動物にとって震える行動はひとつの状態の現れです。
犬も震える行動をする場合があります。
震えは神経機能と結びついて起きることもあるので、犬によってよく震える犬、あまり震えない犬と別れます。
実際に自分の犬はよく震えると感じられることはないでしょうか、逆にうちの犬はあまり震えるのを見たことがないということもあるでしょう。
また、震えは神経的な操作であると同時に、身体的には体の末端に血液を送り込む生理機能も持ちます。
犬にとっては体を正常に戻すために必要な機能でもあるので、悪いものと決めつけずに科学的かつ客観的に観察して対応できるようにすることをおすすめします。
犬の震える行動について飼い主さんがとても心配されるのを目撃することがあります。
震えているけど大丈夫なんでしょうか、震えているから怖がっていますよねと飼い主さんの方が犬以上にナーバスになってしまうともう何も見えてきません。
ブルブルと震えている犬を見ると「かわいそうに」「怖がっている」と抱きしめたくなる飼い主さんのお気持ちはよくわかります。
しかし、前に書いたとおり正しく見ることができないと適切に対応することもできないので、まずは冷静さを取り戻して犬の行動をよく観察してみましょう。
犬が震えているのを見ても「犬が震えている」=「犬が怖がっている」といきなり判断を下さないことです。
即決は人の脳の方向を決めてしまう「思い込み」という墓穴になることもあります。
犬が震えているのを犬が怖がっていると思い込んでしまうと、自ら掘った墓穴に入り込んでしまいその後なんど思い返そうとしてもなかなか新しい発想が生まれてきません。
どうやら脳は解決済ボックスに入り込んだ問題を再度問題とすることを好のまないようです。
こうなる前に震える犬を見たときは「もしかしたら怖がっているかもしれないけれどそうではないかもしれない」という曖昧なゾーンにとどまって欲しいのです。
動物の震えという行動についてはもう少しいろんな状態があることを考えてみましょう。
私たちは確かに怖いときには震えますが、もっと違うことで震えることはないでしょうか。
例えば自分の経験をいうと、天ぷらやさんで天ぷらを食べたあとに帰宅してから震えが出たことがあります。このときは相当震えたので自分でもまずいなと感じました。
自分に起きたことを全く知らない人に言い当てられたときに震えるような感覚を得たこともあります。
他にも怒りがたまってくるとわなわなと震えるということをご存知でしょうか。
さらにどうしようと不安が高まったときにも震えはでます。
貧乏ゆすりという行為は最近はあまり目にしませんが、これも震えの行動のひとつです。
犬の同じように恐怖で震えるだけでなく、体調不良でも震えますし、自分の思い通りにならないことや予測を裏切られるようなことでも震えることがあります。
震えているから怖がっているという単純な判断を下さない方が賢明です。
犬同士の反応を見ていると震えている犬がいても周囲の他の犬はその犬に対して大した関心も示さないことが多いのです。
犬にとっては他の犬の状態は自分の安全や情動にも影響を与えますので、動物が闘争傾向が高まるときは主張や要求が高まることに対しては敏感に反応するものです。
ところが犬の震えについては他の犬があまり気にしない行動のようです。
他の犬を脅かす必要のない行動が無視すべき行動であるとは言いません。
ただ震えている犬に駆け寄って抱きしめたり抱き上げたりさすったりなだめたりするような行動は差し控えてみて欲しいのです。
震えている犬は一定時間を経過したりちょっとした環境の変化で震えるのを止めてしまいます。
人以上に行動がはっきりと出る動物なので震え方は尋常ではなく、本当にブルブルと震える犬もいるのでびっくりされるかもしれないのですが、少しの間だけ観察してみてください。
震えが落ち着けば声をかけない、また震えているときに飼い主が凝視しすぎると動物はなかなかその行動を変化できないこともあります。
固まるものには固まって応じる反応が出てしまうからです。
まずはリラックス、そして震えるといってもいろいろとあるからなと思い聞かせ、それから経過を観察して犬の状態を正しく把握していきます。
犬のたかだかひとつの行動ですが、いろんな意味があったり環境の影響を受けているものです。
人とは違う種の生き物なのだからひとつ知ることがすごく大変だけど楽しいのだと思って長く付き合っていきたいものです。