ブログ「犬のコミュニケーション欲求」で、犬にはいろいろな欲求があることを
お伝えしました。
その中でも、基本的欲求にあたる「社会的欲求」はとても重要です。
犬の中に芽生える欲求は、犬がイヌという動物としての成長と発達のために
必要なのでおきていることです。
子犬期の社会的欲求はコミュニケーション欲求という形であわられます。
子犬が犬としてコトバを覚えていく時期ですね。
子犬が親犬にしつこくついて歩いたり、ちょっかいを出したり、
子犬同士でじゃれあうように遊んだりするのは、この欲求を満たすものです。
コミュニケーションは、社会的な応答があって成り立つものです。
一方が投げかけて、相手が応える。
その過程の中に、コミュニケーション=対話が含まれています。
たとえば、自然界のオオカミをイメージしてください。
最近は動物のビデオもたくさん見られるようになりましたので、
オオカミが群れで行動している姿や、子育てをしている姿を
ネットの動画配信で見ることもできるでしょう。
親オオカミたちにはテリトリーを守るためのいろいろな役割があります。
ただ、子犬たちはその守られたテリトリーの中で、たくさんの時間を
親や兄弟と関わることで過ごしている様子を見ることができます。
コミュニケーションを発達させることは種として大切であることは、
わたしたち「ヒト」に置き換えてもわかりますね。
このコミュニケーション欲求が満たされないと、家庭では様々な問題行動が起こります。
よく見られるのは、「じゃれ咬み」という咬みつき行動です。
「じゃれ咬み」という、攻撃ではない咬みつきは、子犬同士がよく行っています。
歯を強く当ててしまうと相手が「キャイン」と声を上げて遊びが終わってしまいます。
そのため、子犬はやさしく歯をあてることをすぐに学習します。
親犬から離されている子犬は、犬の行動をよく理解できない状態で迎えた場合には
このじゃれ咬み行動は、激しくなっていきます。
子犬だけの環境では相手がいないために、人に対してもこのコミュニケーションを
とろうとします。
強く噛んではいけないことを伝えていきますが、なかなか収まらないことがあります。
オオカミの例に挙げたとおり、子オオカミは、親が安定したテリトリーを持つことで
安心してコミュニケーション学習を重ねます。
子犬は人社会に移動したばかりで、テリトリーが安定しません。
他にも、環境に応じてテリトリーが不安定になりがちです。
飼い主さんが留守がちである、犬と関わる時間がない、子犬だけで過ごす時間が長いなど。
他にも、子犬の社会化が進んでいないことも、じゃれ咬み行動を激しくしています。
じゃれ咬みは、子犬が他者に強く接触するコミュニケーション方法なので、
その強さは、子犬の成長がうまくいっていませんよ、というお知らせでもあるのです。
コミュニケーション欲求が満たされていない他の行動として、
家具をかじるという行動もあります。
トレーニングクラスで家庭を訪問するため、かじられた家具や壁をたくさん見ました。
じゅうたんや床を破壊してしまうこともあるようです。
口が十分に満たされたいため、なんでもかじって欲求を発散しようとするのです。
ところがそれでも解決はしません。
体の動く部分に反応するため、自分の尾を追うストレス行動になることもあります。
口をつかう「なめる行動」をするようになることもあります。
床をなめている、飼い主をなめる、犬が自分をなめる、とかです。
犬だから犬にあわせなければいけないと思われるかもしれませんが、
犬を犬に会わせてコミュニケーションを発達させる機会を与えるのは
実はとても難しいことなのです。
理由はまた次回お話します。
飼い主さんは犬ではありませんが、犬を理解しようという気持ちさえあれば
犬とのコミュニケーションの時間を充実させることはできます。
ただし、環境と時間と理解が必要です。
この3つを、忘れないでください。
環境と時間をつくることが、とても難しいようですね。
コミュニケーションは対等性が一番。
子犬であっても「こうなってほしい。」「こうしてほしい。」「こうしたい。」
という飼い主さんの気持ちが優先してしまうと、うまくいきません。
犬のことをひとつずつ理解しながら、犬の成長と発達を楽しんでください。
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