グッドボーイハートの人気クラス「犬語セミナー」は、ビデオ動画から犬の行動をはじめとする犬についてのもろもろに関して理解を深めるためのクラスです。
犬語セミナーを目的としない場合の他のどのクラスでも、ビデオ撮影をすることがあります。
肉眼で見落としてしまうことを再確認したいという意味や、プライベートクラスでは日常生活の行動を把握することが難しいため、飼い主さんが観察して説明する犬の行動などが実際のものとどのくらいズレがあるのかを確認するためです。
来客のときに犬はどうしていますか? という質問から始まったとします。
「お客さんが大好きで喜びます」と応える飼い主。
喜んでいると思う行動はどんな行動ですか?
「吠えたり走り回ったりキスをしたりします。」と応える飼い主。
どんな風に吠えていますか?
「ワンワンでしょうか。どうだったかな。楽しそうに吠えています。」と応える飼い主。
これでは、犬の状態を把握するするのにずっとズレが生じた状態になります。
そこで「すみません。ビデオを撮って見せていただけますか?」となる訳です。
ところが、実際のクラスのときにも、日常生活の撮影のときにも、なぜか
ビデオ撮影をすると多くの犬の行動は、いつもの行動とは違ったものになります。
飼い主さんにいわせると「これはよそ行きです。」と言われることもありますが、
いずれにしても、いつもとは違った犬の状態になります。
つまり、犬がいつもとは多少違った行動をするので、正確に把握することが難しいのです。
では、なぜ犬はビデオ撮影をすると行動を変えてしまうのでしょうか。
高い確率で明らかなことは、ビデオ撮影の時にいつもとは違う行動をする犬は、
ビデオ撮影をしていることを知らなくても
「なんとなくいつもと違う」ことを知っているということです。
なぜその違いを知っているかというと、それだけ飼い主もしくは周囲の人を観察しているからです。
観察というと人の場合には視覚的に行われるため「目で」と思いますが犬は違います。
イヌという動物の知覚(情報を得る器官)を使って情報を得るというが観察ですから、
実際に犬がどのような情報を得ているのかを目視で知ることはできません。
ただ、犬が観察によっていつもとは飼い主もしくは何かが違うことを知り犬の行動を変化させてしまうのです。
犬の環境の変化を知る力の強さは、犬の動物的なセンサーとつながっているようです。
小さな子供達にも同じようなセンサーがあるように感じますので、これらの動物的センサーをもつ生き物たちは、いかに環境によって影響を与えられいるのかということを考えさせられます。
ビデオ撮影中に起きる変化はどちらかというと、犬を抑制する方に働きかけます。
たとえば、いつもは吠えるのに吠え方が少ないとか、
いつもはとびつくのにとびつかない、走り回るのにいつもより走らないというような感じです。
ビデオ撮影をする環境がいつもより「犬に何かが注目」する状態であることが、
犬の行動に抑制をかける理由になっているようです。
ビデオ撮影のときにビデオを人の手から離して固定されるようにするとまた少しの違いがでますが、
ビデオ撮影をしていることを「人が知っている」場合には、同じように犬に影響を与えてしまいます。
犬の環境の変化を知る力とそれによって影響を受けていること。
そして何よりも大切なのは、その環境のうちのひとつが「飼い主」であり、
飼い主の変化が犬の大変大きな影響を与えているということです。
ちょっとドキッとすることでもありますが見方によってはうれしいお知らせです。
なぜなら、飼い主が変化すれば、いち早くそれを察知するのは犬だということです。
ということは、はやり犬は理解力が高いのです。
こう考えると犬と人の関係性の向上にも希望が見えてきます。
犬はいつもあなたを観察しています。