ずい分と涼しくなり少し気持ちが楽になってきました。
福岡でも朝晩はエアコンの要らない日もあり、七山では衣替えを完了しています。
気温差の激しい七山では新米がすでに出回っています。
毎年の当たり前のことなのですが、お米ができるとうれしいのは日本人として長い間受け継がれた血なのでしょうか。
犬たちにも長い時間をかけて犬として受けついできたものがあるはずです。
それは感性だったり、行動に現れたりするものです。
犬も人も成長と共に、硬い価値観を持ち始めます。
価値観は場合によっては自分の身を助けることもあるけれど、時として行動を極端に限定させてしまうことがあります。
つまりワクワクと興味関心のあることがなくなってしまったり、他人が多数で寄り集まる価値観に流されたりして、自分の感性をなくしてくということです。
犬も子犬のときには好奇心旺盛でワクワクと行動を起こすものです。
七山でお預かり中の犬の行動を観察していると、柔らかい土の上をこの季節に這ったり飛んだりする虫を追いかけるのに夢中です。
土の中に逃げていく昆虫を片前脚で押さえ、逃げられると再びジャンプして追いかけて、よーいドンとまた前脚を上手に使います。
逃げられてしまうと深追いはせず、また新しい獲物を見つけてはちょっかいを出して遊んでいます。
蝶々が飛んできたときには空中戦となるため、頭上を見ながら走り回り、転んだり吠えたりと空中の生き物は手に負えないことも学ぶのでしょう。
こうして子犬期を過ごしていても、子犬はいつか成犬となり昆虫には興味を示さなくなっていきます。もちろんこれも普通に子犬が発達したという経過なのです。
子犬が昆虫に口をつけようとしたり前脚で触れようとすると、汚いから止めさせたいという気持ちになる飼い主もいるかもしれません。
犬の口は人の手にあたるため、なんでも口にいれて確認しようとします。
そういった意味では人の赤ちゃんも同じような行動をしているのを見かけます。
こうした行動は意味のないもので、飼い主にとってはやって欲しくない行動なのかもしれません。
養老孟司、池田清彦、奥本大三郎ら先生方が記された「虫捕る子だけが生き残る」という著書があります。人も最初に関わる捕りたい生き物は昆虫なのです。
犬は昆虫をつぶさに研究するために捕るわけではありませんが、虫との関わりをとおして脳の発達を促進する機会を得ていると私は考えています。
科学的な説明は科学者の方にお任せするとして、犬の行動を日々観察していてそのように感じるからです。
好奇心が消えてしまう子犬のころに、小さなお庭でもいいので虫と対話する機会を子犬に与えてください。
お庭がない場合には、山遊びに最適のこの季節を逃さず活用しましょう。
秋は本当に長いです。いろんなことを学ぶのには十分な時間があります。
それでも秋は犬には多くても10~13回くらいしか来ません。
私達は70回くらいは来るのでしょうか。
犬には1回の季節が大切なときなのです。