昨日ブログで紹介したとおりテントで寝ているときに不思議な犬たちの姿を幻想的に見た翌日のニュースに驚きました。(※ブログはこちらでご覧ください→「犬とテントで過ごしたときに見た夢」)
●本当に絶滅したオオカミは復活したのか?
そのニュースとは「19世紀初頭に絶滅したオオカミ、2世紀ぶりに発見 デンマーク」という見出しでした。絶滅した動物の発見には信憑性にかけるものも多いので、今回のニュースも本当かと疑いをかけましたが、このAFP通信(フランスの国営放送)によるニュースは、どうやらかなり有力な情報があるようです。専門家が目撃したオオカミの何かを入手したのかDNA判定によってオオカミ種であることを確認したとのことでした。デンマークで発見されたオオカミは、雌1頭をふくむ5頭の若い群れで新しいテリトリーを求めて500キロ近くを移動してきたのではないかと推測されているとのことでした。
デンマークでは過度の狩猟により19世紀初頭にオオカミが絶滅したとのことです。過度の狩猟とはやさしい言い方ですが、はっきりいえば過剰の捕獲によって絶滅に追い込んだともいえるでしょう。オオカミは人の食料にはならないため、その狩猟の目的が人の権威をアピールしたいがためだったのか、家畜を守るためだったのか、もしくはスポーツであったのかはわかりません。そのデンマークにオオカミが移動してきたのです。巨大なユーラシア大陸の端っこにあるデンマークですから、陸続きであれば西洋のオオカミにとって500キロの移動は可能な距離です。デンマークの位置が不明確な方はこちらでどうぞ→デンマークはここにあります
この地域の山の地形などは知りませんが、巨大な何かで切断されていない限りはオオカミは移動し続けます。群れの年齢が若くまた5頭と比較的少なかったことも、長距離の移動を実現させた理由なのかもしれません。もちろん、移動の途中で数頭を失った可能性はあります。しかし、オオカミは世界の野生動物の中でも絶滅危惧動物と位置づけられているため、発見したからといって簡単に殺すこともできないため、一部の密猟を除いては人の捕獲による頭数の減少はかなり抑えられています。
この事実によってデンマーク国内では早速賛否両論が繰り広げられているということです。オオカミを恐れる農家や動物の頂点に立ちたい人種にとって、山の獣の頂点にたつオオカミは恐るべき存在です。野生動物とどのように折り合いをつけながら人の活動を行っていくのかを考える良い機会を与えら得たということでしょうか。デンマーク国民の今後の動きを見守り続けたいと思います。
●なぜオオカミは日本にいなくなったのか?
日本では野生のオオカミはすでに絶滅した動物で、すでに国内には存在していないということを生態調査研究のすえ環境省が発表しています。以下は環境省発表の情報ですが、日本には本州に生息したニホンオオカミと北海道に生息したエゾオオカミがいました。ニホンオオカミは1905年に奈良県で最後の捕獲が行われた以後は生存確認されておらず絶滅したといわれています。エゾオオカミはニホンオオカミよりも早い1894年よりも前に絶滅したといわれています。環境省が絶滅したと発表している理由は、最後の目撃情報から50年にわたり生息が確認できなかった動物は絶滅動物として分類する仕組みがあるからです。
ニホンオオカミをエゾオオカミをかりに日本オオカミというくくりで呼ぶことにします。その日本オオカミがなぜ日本国土から絶滅してしまったのかという理由をあなたはご存知でしょうか。環境が悪化したからなのか?山林が伐採されたからなのか?食べるものがなくなったからなのか?さて、どう思いますか?
実は日本オオカミを絶滅に追いやった本当の理由は人の手による「捕獲」です。その捕獲は食べるための捕獲ではありませんでした。日本オオカミの捕獲には懸賞金が出るという政策が各地でとられていたのです。オオカミの頭ひとつにつき数百円くらいだったかと思います。その懸賞金と自分のライフルの腕を自慢したい人たちと、動物を殺したいという気持ちもオオカミの捕獲に火をつけたのではないかと思います。
日本オオカミの捕獲に懸賞金が与えられたのは明治維新以降に欧米の文化をさまざまな生活の中に取り入れる圧力が強まり、それによって家畜を育てて食べるという食生活と動物との関係性についても変化を要求されたことが原因でした。エゾオオカミが早い時期に絶滅しているのは、未開の北海道でもっとも可能性のある経済活動が家畜を育てることであったこともその理由ではないかと思います。家畜を育てればエゾオオカミはそれを狙いきますので、家畜業は困難です。エゾオオカミを絶滅させることで人の経済活動を達成することができるという完全は人側の都合です。
同じことが本州でも起こりました。肉食スタイルの西洋の食文化を日本に浸透させるために牧場建設が広まり、それに伴うように牧場を襲うオオカミは絶滅させるために捕獲を続けたのです。最後のオオカミが捕獲れたときに、ニホンオオカミは絶滅してしまうのではないかという危惧を抱いた方がきっと何人かは存在したのだと思います。でも、そんな人の話に耳を貸すこと人はいなかったのかもしれません。
絶滅動物を守ろうなどのいうスローガンのもとに動物保護活動が行われる一方で、絶滅している動物の多くは人の関与によってそうなっているという事実をあらためて認識をする必要があります。まず、日本オオカミは日本国民の捕獲によって絶滅したという事実を知っていただきたいと思うのです。
●動物園のオオカミはニホンオオカミではない
ちなみに動物園にはオオカミがいるじゃないか?と疑問をもたれた方もいるでしょう。国内の動物園にいるオオカミはタイリクオオカミという種別ではニホンオオカミといっしょなのですが、日本以外に生息するオオカミたちで輸入動物や動物園で繁殖された動物です。その種類は、シンリンオオカミ、シベリアオオカミ、チョウセンオオカミ、チュウゴクオオカミ、ヨーロッパオオカミです。
これらのオオカミを動物園でみるからか、日本オオカミもこんな感じだと思っている人がいますが、実際のニホンオオカミはかなり違います。きちんとした写真がなく剥製ですがこちらが二本オオカミです。
動物園や西洋の映画に出てくるオオカミとはサイズも要望もかなり違いますね。どちらかというとキツネとタヌキの間という感じでしょうか。キツネもタヌキも国内に成育するイヌ科動物ですから、ニホンオオカミにとてもちかい動物なのです。国内のオオカミグッズとして販売されているオオカミの肖像は西洋やカナダのオオカミのものです。ニホンオオカミの姿が日本人に忘れられてしまうのはとても悲しいことです。
日本古来の文化では山のオオカミは「大神」として崇められていました。日本各地には大神神社がまだ残っています。そういえば数日前に「大神」という表札がかけらえたご自宅の前を通りました。これはこれで、本当にビックリしました。
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→19世紀初頭に絶滅したオオカミ、2世紀ぶりに発見 デンマーク