追いやります。
危険行動を防ぎ身を守る術を身に付けるため、犬は小さい頃から社会的な力のある犬に対して
「相手が十分に自分を調べ許可を得るまでは動かない。」という行動を身に付ける必要があります。
社会的に力のある立場のものから臭いをとられる年齢は3歳くらいまでです。
3歳を超すと人の年齢でいう社会人になってしまってしまうため
礼儀のない状態であっても、教えてもらえる立場にはありません。
子犬のころに学ばなければならないことはたくさんありますが
こうした力を身に付けるチャンスがないということは残念なことです。
ですがこのブログを読んで犬と犬の関係性を急がないでください。
また、思い込みによる読み違いを見逃さないようにしてください。
時には力のない大人の犬が子犬をいじめてしまうことがよくあります。
「いじめられている」のに「教育している」と飼い主さんが勘違いしていことがよくあります。
もちろんいじめている犬の方にも悪意はありません。ただ自信がないだけです。
うまくいかない犬と犬の関係には上手な人の介入も必要です。
まずは犬のコトバをきちんと読み解くこと。
犬と犬のコミュニケーションはわかりやすく、理解すると楽しいものです。
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