先日、某テレビ局で犬に関わる仕事をしている方々のドキュメンタリーがあったらしいのです。
らしいというのは、自分はまだその番組を見ていないのです。
数名の生徒さんから「先生見ました?」と尋ねられ、内容についても若干説明してもらいました。
みなさんが興味を持たれたのは、人に怯えたり咬みつくようになった犬の訓練についてでした。
どうやらその犬は、訓練士に一定期間預けられる預かり訓練で、更生して無事に飼い主の元に戻ったとのことです。
犬の訓練士、トレーナーとかインストラクターといわれる人が、問題犬を預かれば非常に短期間で犬の行動には変化が見られます。
もちろん、技術的な職業もでありますので人によって多少の差は出るでしょう。
しかし、どのようなトレーナーでも専門家として働いているのですから、一定の成果は見せてくれます。
先日ブログで紹介した、訪問トレーニングのときに犬たちがみせる「先生モード」がずっと続いているような感じになります。
犬は大変落ち着きを取り戻し、ルールを理解しそれに積極的に従おうとするので、自主的に行動します。
安定と自主性を与えられた犬は、活き活きとしながらもゆるやかな行動を多数見せるようになります。
しかし、グッドボーイハートでは預かり訓練をしていません。
なぜなら、預かり訓練を終えたあとに飼い主の元に戻ると犬は以前と同じ問題犬に戻ってしまうことが多いからです。
考えれば当然のことです。
ドッグトレーナーが準備した新しい環境の中で、ルールや人との関係について学んで安定した犬であっても、不安定さを生み出す環境に戻れば行動は不安定に戻ってしまうからです。
犬はまたストレスを上昇させて、咬みつきにいたるかもしれません。
預かりトレーニングを成功させるためには、飼い主がより良い飼い主になるための機会をどこで得るのかということが大切なのです。
預かり訓練を通して、犬の変化を見た飼い主が改心して学びはじめれば、犬も飼い主も変化していく本当の関係が始まっていくでしょう。
犬がひどく咬みつくようになると、飼い主が犬に接触することすら難しくなります。
掃除もできない、体も拭けない、食べ物も与えられないなど、お世話全般ができなくなるような状態では、一時的な預かりは必要なこともあります。
ただ、本当の犬のしつけや発達という飼い主に委ねられた責任を預かり訓練で放棄することだけは避けていただきたいと思います。
テレビ番組は編集の仕方によってドラマチックに仕立て上げられることもあります。
感動して涙された方も多いかもしれません。
冷静になって現実を見て、自分の犬にできること、犬が必要としていることを今日ひとつやってみましょう。
現実はとても地味で劇的ではないにしても、犬と本当に触れ合え成長していけるのは飼い主さんだけなのです。