犬と犬を対面させるときに、性別の異なるもの同士を合わせることがあります。
犬の性質や経験にもよりますが、性別の異なるもの同士の方が喧嘩の可能性が下がるからです。
対峙したときの緊張感もオスとオスよりもオスとメスの方が低いのです。
同じ理由でメスとメスよりもメスとオスを対面させる方がリラックス感が生まれやすいのです。
相手が自分と同性か異性かによって行動が異なるのは、個性を超えた生物学的な行動のパターンです。
犬と同じ仕組みでオスとメス、つまり男女に分けられる私たちヒトに当てはめて考えることができます。
自分の行動は最も理解しがたい部類なので、知人や友人の行動を観察してみてください。
たとえばある女友達は、相手が女性の場合と男性の場合とで明らかに態度が違うと感じたことはないでしょうか。
ある男友達についても、相手が男性と女性では行動が違うと思うこともあるでしょう。
これは生物学的に作られた行動のパターンで、同じことが犬に当てはまります。
メスとメスを対面させると緊張した空気、遠回しな資源を守りあう行為が生まれることがあります。
オスとオスを対面させると、一触即発、もしくは一瞬でケリをつけてしまうこともあります。
オスとオスなら勝ち負けが第一。でもメスもメスとならどちらがたくさん持っているかが勝負なのです。
先日お預かりクラスのときに、小さなオスの犬ちゃんと同年代のワンサイズ大きなメスの犬ちゃんを初対面させました。
どんな犬ちゃんにも積極的にアプローチするメスの犬ちゃん、ちょっと面倒くさそうにかわそうとするオスの犬ちゃん。
でもはっきりと嫌だということもなく、ガウもいわない、逃げもしない、吠えもしない、隠れもしない。
適当にチラ見しながら少し知らんぷりを繰り返していました。
オスの犬ちゃんのそばにつきっきりでぴょんぴょんと飛んでいるメスの犬ちゃん。
適当に相手されていることが伝わっているようで、案外満足そうでした。
犬にもある人間のような一面。
でもこれは擬人化された風景ではなく、動物として、生物としてあるべき反応なのです。
犬は人間ではない、でも同じようなところもある。
全く違うところもあるし、そうでないところもある、だからこそ犬のことがわかりにくくなるのでしょう。
違いを楽しみ、似ているところもたのしむ、お互いを動物として認め合うというのはなかなか難しいからこそ面白いものです。