犬の噛みつき行動についてのご相談を受けます。
飼い主にかみつく犬の行動パターンとは
犬の噛みつきにはいろいろな行動のパターンや理由があります。たとえば、飼い主が与えたフード(えさ)を食べないといった人になついていない状態での噛みつき行動は、犬が人を恐れているという状態であるということはどなたにもわかりやすいでしょう。
ところが、多くの噛みつきは飼い主に甘える行動を見せる反面、その飼い主に対して噛みつく行動をするという問題です。
普段は飼い主にまとわりつき、キュンキュンと鼻をならして甘え、とびついてきて飼い主が離れるとワンワンと吠えて飼い主を呼ぶような犬。
こうした行動の犬は来客や宅配が来たときに狂ったように吠え、他人が近づくと後ずさりして隠れたり、興奮して飛びついたり、次第に唸るようになっていきます。
自分にかみつくようになった犬に対して飼い主がはじめに思うこと
犬の都合で飼い主にまとわりつき甘える犬が、体を触ったり足を拭いたりごはんのときにかみついたりすると、飼い主はこう思うようになります。「うちの犬は嫌な事があると噛みつくのだ」と。
犬が嫌がることをすると噛みつくと考えた飼い主は、犬が嫌なことをするときにはおやつを使って一時的にごまかしたり犬の機嫌をとろうとします。
ごはんをとられるのが嫌だと思って噛みついてくるのだと考える飼い主は、唸る犬に餌を与えて犬が食べ物を食べて落ち着きを取り戻すまで近づかないようにします。
それでも飼い主はこう考えています。
うちの犬は他人や他の犬が苦手、でも自分のことは好きなのだと。
「好き」という言葉は人と犬の関係を表現するにはなかなか難しい言葉です。
言葉を変えるなら「飼い主が好き」ではなく「飼い主を信頼している」と置き換えてみてください。
この犬は飼い主のことを信頼しているのでしょうか?
犬が飼い主を信頼していない?
では犬は飼い主をどう思っているのか。
普段は飼い主に甘えたような行動を見せてたくさんの要求をする犬。犬が嫌がることをしようとすると飼い主に唸ったり吠えたり歯を当てたりするようになります。
一方で散歩中に興奮するようになりリードをひっぱり他の犬に吠えたりおびえたり、他人に飛びついたり後ずさる行動をするようになる行動もみられるようになります。
飼い主が好きで他の犬や他人が嫌い、と判断するのは早計です。
そう判断してしまうと怖がりの犬を可愛そうだと思い「大丈夫、大丈夫」と逃げ場を作ってしまうからです。
人も同じような行動をとることがあります。
これらの犬の行動は親に反抗的な態度をとりながら、社会で他人と交わって働くことが苦手で引きこもってしまう一部の人間の行動のパターンによく似ているのです。
人と犬は違う種類の動物ですが、社会的な集団構造と構築の仕方がかなり似ています。
その似ている部分が人と犬がこれだけ近い距離で共に暮らせるようになった理由でもあるのです。
引きこもりになってしまった犬、飼い主のことを信頼しているでしょうか?
引きこもり犬は飼い主との信頼関係を失っている状態だということをまず気づいてあげることが大切です。
後編に続きます。