犬のトレーニングやしつけ方についての情報があふれすぎています。
本でもあちこちから集めたような雑用知識本いわゆるハウツー本として出版されている内容の曖昧なものもある上に、ネットの情報となると個人の価値観や自分はこうやったという、不安定な情報が拡散されています。
たとえば「犬のゴハンは人の後に与えなければいけない。」と思って取り入れている飼い主さんが結構いるようです。
「犬のゴハンは私たちの食事の後に与えるようにしています。」ときっぱりいわれます。
「なぜ、人が食事を済ませなければ犬に与えられないと思うのですか?」と尋ねます。
すると、飼い主さんはたいてい「え?」という感じになります。
それもそうですね。今まで信じていたことが、違うのかもしれないと言われる瞬間なのでビックリするでしょう。
実際には人が先に食事を済ませる必要がある理由を応えられない方も多いのです。ネットに「人が先に食べるほうがいいと書いてあった」といわれる曖昧な答えです。ただ、ネットに書いてあるとおりにやってしまうというのは、とても怖いことだと思います。食事をどちらが先に食べるかというのは、犬には全く影響を与えません。そのため、この順番を守っていたとしても犬に良い影響もでなければ、悪い影響も出ないということでしょう。ですが内容によっては、犬との関係性や犬の成長と発達に強く影響を残してしまうこともあります。良かれと思ってやってきたことなので、できるだけ間違いは避けたいものです。
本に書いてあったという理由の中には、オオカミは強い方が先に食べてから弱いものが食べるからというものがありました。似たような状態を人の生活で説明するなら、武家社会でお父さんの食べるものには少し特別なものが添えられているということでしょうか。実際、父親よりも下のものが先に食事に手をつけることはありません。
人と犬の食に関する影響はこれとは全く違うものです。大切なのは、犬は人が与えたものを食べるという事実です。
人が与えないと食べられないのです。勝手に冷蔵庫から食べ物を出してきて、他の家族よりも先に食事を済ませてしまう子供とは違います。みなで協力して行った狩によって獲物を得たオオカミの群れでもありません。まず、人が与えるという行為だけで十分に犬に優先していることを理解してあげましょう。
注意して欲しいのは、食べ物の受け取り方のほうです。
食べ物を与えられなければ受け取れないのは子オオカミも同じです。親オオカミが吐き戻しをして子オオカミに食べ物を与える行動は、子オオカミが親オオカミの口をなめる行動によって引き出されておきる行動です。幼少動物が権利をもつ「要求行動」です。
食べ物の受け取り方の間違いのひとつは、犬の要求行動によって飼い主が犬に食べ物を与えているということです。
「人が先に食べてから犬にゴハンを与えています。」という飼い主さんが、その食事の前に犬が吠えたり飛び跳ねたりする犬の要求行動に応えるように犬にゴハンを与えています。これでは犬は自分と飼い主との関係性を、犬が要求し飼い主がそれに応じる存在だと認識してしまいます。
ゴハンの順番はあまりというより、全く関係性には影響をしません。
お腹を空かせている犬のために早く食事を済ませる必要も全くありませんので、安心して人より先に犬にゴハンを与えてください。
犬のしつけ方については、本やネットの情報はあまりにも曖昧です。
犬のしつけは「いれる」ものではありません。
犬のしつけは「犬が必要な行動を自らできるように、飼い主が環境を整え学ぶチャンスを与える。」ということです。
飼い主が環境を整え犬をサポートしていることを犬は理解します。その過程で作り上げられたもののも人と犬の関係性に影響します。
犬のしつけはハウツーではない。
ぜひ、犬との関係作りを楽しんでください。
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