犬の預かりクラスで感じたこと、昨日に続きます。
犬の社会化の過程について、もう一度考えてみましょう。
社会化とは、単純にいうと環境に適応する力をつけることです。
環境に適応するといっても、恐怖反応や攻撃反応をゼロにということではありません。
恐怖を抱く必要のあるものにはその反応を示すこと、
防衛すべき相手に対してはちゃんと防衛をする必要があります。
犬が周囲で起きていることをすべて脳から追い出す
回避をすることが社会化ではないのです。
動物は混乱すべき状況に起きていると、
起きていることを全て見えない状況にしようとします。
これは人でも起きていることです。
「見ないようにしよう」
「知らなかったことにしよう」
「わたしはここにいないことにしよう」
こうした回避行動は日常的に行われています。
脳の中では、今目の前にいる刺激を排除するという機能があります。
一度にたくさんの刺激にさらすと、脳はこの排除機能を用います。
刺激に反応することがなくなることが社会化したように誤解させます。
これは、社会化でもなんでもありません。
正常な子犬の社会化とは、子犬が安全なテリトリーの範囲内で、
活動しながら探索を通して学習を重ねていくことをいうのです。
預かっている子犬の着ている洋服には「DETECTIVE PUPPY」と書いてあります。
直訳すると「探偵子犬」ということですね。
子犬はまさに嗅ぎまわる動物です。
安定したテリトリーやリードを持つ人との安定した関係性が、
その探偵=探索をささえる基盤です。
安定した探索行動は、子犬の脳の発達を促します。
それが本来の社会化の発達です。
子犬のときに他の犬や他人に会わせることが社会化だと思われているようです。
これは社会化ではありません。
社会化したように見える反応のなさは、刺激を排除の機能が発達したといえるでしょう。
排除機能が中途半端な場合には、犬や人に恐怖行動を示すようになります。
その行動は1才を過ぎてから表現されるようになります。
子犬のときに、犬に会わせるためにドッグランやデイケアに連れて行くことはお薦めしません。
子犬のときに、たくさんの人に会わせることもお薦めしません。
ここに書いてあることは、どの本にも書いていないかもしれません。
ですが、もう一度自分の頭の中でみなさんが考えてみてください。