グッドボーイハートは人と犬が共に成長して調和することを目指すドッグトレーニング・ヒーリングスクールです。

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大人しい犬の行動の複雑さに思うこと:犬の行動の偏りに気づき犬として尊重する気持ちを取り戻すために

トレーニングクラスでの犬の問題となる行動のご相談内容は、この20年くらい、あまり変わっていません。

トイレのしつけ、無駄吠え、留守中のイタズラ、来客に吠える、散歩中のひっぱり、かみつき…など。

上記にあげた問題行動の割合は、問い合わせ全体の多くをしめています。

件数は多いものの、こうしてあげると行動の種類としては少ないように感じます。
この数少ない項目の中にほとんどはまった形でご相談を受けているため、犬の問題はすごく単純なもののように思われています。

「インターホンに吠えるんです。後は別に困っていないから、これだけ治してもらったらいいんです。」

「散歩のときに引っ張るので困っています。後は別に問題はないので、散歩だけ見てもらったらいいです。」

問い合わせのときに上記のようなコメントをいただくことも多いのです。
行動のひとつだけが問題なのだけど、後は特に問題がないから短時間で解決できないだろうかということでしょう。

ところが単純に見える行動の問題も、実は複雑さを秘めていることもあります。
そのため、当校では必ず初回カウンセリングを受講していただきます。

ひとつの行動に対する対処法だけを行うトレーニングは動物をサポートできません。
犬という動物のすべてを理解し、それに寄り添っていくために、飼い主さんが必要ないと思われることも含めて質問します。

こうしたカウンセリングでお話しを聞いていくうちに、犬の抱える問題は以前よりもずっと複雑になっていると感じています。
誤解を恐れずに述べると、感じるというより現実的に複雑な犬の行動が生じているのです。

犬の生活環境や飼い主さんの接し方の影響が様々なことと、生活環境や時間をかけないしつけ方法によって犬の人に対する依存性が高まっていることもその一因なのかもしれません。

ひとつの問題を解決したように思えても、そこには違う問題が発生することがあるのです。

それは、犬におりこうさんになってほしいという願い。
おりこうさんな犬がかわいいといわれるという一定の価値観にはまってしまうことです。

生徒さんや知人にも、人の教育に携わっている方々がいらっしゃるため、人も同じであるという話を伺うこともあります。
たとえば、育児についてです。

子供に対しこうなってほしいという理想の形があり、その形にはいるようにごほうびと罰を使い分けながら育てられることがある、
子供は親の顔色を見ながら親が望んでいるとおりに行動をしてお利口さんと評価されるような子供として成長していく、
ところが、大人になっても自律性が育っていないため自分で考え行動する力がなく、社会の中で居場所が獲得できない、
大人になると自分が自律できないことが親の育て方のせいであると気づき親を責めはじめる、

このような苦しい子供達と同じような境遇におかれている犬もいるのです。

犬の恐ろしいところは、最後の行にある行動はでないことです。
犬は、飼い主の育て方に問題があると気づき責めるという行動はしません。

もし生ずるとすれば、飼い主の要求を含む環境がストレスになり問題行動が激しくなるという程度です。
これは大変わかりやすいメッセージで、逆に問題行動が出てくれて良かったと思うこともあります。

ほとんどのおりこうさんの犬は、わかりにくいメッセージを発しています。

たとえば、こんな行動はないでしょうか。

外では全く吠えることもないのに、室内では外のちょっとした物音に過剰に吠えておびえている
来客の来るときや帰宅するという環境の変化に対する吠えが強い
大きな物音や環境の変化におびえやすい
飼い主から離れられない分離不安傾向のある行動を表現する
特定のオモチャに執着して、遊びを要求したりくり返し遊び行動を継続する
食べ物への執着が高く、ゴハンの前だけ異常に興奮する
普段は置物のようにじっとして過ごしている


普段はおりこうさんなのに、一部だけ異常に興奮したり吠えたりする行動がある場合には、その犬の自律性の発達について疑問をもたれてもいいでしょう。

犬の表面的には犬を理解したように思えても、深い部分では見過ごしていることがたくさんあります。
犬に関わらないならまだしも、犬のしつけやトレーニング、犬と出かけることの多い飼い主さんたちには、犬の深層心理を読み取ることにチャレンジしていただきたいです。

その心理に、このような複雑性が生じているのかをしれば、ある反省点が生まれます。
後悔は人にとってはすごく怖いことです。
過去のことを変えることはできないからです。

でも、相手のあることです。

今犬が必要としてる本当のことに気づくことで、自分が多少ショックを受けたとしてもいいではないでしょうか。

犬が幸せになるのだったら、自分が未熟者だった時代も「ごめんね~」で済ませることもたいしたことではありません。

自分を変えていく人にこそ未来がある。
自分を変えていくことで犬にも未来が生まれる。

毎日大きな希望を持って進んでいきます。