枝が広がったように根が張ったクヌギはすごく強い
山の学校のオポ広場の整備を行っています。やっと登記申請が終わったので本来の目的にあったように計画を形に変えていくことになりました。
それで、植樹した木々は山の方に植え替える作戦を実行しようとスコップをもってとりかかったのですがここで大事件。
人の背の高さほどに成長したクヌギの木々の根を掘り出そうと掘っても掘っても根が長く伸びています。
愕然として少し遠巻きに見ると、どうやら木の高さや枝の広がった方向と同じように根も張っています。木の高さが160センチくらいだと枝ぶりは2メートル以上、つまり横に4メートルは根が張っていることになります。
私はすぐに「無理」を宣言。俺にもやらせてくれとダンナくんがチャレンジしたけれど男二人でも無理、それほど木の根が張っていたということです。
根が張った木々は頑丈で全く引き抜ける感じではないのです。すばらしい安定力これこそ犬の脳の発達と同じ仕組みだと改めて感動しました。
犬の脳の発達は根を伸ばすこと
犬の脳の最初の発達は子犬期の脳の発達です。子犬期の脳の発達とは、脳内の神経が根を張るように伸びていくことから始まります。伸びた根はそれぞれが地面との連携をとりながらいかに効率よく養分を吸い上げようとしているのがわかります。
根が張って地面から栄養を吸い上げているために若木の枝にはたくさんの蟻が活動をしていました。すごい栄養分なのですね。
犬の脳でも子犬のころに脳の神経が安心&安全をリターンにしながら自律的な活動を繰り返すことで根が順調に伸びていきます。
樹木の生長と犬の成長は同じなはずなのに、植物のようにはいかないのが犬の成長を支えることです。
ここには植物と動物のしくみの違いがあるからです。
犬の脳は発達できないのに犬の体は成長していく
もし子犬の脳の神経が健やかに発達することができなければ、犬は生後数ケ月もするとそれを様々な行動で表現します。発達不全の犬は不安を抱えて行動できない、不安を抱えて依存的になる、多動になるなどの行動が起きるようになります。
悪循環が始まり、活動が広がる犬の脳は周囲の新しい出来事を拒否するようになります。
脳の神経は伸びることもできず、縮んだままになり小さな脳になります。
ところが、困ったことにというのも変ですが犬の体だけは成長するのです。
植物だったら根が伸びなければ木は育たないし大きくならないのですから、根が伸びていないことが外からみてもわかります。
犬の場合には体だけはどんどん大きくなっていくので「犬はちゃんと成長している」ようにしか見えないのです。ここのところが難しいところですね。
体は大きくなっていっても脳内の神経が発達していかなければ、犬は不安定な行動つまりストレス性行動を日常的にするようになってきます。
犬の体重が増えていくことは気にしても、犬の行動が安定しているかどうかをチェックすることは一般の方には難しいでしょう。
犬にかかわる仕事をしている方の中にも、犬の行動を適切に評価できる人は数少ないようです。
最近では犬の社会化学習のために犬の幼稚園を利用する方も増えていますが、結局社会化がうまくいかったというケースもよく耳にします。
他にも他の犬に会わせるためにドッグランに通い続けて社会化がうまいかなかったということも増えています。
犬の脳が安心&安定を積み重ねながら根を伸ばして脳内に神経細胞という地図がしっかりと根付けば、子犬が成長の過程で出会う困難に対して簡単には倒れない心を持てるようになります。
それが本来の犬の社会化です。
ですが、オポ広場のクヌギが大地に根を張ったように犬の脳の発達を促すためには「育つ環境を整える」ことが大切です。
子犬が育つ環境、犬の脳が発達する環境、犬が社会化する環境について、深く深く考えていきましょう。