最近はネットでもいろんな写真を見る機会が増えました。
犬用のペット用品を検索することが多いためか、
グーグルがいろんな犬の写真を出してくれたりします。
そんな写真の中にはビックリするものもあります。
そのひとつが、犬を赤ちゃんのように仰向けにして抱っこする写真でした。
犬を仰向け抱っこさせる方法として、人が座って延ばした足の上に
犬を仰向けにして押さえて寝せるという方法まで紹介されています。
これはやってはいけない抱き方です。
理由は三つの側面からです。
理由1 犬と人の関係性に影響する
理由2 犬の精神的な安定と発達に悪影響を及ぼす
理由3 犬の身体的な発達と健康に悪影響を及ぼす
理由の3については、犬の骨格形成を体の使い方を勉強していただければ
理解していただけるでしょう。
理由2については、犬はどのような状態でも4つの脚が何かに着陸していることで
安定性を得る動物です。体の安定は精神の安定に直接的につながっています。
犬を仰向けにするときに反抗を示すようであればそれはまだ健康な犬です。
子犬期にこれをすると犬は脱力してしまいます。
脱力というと、人では力が抜けるという良い意味にとられてしまいますが、
脚が立たなくなり動けなくなる状態を脱力というのです。
子犬期には必要に応じて脱力状態に入ることがあります。
親犬が子犬を加えて運ぶなどのときには、子犬は脱力するようにできています。
かといって、これを矯正することは子犬の発達を阻害することになります。
犬は4つの脚で立つところから、その自律性が発達します。
自律性というと精神的な自律のこともいいますし、
一方で、身体的は発達の自律のことも含みます。
体の発達と精神の発達。
どちらも大切なことはいうまでもありません。
それが、ひとりで立つ、歩く、バランスをとるという行動と結びついてもいるのです。
理由のひとつめの関係性については、とても大切です。
赤ちゃんのように犬を上向けに抱いてしまうときには、
無意識なのでしょうが、犬を擬人化している可能性があります。
犬を未熟な赤ちゃんとして抱っこするのと同じように、
物事を理解させることを諦めてしまったり、どうせ言ってもわからないと放棄することにもつながります。
犬という動物は、能力が高く人と同じように崇高な動物です。
このように赤ちゃん扱いをするようなことは、犬を尊重することにはなりません。
また、犬を仰向け抱っこすることをしつけやトレーニングとして取り入れることには
十分に考えてから行ってください。
よく間違えられていることに、犬がお腹見せるのは服従のサインだから
人にもお腹を見せるようにひっくり返って押さえつける練習をする必要があるということです。
こうした服従を強要するしつけ方やトレーニング法が、今でも存在していることは認めます。
しかしこの方法では、犬と対等な信頼関係を気づいていくことはできません。
なぜなら、犬は犬に腹部を見せることを強要したりはしないからです。
これは腕力による抑え付けになり、犬の自律性を育てません。
犬は怯えるように飼い主に従いますが、自律した服従の精神は育ちません。
犬が腹部を見せて服従行動を示すのは、2才未満くらいまでです。
よく見られるのは生後1才くらいまでです。
さらに、仰向けの時間も短く、仰向けというよりも横向けといった方がいいような形をしています。
犬の背骨は人のようにまっすぐにひっくり返されて長時間自分の体重を支えるようにできていません。
犬と人では骨格のつくりには違いがあります。
やりすぎると体を損傷する可能性もあり、とても危険です。
腹部を見せる行動については、犬語セミナーでもよく取り上げていますので、
詳しく学びたい方は、犬語セミナーにご参加ください。
犬を仰向け抱っこすることは、犬を尊重する行為ではありません。
犬を尊重し、犬と共に学び共に成長することを望まれるなら、
他の形で移動をサポートしましょう。