少し前のブログ記事で犬のメンタルマップについて書きました。
記事はこちらです。
犬の行動を決める「メンタルマップ」について考えてみました。
要約するとこのような内容でした。
・動物の脳内には「自分とその周辺の地図」が存在していてそれをメンタルマップと呼ぶ。
・メンタルマップは犬にもあり犬はそのメンタルマップを基に行動している。
・メンタルマップの構築は犬の場合、嗅覚で得た情報によって構成されている。
上記のブログ記事にも書いたとおり私は脳科学者ではありません。
あくまで犬を行動する立場にある人間ですが、その中で犬たちがどのような仕組みでどのように物事を理解しているのかが知りたくいろいろな科学的見方を探しています。
メンタルマップは行動を決める指針ともいえるもので、犬の行動を考える上で重要な情報なのです。
今回このブログ記事を読んで下さったグッドボーイハートの生徒さんからメールをいただきました。
内容は「メンタルマップの神経回路基盤について」というものでした。
なんとその生徒さんはメンタルマップの最前線で活躍している教授や研究者の方々から直接話を聞けるような研究室にいらっしゃるとのことで、メンタルマップについてより詳しい情報を得られるサイトを紹介して下さったのです。
詳しい情報にはメンタルマップを説明するにあたり3つの脳内の部品について紹介されていました。
この三つを動物がどのように使っているのかを理解することでメンタルマップがどのように構築されているのかがわかるようになる仕組みの部品です。
1 海馬
2 場所細胞
3 格子細胞
海馬については有名なのでご存知の方も多いと思います。
犬の脳内にももちろん海馬は存在します。
記憶の整理をする場所として有名な海馬ですが、メンタルマップも記憶を基に構成されていくので海馬が関係しているということでより分かりやすくなります。
私の説明では今一つなので生徒さんがメンタルマップについて要点として書いて下さったメールの一部をここに紹介させていただきます。
マウス脳において、記憶に重要な役割を果たす「海馬」という部位の中に、特定の場所にいる時のみ反応する「場所細胞」があること。(つまりカーナビでいうと「現在地」を告げる細胞)、またその特定の場所に反応する仕組みとして、三角の格子状に分布する点にいる時にのみ反応する「格子細胞」を複数組み合わせる機構(つまりカーナビでいうといくつかの手がかりから現在地の座標を計算する仕組み)があることが示されています。
犬が脳の中に自分を中心とした地図を構成するには地点というものがたくさん必要になるということです。
つまり地図を書くときに線を引きまくるのではなく、郵便局、銀行、パン屋さん、信号機、公園といったものがありそれを結ぶように道があるというふうに構成されていくということです。
さらに最先端で研究されている生徒さんによると「これはメンタルマップの神経回路基盤と言えるような研究」なのだそうです。
私のブログ記事を読んで下さり「神経科学的なレベルでの知見と実地で実際に生物に触れる行動分析のレベルで得られた知見とが合致するような結果」だと感じて下さったということでとてもワクワクいたしました。
さらにその地点を把握する方法ですが、動物は知覚に基づいて情報を得ます。
人の場合にはほとんどが視覚に頼っています。
しかしほとんどの動物は嗅覚から得られた情報を最優先にします。
この人と他の動物との違いについてはまだ研究がすすめられているとのことです。
しかしもうひとつ大切な情報として、実は海馬に直接的に情報を送り込めるのは嗅覚だけなのです。
だから嗅覚は記憶に最も近い情報とされています。
その海馬がメンタルマップの構築をしているとなると臭いを中心にして生きる犬などの動物の方がメンタルマップの構築はむしろ確実なのではないかと考えました。
カーナビを持たない動物がどこを見ても同じ風景の森の中を移動するための手段として使っていたメンタルマップ。
あなたの犬の中にはどのように存在していると思いますか?
続きはまた次回。お楽しみに。
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地図「オポの行動から学ぶメンタルマップの構築について」