人はある程度は「人によって態度が違う」のがまかり通っている。
上司には礼儀正しく年下には横柄にとか、自分に利益がありそうな人には下手に出てどうでもよさげな人は無視するとか。
「人によって態度が違う」が犬にも起きるのを見たことがあると思います。
そんな報告をつい先日受けました。
それはトレッキングクラスの後のお茶タイムのことでした。
ある生徒さんが送迎サービスを利用してトレッキングに参加されていました。
クラス終了後に少しのティータイムを取ることになりました。
犬ちゃんはとても礼儀正しい場をわきまえるしつけのできた犬でした。
「お部屋にいれていいですよ。犬用のマットになるもの(このときは犬用の柔らかいバッグを利用)を敷いてその上に待機させてあげてください。」
とお願いしました。
飼い主さんは犬用のバッグをベッドにみたて、ここに待ってねと犬ちゃんをそこに待たせました。
わたしたちの食べていたおやつに少し興味を示したものの、これ違うよねと犬ちゃんを見ると数歩前に出たもののすぐに後ずさりして待機を続けます。
やっぱりちゃんとした犬ちゃんはどこにいってもちゃんとしていると関心したものです。
私は次の仕事のために「お先に失礼しますね。」といって生徒さんと送迎係のダンナくんを部屋に残して車で出たのです。
その後の犬ちゃんの豹変ぶり行動が「報告」として挙がってきました。
私の車が出ていく音、ブーっという音が聞こえなくなったとたん…犬ちゃんは部屋の中をあちこち探索しまわったそうです。
そしてじゅうたんの上に自分の臭いをこすりつけたり、ダンナくんの手に自分の鼻をなんども押し当てて要求行動を繰り返したりしたとのことでした。
私がいるのといないので、犬の行動がびっくりするほど変わってしまったことに、飼い主さんとダンナくんで大笑いだったということです。
といっても私が格別その犬ちゃんといっしょに過ごしたわけでもなく、ゴハンを与える人でもなく、罰を与えたわけでもありません。
それでも犬は、ここではこの人がルールなのだと環境を通して学んでいたのです。
私がいないと環境が変わることを理解できることは、その犬が賢いということです。
ただ態度を変えてしまうことについては、犬側からするとずる賢いのでもなんでもありません。
犬はただ環境の変化に敏感に反応できる動物であり、環境に応じて素直に行動しているだけなのです。
こうした行動は犬をほめたり叱ったりして起きることではありません。
環境を整えることこそ犬の行動を安定させる道具であり、人はその環境の一部なのだと考えるととてもシンプルです。
豹変した犬くんを見ることができない私は写真でその姿を確認しました。