犬のしつけで必要な合図とは別に、犬と遊びを楽しんだり学習を促したりするために教える合図があります。
後者の方は、特に生活に必須ということではないのですが、一定の効果をもたらしてくれることがあります。
しつけ以外に取り入れる合図の中心は、室内でやる事がない犬に負担をかけない「作業」を教えることです。
特に犬が西洋犬で作業をしてきた歴史が長く、室内での時間が多いのに暇ですることもないとなると、犬は欲求不満になってしまうからです。
ヨーロッパでは多くの純血種が生まれましたが、その一部は人の仕事を手伝うために人為的に繁殖を重ねてきた使役犬といわれる犬たちです。
使役犬は猟犬や警察犬といったイメージが強いのですが、小型犬の中にも使役犬がいます。
身近な犬種としてはテリア種です。
テリア種は、小型獣の狩りや駆除のために西洋で長く活躍してきました。
防衛力が高く作業を教えるとよく活動する犬たちです。
反面、空間が乏しく暇になると吠えが強まったりなめたり噛んだりするストレス行動が多発してしまいます。
テリア種のサクちゃんも少し時間と能力をもてあましていました。
留守番時間も長いので、留守番の前にお父さんといっしょに練習してもらうと「持って来い(テイク)」の練習を始めました。
コツを得ると短時間で上達して毎日の朝の日課になっているようです。
こちらの動画でご紹介します。
さらに別の作業も付け加えました。
「持って来い」と「探して」の二つのミックスバージョンです。
次は飼い主の父から受け取ったものを母へと持っていきます。
最初のテイクが出来るようになると、応用編は比較的簡単にできるようになります。
いろんな犬たちがテイクを覚えていましたが、ご家庭ではそれぞれに家庭内作業犬として活躍していたようです。
お父さんの靴下の片付けから始まり、お父さんのパンツをお風呂まで運んでいた犬ちゃんもいました。
サクちゃんの場合には毎朝の遊びとされているようですが、毎朝お父さんの前に座って待っているらしく、飼い主さんもこの遊びを楽しんでステップアップさせていかれているのを感じます。
犬に特別な芸を教える必要もあまりないと思いますし、家庭犬は使役犬ではありません。
単純行動のくり返しになる常同行動につながるような芸をオヤツで強化してしまうなどの間違いにも陥らないようにしなければなりません。
ただ、コミュニケーションを深める道具のひとつとして、物事を教える、覚える、理解するというその過程が楽しく、お互いにとって良い時間としていただければと思うのです。