最近、七山の家のテラスに設置した暗視カメラに、夜中にイノシシが庭をうろつく姿を確認しました。
今年こそは境界線を越してくるイノシシに対して、罠をしかけようと息巻くうちの罠師が、構想だけは組み立てが進んでいるようです。
野生動物との戦の中で必須の「罠(わな)」という戦略ですが、実は犬もよく罠を使います。
犬が他の動物をとらえるときにも罠を使うことがありますが、この罠は犬と人の間でも使われることがあります。
犬が飼い主に対して罠を仕掛けるとき
罠(トラップ)とは、罠を仕掛けられる方が何等かの形で相手の思惑にはまる、ということです。野生動物の場合には、罠を仕掛ける方が「捕獲」を目的としているので罠にかかったということは「捕獲」に成功したということです。
罠はもっと別の目的でも使われます。
犬が飼い主に対して罠を使う一番多い例はおもちゃ遊びで見られます。
犬が飼い主の前におもちゃを持ってきます。
「あそびたいのね。」と飼い主はそのおもちゃを投げてあげます。
犬は素直にそのおもちゃを飼い主のもとに持ってきます。
そしておもちゃを飼い主の目の前に置きます。
飼い主はそのおもちゃを手で拾おうとします。
そのときに犬は飼い主の手に歯を当てます。
これは犬の罠にはまった飼い主の例です。
こうしたことがあると「偶然、歯が当たった」とか「たまたま」と言われることがありますが、この行動は一度でなくなんども繰り返されるはずです。
似たようなケースでは、飼い主の目の前におもちゃを置いたあと、飼い主がそれを拾おうとするときに、犬はさきにおもちゃを口にします。
ひとつのものをお互いの間において、相手がそれを獲ろうとするときに自分が先に取る。
犬が自分の優位性を示す行動としてはとてもわかりやすいのですが、飼い主が犬の思惑にはまってしまうために、結果として犬の罠にかかったということです。
なぜ犬は罠を使うのか?
犬はそもそも動物を捕獲して食べる捕食性という行動を身に着けています。それが犬の生得的行動であり、つまりは犬の習性です。
家庭犬になれば、動物を殺して食べるという習性を発揮する機会はありませんが、バッタや蝉などの昆虫を食べる犬たちはまだたくさんいます。
犬がそこまで考えるわけないという見方もあるかもしれません。
しかし、生きるために哺乳動物を捕獲しなければいけない捕食性動物にとって、相手の行動を先読みして行動する能力があることは当然のことです。
そもそも犬が捕食する動物であることすら忘れてしまってはいないでしょうか。
実は、こうした先読み行動は日常的にたくさん行われています。
飼い主は、犬との暮らしで案外たくさんの犬のトラップにはまり続けている可能性もあります。
日々の暮らしの中で自分の能力を高めていく、それが動物なのです。
犬もまた「罠」という戦略を使うことで自分を高めているとしたら喜ばしいことではあります。
でも罠にはめられているが飼い主となると笑いこととはいえません。
ここは気を引き締めて挽回してください。