グッドボーイハートの山の学校では、日常的に様々な野生動物との小さな関わりがあります。
小鳥や昆虫は都市空間の公園や木々でも時折みられるものの、動物たちとの距離の近さが山では圧倒的に近くなります。
そんな日常の動物たちとのやり取りの中で起きた小さな出来事です。
ある日、訪問レッスンを終えて山の学校へ戻る前にダンナくんに業務連絡を入れると、こう報告がありました。
「ひなを発見、巣から落ちたらしい、蛇に食べられるのではないか、保護した方がいいのか?」
私の返答は「そのまま様子を見ること」。
私がすぐに小鳥を保護して欲しいというかと予測したダンナくんは「へーさすがだね。」とリターンを返し私が帰宅するのを待ちます。
帰宅後、ひなの状態を確認すると人を恐れて隠れるモード、周囲に親鳥たちが飛ぶ気配もまだありました。
ダンナくん、ひなが口を大きく開けて俺にエサをせがむのだと、そして親鳥たちが自分に攻撃しようとする様子も見られたとのことでした。
その口を大きく開けてエサをせがんでいるのだとダンナくんが受け取ったひなの写真を見せてもらいました。
ひなの写真の姿は、口を大きく開けて「あっちへいけ」と防衛のシグナルを見せているものでした。
これはエサをせがんでいるのではなく、あっちへ行けっていってるのだよということをダンナくんに説明すると、しごく納得した風でした。
鳥のことを知らなくても冷静に見ればそうだと気付く動物のシグナルも、受取間違いをすることがあるのは、そのときに人の中に「感情」が芽生えてしまうからです。
ダンナくんはこう思ったに違いありません。
「ひなが可哀そう、助けを求めている、このままだと蛇に食べられてしまう、俺が助けなければいけない…」
そんな気持ちが幼く弱者である動物に芽生えてしまうと、とたんに自分は相手の保護する立場となってしまいます。
こうした動物の異種間のコミュニケーションの小さな読み違いが、実は飼い主と飼い犬の間に日常的に起きています。
一番わかりやすく毎日のように繰り返されているのが「犬が飛びついてくるのは人が好きだから」です。
カウンセリングに行くたびに言われるのは「人が大好きなんです。お客さんが来ると人に飛びついていくんです。」というセリフ。
「とびつくのは人が好きだからではありません。」というセリフを、もう何万回いやもう何十万回も繰り返し言っている気がします。
コミュニケーションの読み違いを防ぐために動物の言葉を学ぶ方法はひとつだけです。
同種間のやり取りをよく観察することです。
コミュニケーションの読み間違いは同種でも全くないわけではありませんが、非常に少なくなります。
ひなと親鳥のやり取りを観察することはなかなかできませんが、ひなの口を開ける写真は、ひながエサをもらうときにする口の開け方とは違います。
わたしたちは室内に入ってひなが少しずつ山の方に上がっていくのを観察することにしました。
親鳥たちがひなを誘導するようにたくさん集まってきていました。
もしかしたら巣に戻る前に蛇に取られてしまったかもしれません。
そう想像するとかなしくはなりますが、それが野生なのです。
そんなサバイバルの中で学ぶためには、サバイバル脳になること。
犬たちの脳もサバイバル化すると活性化します。
ひなの写真はこちらです。