犬を飼った飼い主のほとんどが何か1冊は「犬のしつけ方の本」を持っているようです。
犬の吠えるや咬みつくなどの困った問題のご相談に関する最初のクラス、カウンセリングクラスのときに、飼い主さんが持ち出して来て「この本に書いてあったのでやってみたんですけど…」という流れになりがちなのです。
愛犬のしつけ方、ほめてしつける犬のしつけ、全犬種対応しつけマニュアル、犬のトレーニングとしつけなど、こんな感じの書籍名で数え切れないほどの本が出版されているだけでなく、インターネットで検索すれば読みきれない情報を手に入れることが可能です。
その莫大な情報の中から、今目の前にいる自分の犬についてどのようなしつけの方法があっているのか、具体的に何をしてよくて何をしてはいけないのかを判断していくことははっきり申し上げて難しいことなのです。
本の中に書いてあるある方法が、たまたま自分の犬にあって効果があることもあるでしょうし、実際には効果があったように思えることでも別の問題に転化してしまっただけになっていることもあります。
人に聞いたこと、ネットで調べたこと、本に書いてあることを鵜呑みにすることは、結果が得られないだけでなく犬の不信感を増してしまうという悪影響が出ることもあるのです。
熱心が裏目に出てしまい、ある方法を試したけど効果がなかったので次は別の方法を試してみるなどとこの手あの手を使ってしまうと、犬はあなたのことを理解できなくなるばかりでなく飼い主の行動の予測が不可能になるためにパニックを起こすという最悪の状態を引き起こすことになります。
動物はある程度単純な学習を重ねることでその行動が成り立っているともいえます。
難しいとされる犬のコミュニケーションも、一定の環境内で犬と犬がコミュニケーションを交わしているのを見ると、単純化されたわかりやすいものなのです。
犬は犬としてのコミュニケーションや習性を持ち、そして相手の行動を予測して反応を示そうとする学習が働きます。
こうした予測行動が不可能となったときに、犬を含む動物はパニック行動を起こすようになります。その中に激しい攻撃性行動も含まれることがあります。
情報を整理して自分にとって必要なものは何か、どれが正しい情報なのかを判断するメディアリテラシーを、犬のしつけ方に関して一般の方が行っていくのはあまりにも過酷な作業になります。
トレーニングに支払う代金がもったいないからとここに多くの時間を使ってしまうと、結局は時間だけを浪費することになるだけでなく、犬はどんどん年をとっていきます。
犬のしつけ本を差し出され「ここに書いてあることって正しいですか?」という質問を受けたときに、この部分はある程度信用のおける内容ですがこの部分は抜粋になっていて不明確な情報です、などといった質疑応答をするだけでもますます混乱するばかりでしょう。
こうしてブログで情報提供をしている自分でも、以前に書いた文章を読んだときに説明が曖昧だと思う部分や、もう少し違った捉え方ができると感じることがたくさんあるのです。
ブログを読んでいただけることには本当に感謝しています。そしてできたらリアルタイムで、今現在知りえることをみなさんとお話ししたいのです。あなたの犬について、あなたの犬の行動について、そして犬という生き物について、今起きていることをいっしょに考えたいのです。
そしてまたメディアで取り上げられる犬の番組を見て、自分にとっての真実とは何かを探して下さい。
私もきっと今でも、自分にとっての犬の真実を探し続けているのです。だからメディアの情報を鵜呑みにはしません。
批判的になりたいのではなく、むしろ厳しく受け取ることで自分を引き締めたいと思います。