家庭訪問レッスンクラスのときに生徒さんから嬉しいお言葉をいただきました。
トレーニングクラスを受講するうちに犬との距離感が取れて心が楽になりましたというお言葉でした。
今まで犬とどのように距離感を取ったらいいのかわからず、どんなことでもしてあげようとという思いが強くなりすぎで自分も窮屈になっていたとのことでした。
それぞれの個々人が犬とどのように接するのか、どのように暮らしていくのかに最も影響を与えたのは自分が小さいころに接した身近な犬との記憶です。
「小さいころに犬を飼われたことがありますよね。どのような生活でしたか?」とお尋ねしてみました。
そのご家庭では次々に4頭ほどの犬を外飼いで飼っていたらしいのです。
その犬たちは柴犬だったかなにか日本犬だったと思うといわれていました。
そしてどの犬も自由に庭で過ごしていたとのことなのです。
係留せずに囲いもなく庭も外も自由に行き来していたとのこと。
さらに当時のご自宅は1階が病院だったので、病院の受付や待合室にも犬は勝手にはいったり出たりしていたらしいです。
昭和40年代くらいの話だとのことでしたが、愉快な話です。
病院の患者さんも特別困った感じもなく、みな普通の風景として受け入れられていたとのことでした。
日本では狂犬病予防法が昭和25年に施行されてから、犬の飼い方に変化が起こりました。
昭和40年代ではまだまだ犬について昔ながらの風習も残っていたのかもしれません。
その和やかな外飼いの犬と暮らす日本人の生活が、西洋の洋犬種をさらに日本独自の方法で愛玩化した小型犬を抱っこしてかわいがるようになったのです。
距離感がつかめないのも理解できます。
自分たちが幼いころに見てきた犬と、今目の前にいる小さなぬいぐるみのような飛んだり跳ねたりキャンキャンと吠える犬がとても同じ動物だとは思えないからです。
でもどちらも分類学上はイヌ科イヌ属
プードルと雑種は分類学上も違う動物だと誤解されている方が多いのですがこれは違います。
プードルと雑種は同じ種の動物であるという事実を認めた上で、わたしたちがどのように彼らを変化させているのかを知る必要は十分にあります。
あの昭和の貧乏だったけどわりとゆるやかだった犬の生活はもう戻ってくることはありません。
人の記憶の中にある風景も少しずつ消えていきます。
とても大切で忘れがたきこと、語り継いでいただきたいものです。