週末はグループトレッキングとセミナーを開催しました。
セミナーは各月で開催している「犬語セミナー」です。
犬のコミュニケーションについて学ぶセミナーですが、講師が一方的に説明する形式ではなく、参加者全員で考え、犬という動物について思いっきり議論しようという趣旨のセミナーです。
講師がこれまでに知っていることを話す時間ではなくセミナー用に準備した動画を参加者と一緒に分析して考えていくスタイルですので、講師の私にとっても気合のいるセミナーです。
思い込みや知っているつもりでいっぱいになっている頭の中に、空白のスペースを開けるという作業は学べば学ぶほど難しくなっていくからです。
新しいことを学ぶ度に「ああよかったこれで全部分かった」と思うと同時に「いや、まだ知らないことがたくさんあるはず」という現実がやってきます。
セミナーに参加して下さっている生徒さんたちはみなさん長く犬と暮しながら犬について学び続けている方々です。
その中のおひとりがセミナーの終わりにこのような発言をされました。
“犬は人間じゃない、というとまるで犬を虐待しているように思われることがあり残念です。”
この発言に参加者のみなさんが深く頷いていたのです。
“犬は人間じゃない。犬は犬なんです。”という当たり前すぎるこの価値観が通用しない別の価値観が増えているらしいのです。
つまり“犬は人間と同じ”という価値観がかなり世間では一般的となりつつあるということなのでしょう。
言葉は言葉ですから、あくまで行動に移してこそはじめてその価値観の意味がわかるというものです。
犬は人間と同じという言葉の意味が、犬を人と同じようにお互いをしりその存在を尊重するというのであれば共感します。
しかし、犬は人間と同じという言葉の意味が、犬に布団をかぶせて寝かせたり、服を着せたり、靴を履かせたり、外に出すのはかわいそうという理由で土の上を歩くこともできないというのは少し違うのではないかと思うのです。
「うちの犬は自分のことを人間だと思っている。」と得意げに言われることがありますが、これは本当に大問題であって微笑ましいどころか笑い話にもなりません。
犬を犬として理解したいという気持ちは、犬を犬として尊重し愛する飼い主への道なのです。
今年もたくさん学ばせていただき、参加者の皆様には感謝いたします。
私自身も知っていることが言葉になるのに数年はかかっていますので、もっと早く言葉になるように毎日を学びの時間といたします。