ドッグトレーニングなのに犬の自然治癒力に注目している理由
犬のトレーニングなのになぜ?と思うかもしれませんが、自然治癒力は体の病気の治癒のはなしでは収まりません。
自然治癒力というのは病気のことだけでなく、精神的な傷の治癒力にも関係するからです。
犬のトレーニングの依頼には、吠えること、噛みつくことといった具体的な問題行動の他に、パニック症、不安行動、多動、異常行動、恐怖症、コミュニケーション障害といった症状が行動として現れていることもたくさんあるのです。
症状によっては犬の精神の一部が損傷を受けているわけなので、それが自然に治癒されるのにどのような環境とどのくらいの時間が必要なのだろうかと考えるからです。
今日は自然治癒力を考えるにあたって、自分の自然治癒力に関心を持っていただくことで話を広げていきたいと思います。
神田橋先生の書生から自然治癒力の働きについて学ぶ
そこでまた転載させていただく資料が神田橋條治先生の書籍「精神科養生のコツ」です。
同書の53ページ第四章「自然治癒力の働きを見つける」から転載します。
ここから…
いのちは、よくない状態から回復するためのいろいろな方法を、自然にもっているのです。
これが自然治癒力です。
病気のときには、必ず自然治癒力が働きます。
いのちが病気をなんとかしようとするからです。
ここまで…
神田橋先生の適格な自然治癒力の説明については先日のブログでも転載で紹介しました。
簡単にはこのような説明なのですが、病気はそう簡単にはなおりません。
自然治癒力が働いてすぐに勝手に治癒が進むのなら、医療はここまで発展しなかったでしょう。
草刈り中におきた小さな切り傷は放置しておけばそのうちに治癒しますが、
激しく損傷した傷は手術を受けないと治癒せずに悪化してしまうこともあります。
それだけでなく、自然治癒力というのは悪い状態から回復する段階では、いろいろ難点があるのです。
神田橋先生は同書にこのようにまとめられました。
ここから転載
まず第一に、症状は不快であるという点です。
症状を消したり軽くしたりするほうが「気持ちがいい」のです。
ですから熱が出ると熱を下げたり、痛みには鎮痛剤を飲んだりするのです。
第二は、症状が生活の妨げになるという点です。
また、熱が出て食欲がないので食事をしないと、体が弱ることもあります。
生活のためには、吐き気を薬で押さえて出勤しなければならないことも多いでしょう。
第三は、自然治癒力の作用は、少し遅れて始まり、少し遅れて終了するという点です。
ですから、もう胃の中がカラッポになっても、ムカムカ感や吐く動作は続くのです。
そのときにはもう、吐く動作のようはすんでいるわけですから、止めた方がつごうは良いわけです。
最後に第四点として、症状の中にある自然治癒力の働きについては、医学の世界でまだまだ新しい発見が続いているという点です。
いま行われている症状を止める治療が自然治癒力を邪魔していることが分かってくるかもしれません。
ここまで転載…
転載が長くなりましたが黒字が要約です。
要するに自然治癒力は、不快で、生活の妨げになることもあり、遅れて始まり、働きについてはまだ明らかにされていない、と不安定な要素が満載なのです。
「絶対に治ります」という言葉は医療現場では患者には言わない言葉だと聞いたことがありますが、自然治癒力の働きや作用は完治の保証もないもっと分からないものでつかみどころがないものだけにどうつきあえばいいのか不安になります。
自然治癒力に頼って本当に治るのだろうかと不安を抱えてしまうのも仕方ありません。
さらに治癒が働く際の自分の中に起きる気持ちの悪い変化に注目して過ごすのはなかなか難しいことです。
自分の内側に注目することで自然治癒力を感じることができる
でも自分が望んでも望まなくても個々の動物の中には自然に自然治癒力が働くシステムになっています。
どうやったって毎日このことが自分の中に起きているのだから、積極的に付き合った方が良いと私は思うのです。
自分の中に起きていることに注意を向けることで自然治癒力が今働いているかどうかを知ることができるということなので、これだけでもまずは習慣づけたいと自分の内側で起きていることに注意を払う習慣をつけています。
実はこのことに関して犬は圧倒的に人よりも勝っています。
犬や良い意味で自己中心的なのです。
自己中心的とは自分勝手に要求するということではありません。
自分に起きていることを一番大切にするということです。
そのため、環境が整っていないとか、自分の発達が追い付かず環境の中に安心を得られないと感じるとすぐに行動として表現してくれます。
犬は自分の中に違和感を覚えるとすぐに飛びついたり、噛んだり、吠えたり、走り回ったりといった興奮行動や攻撃行動をしてくれます。
犬は自分の内面に起きていることをちゃんと表現できるとても分かりやすい動物なのです。
ということは犬は自然治癒力が自分の中に働いているときにもすぐに行動に示します。
それは自然治癒力の操作としておきる「気持ちが悪い」という行動もたくさん入っています。
ヒトにからみると明らかに具合が悪そうな犬。
飼い主としては見過ごすこともできない気持ちもよくわかります。
下痢は止めたいし、咳も止めたいし、熱も下げたいし、震えも止めたいし、かゆみも止めたいです。
すぐに医学的な処置が与えられるでしょう。
外飼いの犬の場合には人に気づかれることがなく、少しの不具合は自然治癒力で解決していたことも、室内の犬となると飼い主の気づきも早くまたどこまでを見守っていいかがわからず手の出し方も微妙な感じになっていきます。
犬に起きている自然治癒についてわからないことばかりですが、まずは自分の中に起きていることをわかるようになることが先です。
もう少し勉強したいという方は神田橋先生の書籍「精神養生のコツ」を読んでください。
とても役立つ日々できる自然治癒力を感じる方法がたくさん書いてあります。
神田橋先生は自然治癒力を治療を考えず、養生と考えて取り組むことをすすめられています。
近々goodboyheartの本棚にもアップしておきます。
犬をなでて気持ちがいいだけでは本当の治癒にはならない
最後になりましたが大切なこと。
犬をなでたり触ることで人は「気持ちがいい」感覚を得ることができます。
これが人のいう「犬に癒される」という感覚です。
アニマルセラピーはこの「動物から癒される」効果を活用したセラピー活動です。
でも神田橋先生の書籍の中にもたくさん登場するとおり、本当の根の治癒は「気持ちがいい」という快楽だけでは終わりません。
気持ちがいいと一瞬癒されてもまた人は次のストレスをためてしまい、毎日犬に触って気持ちがいい繰り返すことは犬に負担をかけていることもあるのです。
触られる犬の方がどんどん落ち着かない感じになっているのなら、触れることも負担になることがあると受け取り別の「気持ちがいい」環境を探しておきましょう。
人が癒されたいと思っている以上に、犬も自然の力による治癒を必要としています。
だからいっしょに自然の中のもっと大きなエネルギーの中に入っていくために、犬との山歩きおすすめしています。
9月から多少昆虫たちがワイワイしますが秋はトレッキングに最も適した季節です。
ぜひ山歩きを習得して犬と共に癒される空間を見つけてください。