家に来たばかりの子犬は吠えません。
犬はまだ「吠える」という行動をする年齢に達していないからです。
犬が生まれたときに歩かないのと同じです。
生まれたときすぐに歩けなくても「この犬は歩くことができない」とは思いませんね。
そのうち歩くようになる年齢というのがきます。
必要な年齢に達しても歩けるようにならなかったときに、始めて何かの病気ではないかと調べ始めます。
同じように、
子犬は吠えたり、咬みついたりしません。
キュンキュン鼻をならしてウォーンと遠吠えのような声を出すことはあります。
あま噛みという口で何かをくわえるような行動はします。
でも、ウォンウォンと吠えたり、唸ったりはしません。
そのようなコミュニケーションをまだに身に付けていないからです。
唸り声を上げて咬みついたりはしません。
攻撃性が生じる年齢に達していないからです。
子犬といっても生後3ヶ月齢までのことをいい、犬の種類や個体によっては2ヶ月半くらいで
子犬行動から成犬行動へと移行をはじめます。
犬が吠えるようになると、こう思う飼い主さんがいるようです。
「うちの犬は小さいころは吠えていなかった。だからそのうち吠えなくなる。」とか
「成長したら吠えなくなる。」
「そのうちなんとかなる。」
という考え方です。
犬は飼い主にはっきりとした攻撃性を示すようになるのは、早くて生後5,6ヶ月くらいです。
唸ったり牙を当ててきます。
この年齢になると乳歯が永久歯に変わるため、攻撃する道具を身に付けたことになり
攻撃するという行動も生じるようになります。
やはり、飼い主さんは、「そのうちなんとかなる。」と思うことがあるようです。
「このままにしておけば、そのうちよくなりませんか?」と尋ねられることもあります。
そう思われるのがとても不思議ですが、犬は人と時間の長さが違います。
6ヶ月だと中学生くらい、1歳だと18歳くらいとかそのくらいです。
あっという間に行動が変化していくので、つい昨日まで吠えていなかった、問題はなかったと
感じてしまうのでしょう。
そのことが、もともとは吠えないし咬みつかない犬だったんだから、いつかそうなるはずと
思ってしまうようです。
そのうちよくなるわけはありません。
そのうちもっとひどくなる可能性の方が高いのです。
犬が表現する、飼い主が問題としている行動は、
「その真実を見て向き合うことで犬と人の関わりがかわりますよ。」というお知らせです。
向き合うことで、問題としている行動以外にも、いろいろと問題となることが見えてしまうかもしれません。
そのうちよくなる=放置してしまうと、問題はもっと大きくなってしまい、
もう見ることもできなくなってしまうかもしれません。
そうなる前に、取り組んでほしいのです。
犬と良い関係をつくり、犬も人も安心して楽しく暮らしていくために。
犬と暮らす喜びを膨らませてほしいのです。
犬のことでだれかが「そのうちよくなる」といったら
「本当にそう思ってるの?」ときいてください。
犬のことで自分が「そのうちよくなる」と思ったら
「本当にそう思ってるの?」と自分にきいてください。
それだけでも、きっと一歩はすすみます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊本被災ペット支援ネットワーク
http://kumanimal.blog.fc2.com/blog-entry-3.html