グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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成長した犬のお乳を吸う行動のなごりはなぜ見られるのか?

犬が哺乳類であることをご存知だと思います。

哺乳類とはその言葉のとおり、子育てをするにあたって母にあたる動物が子の動物にお乳を吸わせて成長させる類のことです。

人と犬はどちらも哺乳類です。

人と犬にたくさんの違いがある中で明確な同じ部分がこの哺乳類という分類です。

身近な動物、猫、牛、馬、サル、イノシシ、鹿も哺乳類に入ります。

哺乳類である犬は、子犬のころに母犬からお乳を吸って大きく成長します。

ところがこのお乳を吸う行動=哺乳行動が犬が母犬から離れた後も、成長後かなりの年齢まで残ることがあります。

犬の哺乳行動が母犬から離れた状態で起きるときには、こんな行動になります。

・タオルに口をつけて吸う

・オモチャを持ち上げて吸う

・ケージの網を噛んだまま眠ってしまう

・飼い主の洋服を噛みながら寝てしまう

・飼い主の指を吸う

・他の犬の尾や体の一部を吸う

・フードの早食い

こんな何かをしゃぶっていたり吸っていたりする行動は、犬が哺乳をする行動なのです。

 

なぜこのような行動をするのか、人や他の動物の研究によって明らかにされていることが一つあります。

それは「十分に母犬から哺乳されなかった」という欲求不満です。

犬の哺乳欲求は食べ物を食べられるようになったらなくなってしまうように思えます。

実際には食べ物を食べていたらお乳を欲しがるわけではありません。

しかし必要な時期に必要な欲求を満足させる行動をしなければ、哺乳行動は満たされなかったということで長い間「他の何かを吸う」という転嫁行動として身についてしまいます。

先日のアニマルウェルフェアの講習会にも同じような話題があったのですが、牛も子牛のころにある強い吸入欲求を満たすことができなければ、舌遊びや柵かじり、ごはんの早食いをするようになるそうです。

子牛の場合にはお乳は人用に捕られてしまうため子牛たちはバケツにいれたミルクを与えられることがあり、この際にミルクをがぶ飲みすると上記にあげたようなストレス性行動をするようになるとのことでした。

これは犬にも同じことが言えるためとても興味深いなと感じました。

犬も同じようにお乳を十分に吸う時間を与えられないと、お乳を吸う行動の転嫁行動が生涯を通して残る場合があります。

犬にこのようなお乳を吸う行動が見られると少しびっくりされて慌てられるかもしれません。

しかしこの行動はそんなに簡単にはなくなりません。

ストレス行動は叱ったりほめたり、罰を与えたり、ご褒美を与えたりすることでは治すことができないのです。

犬が抱えている幼犬期の欲求不満をよく理解してあげ、適切なものに転嫁しつつ、他の対応を考えてあげる必要があります。

みなさんは笑顔で子犬を迎え入れられたでしょうが、子犬の方は「いろいろあって大変だった」ということだと思います。

最近は子犬の販売数が増えており、繁殖を急ぐあまりお乳を吸う時間を十分に取れていないこともあるでしょう。

あなたの犬を理解して対応してあげられるのは飼い主であるあなただけだということさえわかって下さればあとは飼い主さんが学びの中で今子犬にとって最も大切なことは何かを知って根気強く対応することです。

犬はあまりにも人になつきやすい動物であったばかりか、あまり理解されずに人のそばにいるようになりました。

犬の良いところが、犬にとっての難しさを生んでしまったわけです。

それでも犬は長い時間人と付き合ってくれる動物ですから、こちらも犬から学んだことを犬に返してあげる時間を持てます。

そのことだけが救いと言えます。

犬の乳を吸う行動の名残を見たら、犬にはまだこれから解決していきたいことがあるのだということです。

やりがいがありますね。