インフルエンザが流行しているらしいので福岡では警戒しています。
七山の方が寒いので心配して声をかけてくださることが多いのですが、七山は流行がないのでインフルエンザも見当たりません。
人口密度が少なすぎるということもあるし、湿度がかなり高いためウイルスが生存するのは困難な環境です。
どんなに手ごわい生き物にも、それぞれが適切に生育してくる「環境」を知ること、そしてその環境を与えないこと。
インフルエンザウイルスの感染防止の基本もやはり「環境」です。
もちろん犬の場合にも、犬が正しくかつ幸せに成長し発育していくために適した「環境」というものがあります。
犬に適した環境を与えないと犬が死滅してしまうということであれば、犬を家族とする人ならなんとしてでもその環境を手に入れようとするでしょう。
ところが犬の場合には、多少不適切を思われる環境におかれたとしても、簡単に死ぬことはありません。
ウイルスのように環境が良いとその数は増えて広がり、不適切だと死滅してしまう方が分かりやすいです。
では犬にとって今おかれている環境が適切なのか不適切なのかを知るための方法はないのでしょうか。
生きるか死ぬといった究極の選択でなくとも、犬には別のメッセージがあります。
豊かに発達してきた犬という種族ですから、犬のコミュニケーションを通して周囲に、自分の成長が上手くいっていなことを知らせるシグナルを持っています。
そのシグナルがストレス性行動といわれるものです。
犬のストレス性行動には様々なものがありますが、わかりやすいところでいうと、吠える、咬みつくといった行動もストレス性行動のひとつです。
吠えるの中には喜びや合図の吠えというのもなくはないですが、連続する吠える声、不安定な音の声、つまり極端に低い唸り声や高い奇声といわれる声は、あきらかに犬が自分がストレス下にあることを教えています。
日常的な生活環境が犬にとって不適切である場合の多くのシグナルは、常同行動という同じ行動をくり返す行動に表現されています。
犬にとって不安定な環境が継続してくり返されるわけですから、ストレス行動をくり返す常同行動で答え返すというのは、もっともなリアクションです。
犬の常同行動として大変よくみられるのは、犬の手やあしとなる脚をなめる行動です。
犬がなめる場所としては、自分の体が多いのですが、他にも飼い主の体、床やカーペット、犬用のベッドの一部などをなめ続けることがあります。
他の常同行動としては、鼻鳴らしを続ける、吠え続けるといった行動も同じです。
また穴掘り行動やタオルやオモチャを口にくわえておしゃぶりのように扱う行動もまた常同行動になります。
動物園の柵の中の動物がしているようにケイジの中で左右にいったりきたりする行動やジャンプを続ける行動、クルクルと回る行動もやはり常同行動です。
今このブログを読まれて目の前にいる愛犬に同じシグナルが出ていてドキッとされた飼い主さんもいるかもしれません。
犬にストレスがかかっていると不安になりすぎないでください。
室内やマンションという環境そのものが、犬が育つ環境としてはすでに不自然なのです。
その中でストレス性行動が全く見られないことの方が恐ろしいケースに至っている場合もあります。
行動が見られるときには犬がまだコミュニケーションをあきらめていない証拠です。
今からでも全く遅くありません。
犬にとって適切な環境とは、犬が求める社会性とは、犬が必要とする人との関係とはなんだろうとたくさん悩んでください。
そのために犬はあなたと出会ってそこにいるのだと思います。