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<犬のこと>子犬の時のもうひとつのトラウマ体験

先日のブログで子犬期に抱えやすいトラウマ経験についてお話しました。

こちらです↓
<犬のこと>子犬の時の経験がトラウマになることとは

主に飼い主さんの手元に来る前のトラウマ体験についてお話したもので、飼い主としては事前勉強をしっかりして社会の価値観を変えて欲しいという気持ちで書きました。

今日のテーマは、飼い主自身がいつの間にか子犬にトラウマ体験をさせてしまっていることのひとつについてお話します。


子犬のトラウマ経験は少ないに越したことはありません。

飼い主であれば子犬のころに子犬の心に傷を残すような体験をさせたくないと思うでしょう。

ところが知らず知らずのうちに、子犬にトラウマを生じさせてしまっていることがあります。

それは散歩中に起きてしまいます。


子犬は早ければ生後3ケ月から、遅くとも生後4ケ月くらいには家の周辺を散歩させるようになります。

最近ではなぜか犬を散歩に連れていかない飼い主も多いのですがあくまでこれは例外だと思ってください。

犬にとって散歩は日課であり、するのが普通の生活です。

この子犬の散歩体験のときに、様々な外的な刺激に遭遇することになります。

このたくさんの体験の中にはトラウマとなる危険性がたくさんあるのですが、一番見逃されているのに最も傷を負わせる体験とはなんでしょうか。


それは子犬が他の成犬から吠えられるという経験です。

吠えられるというのは防衛的は吠えで、いわゆるワンワンとかガウガウとかいった声で吠えられることです。

こうした吠えは犬が自分のテリトリーを守るために出る吠えです。

散歩中に他の犬に吠えている犬の多くは、自分のテリトリー内で出会った他の犬に対して「こっちに来るな、あっちへ行け」といった防衛を目的として吠えます。


散歩にではじめたばかりの子犬にはテリトリーがありません。

成犬たちが作ったテリトリーの中に自分は新米として登場するわけです。

そこで成犬たちにワンワンと吠えられてしまう経験は子犬トラウマとなります。

吠えられるという行動は攻撃を受けるという行動です。

乳歯しか持たず戦うことを知らぬ子犬が、受け入れられるべき大人の犬から攻撃を受けるということです。

人に置き換えていうと、幼稚園児が大人からなんくせをつけられて脅されるといった行為を受けるということです。


これが1回きりというのなら経験としては回避できるかもしれませんが、毎日の散歩で会う犬が決まっているとどうしても同じ犬からいつも吠えられることになります。

子犬の散歩中に家の敷地内からいきなり吠えかかってくるケースも珍しくはありません。

家の庭の敷地で吠える犬にしてみれば、常に敷地が他の犬に脅かされているという劣悪な環境なのです。

吠える犬は決して悪くなく悪いのは飼い主なのですが、それをここで論じても仕方ありません。

子犬の立ち場では、敷地の中からであってもガウガウと吠えられるような経験は犬に対する緊張や恐怖を植え付ける結果となります。


この子犬期の経験は案外軽視されています。

というのは人側からみると歩いている犬の吠えは危険性がある程度感じられるものの、柵の中から吠得ているだけだからびっくりする必要はないだろうと感じるからです。

同じように犬が理解できるようになるのは、犬がもっといろんな経験を重ねてからです。

一定の経験と学習を重ねると、柵内で吠える犬がたいして危険でないということを大人の犬は理解するようになることもあります。

ただ子犬にこれを理解させることはできません。


庭の柵越しに吠える犬の前を通過しその犬に吠えられる経験を重ねるたびに、子犬は他の犬に対して攻撃性を高めていきます。

また散歩中にリードがついていてもどんなに距離があっても、会うと必ず吠えられる経験を重ねた子犬は特定の犬が苦手になったり、同じような容姿の犬に対して攻撃性を高める結果となります。


これがトラウマとなってしまうのは飼い主には理解できないかもしれません。

なぜなら吠えかかる成犬に対して子犬の方は無反応であることが多いからです。

子犬は吠え返すようなコミュニケーションを持っていないことと、子犬は環境に対して無防備であるので反応も少ないからです。

これは人の子供でもあることですので、子育て経験のある方なら納得されるでしょう。

子供が怖がっている反応を示しておらず、子供に聞いても怖くないといっていたものやことが、実際にはトラウマになることがあるのです。


飼い主として子犬にトラウマを与えないためにできることは案外簡単です。

柵越しに吠える犬がいるならその家の前は散歩のコースから外すべきです。

散歩中に吠えかかってくる犬がいるなら時間やコースを変えてみましょう。

相手の方が悪いのになぜこちらがと思う気持ちもありますが、新米なのですから仕方ありません。

子犬の散歩にとって安心安全なコースと時間を選択するという気持ちで、吠える犬を避けたコースを選びます。

公園も少なく狭くなり吠える犬が増える環境の中では難しいことも多いでしょうが飼い主としてはがんばりましょう。

さらに積極性を増すなら、吠えている犬の飼い主に「犬が吠えるのはストレス行動だときいたから心配ですね」と持ち掛けて、犬のトレーニングスクールを紹介することです。

ある生徒さんは自宅近くの散歩コースで見つける吠える犬たちにこうして声掛け運動をして積極的に自分の環境を改善させていかれました。

なかなかできることではありませんが、自分の犬にとってもプラスになり、さらに相手の犬にとってもプラスになることで皆が幸せになることですからすばらしいことです。

できないことはできないから、できることから始めるならどなたでもできる犬のこと、おすすめします。

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