普段無意識に犬に使っている言葉ですが、犬とのコミュニケーションをより良い方向に進めたいなら使って欲しくない言葉があります。
それが「ダメ」という言葉です。
訪問レッスンに伺ったときにとても多くの方が犬に対して「ダメ!」を連発しているのをよく耳にします。
全く効果のない犬に対する「ダメ」という言葉ですが、無意識で使っている方がほとんどなので自分では言っているつもりがないのです。
あーダメよ。とか
あーそれダメダメ。とか
ダメでしょ。ダメ。などいろんなパターンの「ダメ」があるようです。
ところが犬のしつけにおいては否定的な言葉はほとんど意味がありません。
犬に「これをしてはいけない」と伝えることはできないからです。
例をあげましょう。
とびつきが多発している犬がいるとします。
犬が人に飛びついてくるので、飛びついたときに「ダメ」と何度言っても犬は絶対に飛びつきがダメだとは学びません。
犬がソファに乗ることを止めさせたいとします。
犬がソファに乗ったときに「ダメ」といって下ろしても、ほとんど効果はありません。
効果があるのは、ソファに乗る前、飛びつく前に、どちらの行動も阻止できたときです。
そのときにダメという言葉を使うことがあるかもしれませんが、それはダメという言葉の意味を理解したのでななく、なんらかの方法で行動が阻止されたことで行動しなかったことを学習しているのです。
自分の後ろを犬がついてくるのを「ダメ」というのなら、それは「ダメ」ではなく「マテ」ですね。
リードをひっぱる犬に引っ張ることを止めさせたかったら「ダメ」ではなく「つけ」ですね。
「ダメ」を連発せずに、犬が何をしたらいいのかを教えることを犬のしつけといいます。
自分が犬に対して「ダメ」を使っているかどうかはなかなかわかりにくいものです。
家族がいるなら「ダメ」使ったら10円のペナルティなどやってみてください。
飼い主がひとりなら犬と一定の時間を録音してあとで聞いてみてください。
知らぬうちに増えている「ダメ」の数。
その数だけ、犬は本来学ぶべき機会を失っています。
「ダメ出し」では犬は学ばないことを知っていただき、本当に身につく犬のしつけを学ぶことが犬との生活を楽しくしてくれます。