先日のブログ記事で平岩米吉先生が書籍「犬の生態(築地書籍出版」の中で「犬の用途と種類」について紹介されていることを書きました。
その「犬の用途と種類」の中に【愛玩犬】という種類があることもご紹介しました。
平岩先生の【愛玩犬】について記されたことをここに引用します。
愛玩犬(あいがんけん)
どんな犬でも家族の一員として飼われている以上、愛情の対象にならぬものはありません。しかし、一般には、他に重要な役目もなく、ただいつも飼い主のそばにいて、そのさびしさや退屈をまぎらわらす遊び相手となっているものと、特に愛玩犬と呼んでいます。
したがって、愛玩犬はほとんど小型で、優しいものか滑稽なものに限られ、プードル、ポメラニアン(肩の高さ10センチ)、ペキニーズ、(肩の高さ10センチ)、チワワ(体重一キロ)、狆といったようなものになります。
もっとも、なかには、ボルゾイのような大型のものでも本来の猟犬としての使命を失い、その美しい姿だけをあいされるようになったものもないではありません。
犬の生態 平岩米吉先生著書 より引用
犬が人のそばで役割を持っているとすれば、愛玩犬もまた役割を持っているということであり、その内容なここに書いてあるとおりです。
飼い主のさびしさや退屈をまぎらわすためにいるというのは、実際のところ事実であると思います。
犬がかわいいからそばに置いておきたいという人側の都合は、結果として人の気持ちを救ってくれる存在となっているのは、どなたも認められることですし、それは間違っているとは思いません。
むしろ、人の寂しさをまぎらわすために人のそばにいてくれる動物として犬に感謝すべきだと思います。
ただ、大きく間違っていると感じるのは、愛玩犬と赤ちゃん犬を混同していることです。
平岩先生のいう愛玩犬とは、犬としてきちんと成長した小さな犬や姿の美しい犬のことです。
ところが、今たくさん見られる犬たちは愛玩犬ではなく赤ちゃん犬です。
赤ちゃん犬とは、すぐに吠えたり、トイレを失敗するのでおむつをしていたり、散歩中におもらしをします。
赤ちゃん犬は飼い主がいなくなると騒いだり、留守中に家具をかじったり、布を噛んでひきちぎったりします。
赤ちゃん犬は、すぐにキュンキュンというし、飼い主に飛びついてきます。
赤ちゃん犬は、嫌なことがあるとすぐに唸るし、かみつくこともあります。
赤ちゃん犬は、他の犬たちと上手なコミュニケーションがとれず、走り回ったりするけれど普通に会話ができません。
とりあえず赤ちゃん犬は赤ちゃんなので、人のいうことはききません。
つまりはしつけができるような状態にありません。それが赤ちゃん犬です。
愛玩犬として育てるのであれば、きちんとした犬に育てなければなりません。
赤ちゃん犬として扱われている犬は、成長する機会を与えられることがなく、ひとつの犬格として尊重されていないのです。
飼い主としの責任は犬を愛しかわいがることですが、犬を育てることもまた飼い主としての役割です。
平岩先生が現代の小さな犬たちの行動を観られたら、どのように評価されるのかと思います。
愛玩犬でもいいのです。人を救うすばらしい役割だと思います。
立派な愛玩犬に育てていきましょう。