犬を大切に我が子のように育てて暮らしていらっしゃる方なら、犬にどのくらいのストレスがかかっているのか心配されるのは当然です。
どの飼い主さんも「犬にとってストレス」という言葉に素早く反応してしまいます。
お留守番をさせるのがストレスなのか
散歩に連れていかないのがストレスなのか
抱っこしてあげないのがストレスなのか
もう訳がわからなくなってしまっているのではないかと思いますのでいったん整理しましょう。
まず、犬は成長を促されていないかぎり「未熟」であるということ。
そしてその未熟な犬はどの犬にも成長する機会という権利を持っているという認識を改めて共有したいのです。
その上でいうと、犬にとって一番のストレスは未熟で精神的に成長していない、つまり発達していない状態にあるということです。
これはどの動物にとっても最大のストレスになります。
赤ちゃんと同じ状態でありながら、危険を感知するセンサーだけが発達してしまうのですから、常に要求したり騒いだりパニックしたりするような状態になってしまいます。
犬は成長という機会を与えられると、社会的な態度というのが身についてきます。
犬には犬という動物の性質の特徴である「服従性」という性質があります。
これは所属するグループの主たるものに従うという性質です。
服従という言葉の響きにマイナスの響きもあるので受け付けない方もいらっしゃるかもしれませんが、服従は決して上から下に押さえつけるようなものではありません。
服従性とは下が認める主たるものへの敬意を含む従う行為なのです。
成長と共に芽生えるこの服従性が育てられないと、犬には未熟性が残ります。
未熟性が残る犬は常に接触を求め、とびつき、鼻をならし、手をかけてきます。
怯えや震え、逃げといった行動もよくみられます。
犬を成長させていない状態なのに、犬のストレスになるからと犬の好きなようにさせてあげることは犬にとっては決してメリットのない負のスパイラルなのです。
犬が少しでも嫌がったらストレスになるからと手出しをしていないでしょうか。
犬が少しでも鼻をならしたらストレスになるからと全部やってあげてはいないでしょうか。
未熟性を高められた犬たちはよく鼻をならし要求をしますが、同時にうなったりあまがみするという攻撃性も引き出されてきます。
人の子供と同じように子供を社会的に成長させずに過保護にしてしまうと子供のストレスが攻撃性となって表出してしまうのです。
子供の年齢でいうと20歳から30歳にかけて厳しい家族への殺意が芽生えるようになるようですが、犬も同じように1歳半から3歳にかけてこの突発的な攻撃性が見られることがあります。
犬にストレスをかけないようにと犬の好きようにさせているように見えて、実は犬に過大なストレスを与えているとすればどうでしょうか。
社会性の高い動物は、家族間で社会的なお互いを尊重し役割を認め合う関係が築き上げられることが最も強い精神性を持つということです。
犬たちをみて日々思うこと。
とても大切にされているのだけど犬としての最もキーの部分が引き出されていないこと。
すごく深い問題なので、取り組む飼い主さんは少ないかもしれません。
でもグッドボーイハートの生徒さんなら、ぜひトライしてください。
犬の服従心は犬の中心にあります。