数日前のブログでご紹介した床面のことと、昨日の伏せる動作についてにつづいて、体型と気質の関係についてお話していきます。
床面の素材で犬の体に負担がかかっていることを説明しました。つるつるとすべる素材の床面では指を開いて立つことや歩くことができずに脚そのものに負担がかかり、結果体全体が硬直して背中が丸くなってきます。つまり、体型というのが変わってきてしまうのです。
人の背中がまっすぐに伸びているように、犬の背中もまっすぐに水平になっているのが健康な背中です。
背中が丸くなる体型は、お腹が引っ込むような体型ですね。そして尾が下がるのですが、この体型で尾を上げようとするため丸い背中はもっと丸くなっていきます。お腹が上に上がるというのは、ちょうど肋骨の一番下部分が少し上がるということです。この体型は、犬が不安を抱えているときに力の入る部分です。つくりは違うものの人も不安をかかえるとこの部分に力が入って横隔膜全体が上に上がってしまうらしいです。
不安を抱えている犬は日常的な行動に不安行動の表現がみられます。たとえば、小さな物音で吠える
、来客に吠えたりとびついたり興奮する、散歩中のリードのひっぱりや他のストレス性行動がみられることもあります。他にも、室内でとびつき行動が多かったり飼い主の膝の上にのりたがる、飼い主の後ろをついて歩くなどはその一例です。
たとえば不安定な床面が犬に影響を与えているとしたらどうでしょうか。不安を抱えやすい性質をもつ犬が不安定な床面で過ごすことでその不安が上昇しやすい傾向が高まったことで、日常的に不安行動が増えているということも十分にあります。そして、その不安を表現するように背中が曲がっているという体型をしています。
自分におきかえて考えてみても、自分が不安を抱きやすいかどうかを冷静に判断することは難しいことです。長い間、習慣化した考え方や感覚を持ち続けているのですから「わたしにとってはこれが普通で特に違和感を感じない」状態となってしまうからです。ですが、姿勢は外側からでも見てとることができるし、なにより自分でも違和感を抱きます。腕が疲れやすい、腰が痛い、肩が張るなどの身体的不具合がでることもあるでしょう。そして姿勢は、人の気分を左右してしまうことがあります。体と心はつながっているということです。
犬の行動をすべて犬の性質だと思ってしまうのは違います。犬のストレス性行動は犬の性質ではありません。犬には不安を抱きやすいという性質はあっても、不安症という性質はないのです。それは心や脳の病気です。
犬の中には行動表現を抑え始める犬もいます。飼い主の反応に敏感な犬は不安を抱えても行動を起こさずにじっとしています。また、社会的な関係となる対象が身近にいない場合でも、犬は不安行動を表現しません。不安行動とは社会的に伝達するメッセージでもあるからです。メッセージを読み取りにくいそんな犬でも、その犬の体型をみればその不安や緊張を見て取ることができます。
純血種だからこんな体型なのだと思われるかもしれません。純血種として受け継いだ体型の中には性質も含まれています。人が繁殖した犬について深く理解し考えることは人の責任だと思います。
犬の体型や行動を見て犬が不安を感じやすい傾向があると判断されたら、まず身近な環境から整えてください。千里の道も一歩からといいます。どんな小さなことも無駄にはなりません。
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