犬の行動を見ていると、その体の使い方に驚かされることがよくあります。
やっぱりすごいな~と感じるのは、「俊敏さ」と「柔軟さ」でしょうか。
動きの中には、いくつもの“技”のようなものが見つけられるのですが、
その中でも、注目したいのは垂直離陸行動です。
垂直離陸というと、主に飛行機が垂直に飛び立つことをいわれます。
犬がまっすぐに上に飛びあがる行動ですが、飛びあがり方に特徴があるのです。
子供のころに垂直飛びという運動検査がありました。
まっすぐに上に飛んで何センチ飛び上がったのかを計るものですね。
できるだけ高く飛ぼうと思ったら、どうしても一旦体を下に沈ませてしまいます。
そして、勢いをつけて上に飛びあがります。
ところが犬の上手な垂直離陸の場合には、体を沈める行動をしないのです。
膝を曲げることもありません。
もともと、活動することが前提ですから犬の膝はいつも曲がっています。
そして体を全く下に沈めずに、ただ上にまっすぐに飛びあがります。
足裏は全体が一瞬で地から離れ、足裏全体が地に着地します。
古武術の先生の本を読んでいると、同じように垂直離陸という言葉がありました。
説明には「居着かない」とあります。
つまり、同じ場所に居着かずに瞬時に行動に移ることができるということです。
同じ場所に居着かないというのは、考えずに体が反射的に反応をすることです。
犬が何よりも得意とする行動ですし、跳躍力が加わることで垂直離陸の高さは犬の体高と同じ位までになります。
時代劇で忍者が垂直離陸をして、自分の身長ほどの塀の上に上がっているシーンがありますね。
特撮なのか実際にしているのかは不明ですが、まさに垂直離陸です。
この垂直離陸のとびあがりとは別に、体のバランスを崩したように飛びあがる行動があります。
それが、2本の前脚をつきだす「とびつき行動」です。
犬が前脚を上げるとびつき行動の時には、体を沈めるようにしてそれから飛びあがります。
バランスを崩していますので、人や物に対して前脚をつく感じになります。
垂直離陸の飛びが1回で終わるの対して、バランスを崩した2本脚とびつきはくり返し飛びあがります。
そこに居着かない犬の動き、居着かないというのはこだわらない、執着しないということです。
今この瞬間を生きる犬という動物の本質につながる行動でもあります。
人が最も苦手とするところで、見習いたい心のあり方でもあります。
犬の垂直離陸行動は残念ながら動画撮影できませんでしたが、いつか撮影できることがあれば掲載します。