犬の社会化という言葉をご存知でしょうか。
ほとんどの犬のしつけの本には見られるようになった「犬の社会化」というワードが広がり始めたのはここ20年くらいではないかと思います。
自分の学生時代に暮らしていた犬の社会化など考えたこともありませんでした。
その言葉を聞いたのは犬の仕事に就いたときで、そのときですら犬の社会化というものに対して科学的に説明してくれる先輩はいませんでした。
その後の犬のセミナーでなんども社会化という言葉を聞きました。
なんとなくぼやけてしまう社会化ですが、科学的に納得のいく説明文になるとこうです。
「犬の社会化とは犬が環境の中で持続的に行動を通して安心を獲得していく活動のこと」
犬と暮らしているみなさんに、この言葉の意味がわかるでしょうか。
この文章をもう少しわかりやすく数行にわけてみます。
・犬の社会化とは環境の中で持続的に行われる
つまり犬の社会化はずっと継続するもので、一時的に行われ終了するものではないのです。
犬の社会化とは生涯を通して継続する社会的機能の発達なのです。
・犬の社会化は犬が環境の中で行動することで身につく
犬の社会化とは犬が自ら行動することで身についていきます。
つまりは、犬に一方的に刺激を与えることでは実現しないということです。
なので、犬を抱っこして散歩しても全く社会化は身につかないということになります。
・犬の社会化とは安心を獲得する中で実現する
犬の社会化とは犬の脳の機能性が高まり、自らの行動を通して安心を得ることの繰り返しのことをいいます。
これは大丈夫、これはこのように回避する、これはこのように対応することで攻撃を免れる、などすべてが安心獲得の作業なのです。
ですから犬と走り回ることで安心を獲得するのではありません。
闘争行動、逃走行動、興奮行動の繰り返しは社会化を促進しないのです。
犬の社会化学習を説明する際に、刺激を与えることではないということだけでもわかっていただきたいのですが、なぜかたくさんの人や犬のいるところに子犬を連れていきたい飼い主さんが多いのに驚きます。
あなたの犬のもっとも大切な社会化は、まずテリトリーを獲得すること、身近な飼い主という動物を理解することです。