犬の爪の話しです。
犬の指は前が5本、後が4本です。まれに後に5本の指があります。
地面に直接つかない親指にあたる部分があり、これを狼爪(ろうそう)といいます。イヌ科動物には狼爪があります。
狼爪は他の爪に比べて伸びやすいため、やっかいに思われることもあるようです。
子犬のときに狼爪を指ごと切除してしまうことがあります。特に小型の愛玩犬種では多くの犬に行われています。飼い主の家に来たときからないので、飼い主が気づいていないこともあります。前脚の指が4本しかなかったら、子犬のときに切除されたものです。よくわかりませんが、ダッコしたときに爪をひっかけてしまうとか、室内で指を怪我するかもしれないという理由かもしれません。
成犬になってからも切除手術を行うこともあるようです。理由は「ひっかけることがあるし役に立たないから」というものです。
後肢の狼爪はあまり機能していません。これが出るのは特定の純犬種の中におきたり、雑種でもその純血種が入っているのではないかと思われる種類の犬であるため、遺伝的な問題で生じたようです。後肢の狼爪には骨がない場合が多く、ぶら下がっているようになっていてさわっても力が入りません。
では、すべての犬にある前肢の狼爪はどうでしょうか。動物の体の中には、役に立たないものがあるのかもしれません。役に立たないと聞いて、本当にそうだと思いますか?実際に使っているのを見たことがあるという方もいるのではないでしょうか。
狼爪は犬にとって必要な指と爪なのです。
どのような時に使われているかというと、斜面を歩くとき、ジャンプするとき、立ち上がるときに使用しています。斜面のようなところを歩く機会がある犬は、狼爪を切る必要はなく、使用によって削れていきます。生活環境の中に勾配のある場所があり、それらを下りたり登ったりすることがあれば、同じように消耗してくるので狼爪を切る必要はありません。
狼爪に限らず、犬が日常的に過ごしている場所が、犬という動物の習性に適した場所で、また習性にあった行動を行っている以上は、人による「つめきり」は必要ないのです。
爪は移動や行動によって削れたり折れたりします。狼爪は比較的のびやすいのですが、これも立ち上がりなどの動作のときの使用によって、一定部分が延びると折れるようになっています。
狼爪が伸びきってしまういわゆる巻爪になってしまうのは、狼爪を使えるような場所を歩く機会がないからです。アスファルトの道路や整備された公園などでは狼爪を使う機会がないため、爪が伸びすぎてしまいます。
犬の爪は土の中に入り込む鉤型をしています。スコップのような形ですね。そのためアスファルトのような硬い地面では爪が地面に入らないため、削れてまっすぐになります。
これは本来のイヌ科動物の爪の形ではありません。爪が地面に入らないとすべるようになり歩きにくくなってしまうからです。人工的な環境が犬に与えている影響のひとつです。
狼爪を使えるような場所を歩くことが犬の健康につながります。
パッドも鍛えられ、脚の筋肉もついてくるし背骨もしっかりとしてきます。
若い犬なら、つめきりをする前に「歩く」という行為について何か工夫をしてみることをおすすめします。
老犬になったら、できるだけ犬が自分の脚で歩く時間が続くことを願いますが、寝たきりになってしまったら爪の処理は必要になります。
狼爪を切除することは犬にとって不利益なことです。
犬が狼爪を使う機会を、ぜひ大切にしてあげてください。
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