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散歩の引っ張りを治す方法:犬の社会化としつけは環境を整えることが基本

犬の困った行動の相談の中でも「散歩中に引っ張るのを治したい」という相談はやはり多いです。

散歩の相談時にはこのような要望をされることもあります。
「他のことは全く問題がありません。散歩の引っ張りだけがよくなったらいいので簡単に治すことはできないでしょうか。」というものです。

結論からいうと、散歩中の引っ張りだけを治すために、散歩の練習だけをするトレーニングという方法を取り入れることはできません。もっと正確にいうなら、問題行動だけを封じてしまったら、犬が本当に必要としていることを与える機会を失ってしまいます。

散歩中の引っ張りだけを止めさせたければ、行動を矯正するような道具や方法を用いることになります。でも、それでは「散歩中の引っ張り」という行動で犬が表現している、本来の問題が解決されないままになってしまうからです。


散歩中に引っ張る行動が出ている犬は、室内などの散歩以外の環境でも問題となる行動が出ていることが多いです。

例えば、来客時に吠えるとか、庭の前を通行する人に吠えるとか。
他にも、とびつき行動やイタズラ行動が同時に起こっていることもあります。
留守中の行動や日常的な細かい行動チェックになると、もっと多くの犬のメッセージシグナルを見ることができるかもしれません。

犬の「どの行動」を飼い主が問題と捉えるかは、飼い主によってかなり違っていることがあります。なかには、来客への吠えとか、庭を通行する人に吠えることはあまり気にならないという方もいます。家具やじゅうたんをかじられるのは、あまり困っていないとか、犬だからテーブルにとびつくのは当たり前のことと思われていることもあります。

地域差はあるでしょうが、あまり人を自宅に招く習慣がなかったり、もしあったとしても気の知れた知人や親戚くらいなので、少し吠える程度は問題なしとされるのでしょう。室内での小さなイタズラは犬だから当たり前と見られることもあるようで、これらの行動は飼い主の関心を引かないこともあります。


散歩中の引っ張り行動をはじめとする、散歩中の様々な散歩が上手くいっていないのは、犬の環境への適応性が育っていない=犬の会性が十分に発達していない状態を知らせています。

社会性が十分に発達していないというのは、もっと単純な言葉でいうと「社会化していない」といことです。
社会化はしている、していないという白黒ではありません。こうした表現は誤解を招くかもしれませんが、社会化していないといった方が理解を得られると思いますのでここでは使わせていただきます。


犬の社会化はかなり誤解されて受け取られているようです。


社会化は散歩に出た外環境での学習だと思っていませんか?

そのように思うと、外に出て学習させることだけが社会化だと思ってしまいます。
たくさんの人に会わせるとか、たくさんの犬に会わせるとか、いろんな場所に連れていくというのは、社会化をすすめる方法ではありません。

散歩に出て、いろんな人や犬と出会う経験や、いろんな場所に出向く経験は社会化のチャンスではありますが、回数を重ねればいいというものではありません。
多くの人や犬に接触しすぎて、社会性が難しくなっている犬が増えてます。
飼い主が良かれと思ってやったことが、子犬のころには分からないのですが成犬になって思わぬ形で帰ってきます。
これはとても危険な方向です。


社会化の最も大切な部分が忘れ去られているように思えます。

どちらかという深く考えずにネットや本に書いてある犬のしつけや社会化のさせ方を実践されている方が多いようにも感じます。まず、書いてあることもよく考えてから実践されることをお勧めします。


以前はワクチン接種による拘束期間が長く、社会性の未発達の犬が増えて吠えや咬みつきの問題が非常に多くおきていました。
そのため、最近では以前よりも幼い年齢で散歩に出ることが推奨されるようになりました。体の健康も大切だけど、社会性の発達は犬の心と行動の両方に影響します。
その重要性が認められた結果ではあるでしょう。

幼い年齢から散歩に出たとしても、ただ散歩に連れ出すだけでは社会性は発達しないのです。

社会性を育てるために最も大切なのは、飼い主との生活環境です。
物理的な環境や接し方を含め、家庭が基盤になるのは人の子と同じです。

子供よりも難しいのは、犬が人でない種の異なる動物であるということです。

犬にとって必要な環境、接し方、コミュニケーションや過ごし方を理解することが
犬を、特に子犬を育てる上で何よりも大切なことです。

飼い主との関係性をつくることが社会化の基盤になります。
この部分がしっかりとしていれば、子犬の頃にパピーパーティに連れていく必要はありません。むしろこのことが、犬に対して興奮しやすい経験をさせてしまう場所になっていることも多いのです。

ところが子犬のころの社会化の経験学習が行動に出てくるまでには一年近くかかってしまいます。一歳近くになって急に散歩中に引っ張るようになったり、吠えたり、逃げたり、物に執着するようになったのは、急に性格が変わったからではありません。

今まで過ごした一年間の学習結果が、ちゃんと表現されているということです。

散歩中の引っ張り行動を改善したければ、散歩のやり方だけを変える対処法ではもったいないです。

せっかく犬が発している行動というメッセージを受け取り、ぜひ根本解決を目指してください。

人も犬も、どんなに小さなことであっても、環境を少しでも変えるというのはあまり得意ではありません。習慣になっているので、それを変えると落ち着かなくなるからです。
たとえばクレートの位置を移動させることすら違和感を覚えることがあるでしょう。


でも、前進したいという気持ちがあるなら、犬と共に安心できる暮らしを獲得したいという気持ちがあるなら、まずは一歩を踏み出してください。

dav