先日レッスンのときに生徒さんとお話していて、犬を取り上げたテレビ番組の話になりました。
生徒さんが見たテレビは犬が視聴者の自宅でするイタズラ行動をどの犬がしているかを当てるような内容だということでした。
隠しカメラの設置によって多頭飼育の中の1頭の犬が留守中にものを破壊する行動をしていることがわかったのだけど、それを面白おかしく取り上げられていて最後は「楽しく笑い」を誘う内容であったらしいのです。
しかし生徒さんはその犬のやっている破壊行動がどうみてもストレスによる行動としか思えず「犬の悲鳴なのになんでわかってあげないのだろう…」と悲しくなり見るのを止めたとのことでした。
わたしは生徒さんの話を聞きこう答えました。
「自分でもきっと同じことを思うに違いないはずです。共感していただきありがとうございます。」と。
日常的に、犬や動物のテレビ番組をほとんど見ることがありません。
科学的に構成された動物のドキュメンタリーなどを厳選して見ることはありますが、まず絶対に見ることがないのが動物の登場するバラエティー番組です。
なぜなら動物の中でも特に犬を題材にした番組を見ると、怒りや憤りを感じるか違和感や嫌悪感を感じることが多いからです。
先の生徒さんと同じような気持ちになるのです。
犬の気持ちを理解することを全くせずに、犬の行動を笑い飛ばして自分たちの楽しみにしてしまう…あり得ないことと思われるかもしれませんが、実際には普通の方々が巻き込まれていることです。
メディアが準備した内容は間違いないという思い込みが、そのような形の犬の行動に対するひどい扱いを次々と生み出していきます。
テレビ番組で犬の行動が紹介され、楽しそう、イタズラしているから可愛い、お茶目など脚色された内容で落ちまでついていると、その犬の行動はそうしたものだと誰もが誤解するようになります。
誰もがというのは間違った言い方ですが、メディアが正義と思う人はそうなるでしょう。
犬のことがきっかけになったのかもしれませんが、自分はメディアの放送をすべて正解と思って受け取ることはありません。
本当にそうだろうか、いやそれは違うだろうという視点をいつも持っています。
自分だったらこう思う、この人はそうかもしれないが他の先生は違う意見でもあった。
などと納得のいくまでそうだと思わないような思考回路になっています。
専門分野外になると自分もついついあいまいな情報に惑わされることがありますが、簡単に正解はでないと思えるようなあいまいさを維持することの大切さを身を持って知っています。
テレビ番組に違和感を覚える自分、同じ番組を楽しむ人。
もはや共感をすることができない関係になっていきます。
犬に対する価値観は様々、犬に対する理解は二極化しています。
あなたはどちらへ進みたいのか。
今一度冷静に、犬を取り上げた年末年始の動物番組を見て考えてみてください。