先日博多駅の商業施設の中を歩いているときに思ったことがあります。いろんな店が入っているのだけど、それぞれの店においてあるものが幅広いなということです。たとえば、洋服の店にアクセサリー、マグカップ、文房具やシールがあるとか、家具屋さんに洋服、財布があるという感じでどの店も雑貨店のようです。ものにあふれる時代なので、どうしたら売れるのかを考えた上での作戦なのでしょう。
洋服の並べ方にも工夫があるなと思います。パンツやシャツを別々に置くのではなく、あらゆる商品が混ざったように置いてあったり飾ってあります。大量に同じ商品を販売する店ではできない販売方法かもしれませんが、同じものが数点という店になると、同じ場所においてあるよりも1点1点がことなるものとしてディスプレイされている方がお店に滞在する時間が長くなりそうです。
買い物をすることの楽しみは「買う」という行為よりも「探す」という行為にあります。これらの陳列方法だと「探す」行為が複雑ではあるけれど、さらにそのことが「探す」欲求を高めてくれるためその欲求が満たされます。「探す」欲求、つまり探索欲求はどのような動物にとっても高い欲求です。
犬が探索をしている行動を見たことがあるでしょうか。限られた空間でも犬は探索をします。たとえば、部屋の中においてあるクッキーのいれものを探し当てられたことはないでしょうか。犬の探索行動は臭いを追う行動です。鼻をつかって臭いを追跡するような行動をとります。地面に鼻をつけたまま歩くこともあるし、地面から顔を上げて定期的に臭いを確認しながらその場所に近づいていくこともあります。野いちごをとるときにも、臭いを確認しながら鼻で探しあてます。
どんな動物も食べるためには探し当てることが大切であったわけで、犬が探索欲求をもとに行動を起こして満足を得られることは、犬の動物としての自由度を感じられる行動でもあります。これは「ただ与えられる」という事では満たされない欲求です。
犬と同じように人にも探索欲求があります。犬の気持ちを知りたければ、自分が探索しているときの集中力の高さに注目してください。人は目で探索しますが、探しあてたときの喜びは同じものです。ですがそれを手にしてしまうと、すぐに次のものを探しはじめるときは、探索欲求はあまり満たされていません。冒頭の買い物をイメージするとわかりやすいですね。
探索欲求はただものを探すという行動ではなく、「発見」をくり返していく原始的な行動です。「発見」は物質化したものを探す行為だけをさすのではなく、目にみえない感覚や知識を探す行為でもあります。
犬にも物質的なもの、たとえば食べ物ばかりを探す行動が増えてしまうことがあります。食べ物を使ったトレーニングは必要なこともありますが、偏りすぎると別の発見をする機会を失ってしまいます。
犬のことを理解するために学ぶことの楽しさは、この「発見」です。
真に満たされる探索を、犬も人も楽しみたいものです。
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